4連敗という状況で愛媛に乗り込んだ前節、熊本は堀米勇輝の思い切った判断から6試合ぶりに先制したが、残り10分を切ったところで失点して引き分けた。勝利こそ逃したが、ボールコントロールもままならないピッチコンディションの中、割り切ってシンプルかつセーフティなプレーを選択し、試合そのものは優位に進めたと言っていい。ただ、特殊な状況が集中を高めた効果もあったと思われるため、最近のゲームで課題だった守備時のバランスが改善されたと見るのはまだ早計ではある。それでも粘って連敗を止め、どうにか勝点1を得て後期のスタートをきったことは事実。さらに加速するために、今節は内容を伴った結果が欲しい一戦である。
迎えるのは、熊本が3節、今シーズンの初勝利を挙げた松本山雅だ。その松本、前節はトップにホドリゴ・カベッサ、シャドウに楠瀬章仁、さらに3バックの1枚に犬飼智也と、内容的にはほぼ押し込みながら終盤のカウンターで敗れた21節の横浜FC戦から先発を一部入れ替えて臨み、玉林睦実と楠瀬の2得点で水戸をくだし、連敗を3で止めた。「膿を出しきった」と表現している通り反町康治監督も一定の手応えを得たようだが、もともと失点も決して多くはないチーム。連敗中、特に20節の山形戦ではサイドからの失点が目についたが、岩沼俊介をウイングバックの位置においたことで前々節、前節と守備面は改善傾向にある。3トップの中央に入ったホドリゴ・カベッサについては「成功かというと全然そうじゃない」と話していることから今節は塩沢勝吾が先発に戻る可能性もありそうだが、いずれにしてもパワーとスピード、仕掛けといったキャラクターの違いを組合せることで、攻撃にはバリエーションが生じ、多々良敦斗や飯田真輝に合わせるセットプレーも大きな得点源。連勝してホームに帰りたいところだろう。
その松本について、熊本の吉田靖監督は「相手に応じた戦い方ができて、チームの幅が広がっている」と捉え、「簡単にはいかない」と警戒する。熊本にとって実際にピッチの上でアジャストしなければいけないのは、トップがホドリゴ・カベッサか塩沢かで、松本のサッカーにやや変化が現れる点だ。「ロングボールが多ければまずは競り合いで勝つ事、その上でセカンドボールをしっかり取らないといけないし、後ろから作ってくるなら相手のボランチを潰しにいかないといけない。試合の流れの中で対応することが大事になる」と矢野大輔が話していたが、最終ラインの上げ下げと合わせ、船山貴之や楠瀬などが落ちたときにギャップを作らせないような対応も含め、的確なコーチングでMFをコントロールすることが不可欠。また、ボールに対してアプローチをかける場面と、前から取りに行けないときは一旦ラインを下げてブロックを作る場面、その使い分けを、共通の意図をもってハッキリさせることが求められる。
攻撃においては、高い位置でボールを奪って3バックの脇のスペースなど「優先順位としては裏を衝くことが第一」(吉田監督)だが、前節の愛媛戦で蹴ってしまわざるを得なくなったことも踏まえて、紅白戦ではあらためてつなぎながら前に運んで行くことを強調していた。相手ボランチの左右など、うまく間のスペースを使いながらアタッキングサードに侵入した上で、いかにゴール前を崩すかがポイントとなるため、「ファビオと2人でタメを作れるような関係でやれれば」と齊藤和樹が言うように、2トップの関係で3バックを動かしたあと、頻繁に中盤が絡む場面を作りたい。カウンターを受けないためにフィニッシュで終わることも必要で、得点の確率を高めるべく、じっくりと作り直して攻撃を繰り返す姿勢も忘れてはならない。一方、状況によっては、前にかかった勢いを削がず、少ないタッチで相手を置いて行くようなリズムの変化も効果的だろう。攻守両面でのプレーを使い分け、そしてその判断の共有が、試合の流れを左右する要素になる。
前期の対戦を振り返れば、齊藤の2ゴールで優位に進めながら、アディショナルタイムに1点を返される等、危ない場面もあった。あの試合では特に終盤、圧倒的なアウェイ感を感じさせられたものだが、アルウィンと同じ、いやそれ以上の空気――ホームチームの勝利を願う空気――が、うまスタにだって満ちている。
以上
2013.07.06 Reported by 井芹貴志
J’s GOALニュース
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