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ルヴァン 準々決勝 第1戦
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【J1:第14節 甲府 vs 浦和】プレビュー:甲府にとってこれ以上ない舞台・国立競技場での浦和戦。大局とディテールの継続と再確認で2位・浦和に挑む(13.07.05)

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幸運の今シーズン分の割り当てを使い切った末の13位ではない甲府だけれど、開幕から4ヶ月足らずで外国人選手3人(レニー、ドウグラス、オルティゴサ)とお別れしており、名探偵コナンでなくても外国人選手がチームに順調にフィットしていないことは分かる。しかし、組織運営というのは難しく、年間予算がふんだんにあっても上手くいかないクラブもあるので、年間予算が14億前後の甲府が難しい状況に置かれることは想定内。甲府がJ1で戦うということは、常に背伸びをしている状況なので、様々なリスクや問題は親戚のようなもので、縁は切れない。

今節は、予算が(甲府から見れば)ふんだんにあり、現在2位と(外野から見れば)上手くいっている浦和が相手。ホームに浦和を迎えるといっても、恒例の国立競技場開催のホームゲームなので浦和サポーターの方が地の利があるし、数でも圧倒されることは覚悟(その分、儲かる)のホーム国立。2006年のように山梨中銀スタジアム(当時は小瀬)で浦和戦を開催して、超満員の雰囲気の中で選手がプレーし、ファン・サポーターも超満員のスタジアムで声を嗄らし、多くの浦和サポーターが甲府周辺で宿泊・飲食してくれるという浦和戦もいいと思うのだが、今年も国立開催のホーム浦和戦となった。前回の2011年はお互いに上手くいっていない状況での対戦で、甲府が3−2で浦和から初勝利を挙げたが、甲府と浦和は最終節まで残留争いをして甲府が16位で降格し、浦和は15位で残留している。

それから2年目。城福浩監督のもとで昨年J2初優勝を果たして1年でJ1に戻った甲府は、世間様の予想よりは上にいると思うが、J1残留が最高の目標にならないように奮闘している状況。2人目のペトロヴィッチ(ミハイロ)監督を迎えて2年目の浦和はACLは残念だったが、リーグ戦でもヤマザキナビスコカップでも優勝を狙う戦いの最中。首位の大宮にこれ以上離されないためにも甲府戦は、間違いがあったとしても勝つしかない相手と位置づけているはず。それに大宮より下の順位には我慢できないだろう…。ナビスコカップのC大阪戦後(@埼玉スタジアム)、原口元気が「(興梠)慎三くんがいないと…」と、残念そうに話したが、その興梠もコンディションを整えて復帰し、トライアングルが最強状態になる(はずの)浦和。梅崎司にもドリブルのキレとシュートの上手さを見せつけられたC大阪戦だったが、甲府は浦和の攻撃を抑えることができるのだろうか。カウンターのスイッチが入ると、マックスのスピードでドリブルしてくる原口ら、浦和の攻撃陣は怖い怖い。開始直後にこの場面を作られて、退場もあり得るファールで止めてPKを与えるということを甲府は絶対に繰り返してはいけない。中断前の3連敗の怨霊を払うためにも、まずは開始から15分は高い集中力と強い気持ちで戦わなければならないだろう。

期待していたFWオルティゴサが中断期間中、それも後半にチームを去ってしまって体面上も都合の悪い甲府だけれど、現場はもうとっくに切り替えている。3月末に加入したオルティゴサをフィットさせるために一定のリスクを覚悟で公式戦で起用して上手くいかなかった試合もあったが、過去を悔やんでも勝点は戻ってこないのだから、目の前の勝点を取るためにベストを尽くすだけ。前に向かう推進力が武器のFW平本一樹を最大限活かす戦いを、浦和の3バックのサイドや裏で見せたいし、日本人FWの方が前線からの守備という面では高い貢献をして、チームのリズムを作ることができる点はポジティブに捉えていい部分。「(中断前に3連敗して)負けたらどれだけ楽しくないのかがよく分かった。絶対に勝ちたい」という平本はエースの自覚を持ってプレーするはずだ。また、ケガでコンディションが上がらなかった水野晃樹がほぼ完全復活。踵の痛みはあるものの、「それを言い訳にはしない」と退路を断つコメント。水野は性格も明るくサービス精神旺盛で、コンディションが上がってくるとコメントにも勢いが出てくるタイプで、「向こうが花なら、こっちは雑草軍団。国立で花を摘めれば勝点3以上の価値が出てくる」と、野村克也の名言的なフレーズも出てきた。絶好調で絶口調の水野対梅崎というサイドでのマッチアップも楽しみになる。守備ではボランチで先発する38歳の鉄人・伊東輝悦がポイントになりそう。腰やふくらはぎを痛めてなかなかコンディションが上がらなかったが、水野同様に伊東も中断期間を挟んで回復。中盤でみせる攻撃の芽を摘み取る上手さはカウンター封じのためにも欠かせない動きになるだろう。山本英臣とのコンビネーション、CBの38歳土屋征夫、青山直晃との連携で、1回でも多く浦和の決定機を減らすことが甲府の勝利の可能性を高めることになる。

甲府はリーグ戦3連敗で中断期間に入ったので悪いイメージが先行しているかも知れないが、冷静に振り返ればこの3試合以外はいい内容で戦えていた。勝点差が詰まっているので、中位以下の順位にはあまり意味はないが、第10節は8位だった甲府。負けないチームとしての自信は持っていい。スターがいないチームだがチーム力を武器に、時間帯や得点差などの状況判断をできるだけ統一し、同じ判断でプレーできればJ1残留は最低の目標に変えることができるポテンシャルは持っている。そのために中断期間中は、“隙を作らない”、“状況によってプレーの判断を変える”、“試合結果を変えるかも知れない1本のパス、1つのプレーを大事にする”という、チーム力をもう一度高め直す大局とディテールの確認に取り組んできた。その成果を見せる場が、国立での浦和戦。これ以上の舞台はない。最高の舞台で――甲府には元大宮という経歴のスタッフが多いが――浦和を倒す、それも2位と結果の出ている浦和を倒すことは大きな価値がある。中断前の大宮戦(第13節)で退席になった城福監督は今節ベンチ入り停止だが、これが大きな問題にならないだけの準備はしてきた。アラブの春は振り出しに戻ったけれど、中断期間中に紆余曲折あったJFK甲府は春の戦いに少しでも積み重ねて浦和に挑むだけ。

以上

2013.07.05 Reported by 松尾潤
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