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ルヴァン 準々決勝 第1戦
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【J1:第14節 名古屋 vs 清水】プレビュー:名古屋はあくまで攻めて勝つ!“採算度外視”の超撃的布陣で挑む再開初戦の相手は清水。オープンな展開の末に勝点3をもぎとるのはどちらか。(13.07.05)

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ハイリスク・ハイリターンで勝つ。5月のリーグ戦で全敗を喫し、ストイコビッチ監督指揮下では最悪の14位という成績でリーグ中断を迎えた名古屋は、あくまで攻撃的に戦うことで再起を目指す。6月に行われたミニキャンプでは「スーパーハードトレーニング」(ストイコビッチ監督)で心身を鍛え直し、新たな戦術にも着手。主力メンバーをほぼ固定し、清水との再開初戦にフォーカスしたトレーニングを繰り返してきた。さらには6月22日に行われたクラブ首脳陣によるサポーター向け説明会の場で、福島義広副社長が「まずは勝点40を早く獲りたい。降格ラインを抜けること、そこから上を目指したい」と発言。チームの現在の立ち位置を明確にすると、試合前日と前々日に昨年4月以来となる現体制2度目の完全非公開練習まで行い、この一戦に集中してきた。“優勝候補”や“強豪”の看板などとうに捨てた。後半戦の名古屋は、完全なるチャレンジャーとして、リーグ戦での挽回を目論んでいる。

そのために指揮官が用意したのが、守り4-4-2、攻め3-5-2という可変型のフォーメーションだった。その変化はビルドアップとともに始まる。ボランチの一人がDFラインに下がり、センターバック2枚と3バックを形成。それを合図に両サイドハーフがセンターに絞り、両サイドバックが攻撃的MF並の高いポジションに就く。最終ラインのビルドアップ能力を高め、中盤中央の人数を増やし、サイドの高い位置にも人員を配置する。前線はツートップのためにターゲットにも事欠かない。これが名古屋の新布陣の概要だ。中央ではテクニックに長けた選手たちがショートパスの交換で突破を図り、スタートポジションがサイドバックとなる選手はウイング然としたプレーでサイドにも起点を作る。フィニッシャーにはオーストラリア代表の試合でFIFAワールドカップ2014ブラジル大会への出場を決める得点を記録し、勢いに乗るケネディが戻ってきた。守備におけるリスクマネジメントは今もって課題だが、ここまでの仕上がりは悪くないところまできている。玉田は「シュートへの道は見えてきた」と語っており、他の選手の手応えも上々。周囲の期待と不安の両方を抱えながら、超攻撃布陣がいよいよJ1の舞台で披露される。

リーグ中断前は名古屋より上の9位ながらも、得点力不足に悩み5月のリーグ戦は2勝3敗。清水もまた、苦境の最中で中断期間のトレーニングに励んできたチームだ。こちらも6月には6日間の短期キャンプでほぼ連日の二部練習と計4試合の練習試合をこなし、その後もハードな練習を消化してきた様子。平均年齢が24歳というフレッシュなチームだけに、トレーニングはやればやるだけ成長への糧となったに違いない。中断前はハーフコートディフェンスからの速い攻めを得意としていたが、この1ヵ月で戦術にどのような手が加えられたかは興味深いところ。テクニックとスピードに優れる選手が多いことだけでも、守備に課題を抱える名古屋にとっては怖い存在である。

この一戦を左右するのは、名古屋の守備であることは間違いない。前述したように攻撃的な布陣を敷くがゆえに、名古屋はカウンターへの守備力を犠牲にしている部分がある。攻撃時には7人から多ければ8人の選手が敵陣に攻め入り、その間で守備への備えをしているのはセンターバックとボランチの3人のみ。阿部翔平は「それでもボランチが下がっていてくれることで攻撃を遅らせてくれる。その間に自分たちも戻る」とマネジメントを説明してくれたが、GKの楢崎正剛などは「正直怖いところもある」と危機感を露わにしている。清水にはバレーを始め、河井陽介や石毛秀樹、高木俊幸など走れる選手が多い。カウンター対策として名古屋はボールを失った瞬間のプレスを徹底しているが、そこで前線にパスを通されると、一気に数的不利のカウンターを喰らうことにもなりかねない。楢崎はさらに「戦術には従うけど、臨機応変にやりたい」と、状況に応じた戦術の微調整を匂わせたが、いずれにしてもカウンターへの対応は中断前からの課題だった。攻守の切り替えの瞬間は、この試合で常に見どころとなってくるだろう。

もちろん、名古屋は守備の心配ばかりをしているわけではない。攻撃面での手応えは練習試合とトレーニングを重ねるごとに良くなってきており、攻撃的ポジションの選手たちの表情はみな明るい。清水戦ではダニルソンが出場停止のため、中盤の底は中村直志と田口泰士が組むことが濃厚。守備寄りの特徴を持つ前者が主に3バックの編成に加わり、ゲームメイク力のある後者は中盤の選手とともに中央でのパス交換で相手の隙をうかがうのは、ひとつのパターンとして練り上げてきた。中盤でのショートパスによる崩しはまずまずの連係を見せており、サイドへの展開もスムーズ。引いて守る清水のゴール前は人口過多なことが多いが、サイドと中央を使い分け、ディフェンスを絞らせなければ突破口は開けるはず。シュートで終われば守備面での不安も半減するため、攻撃陣はまずは攻めきる姿勢が重要になる。

ストイコビッチ監督は再開へ向けてのトレーニングの中で、しきりに「清水戦」という言葉を使ってきた。選手も同様である。再開後の巻き返しを期する名古屋は、その初戦を強烈に意識している。だが、清水とて再開初戦を勝ちたいのは同じこと。1ヵ月の中断をより有効に、より前進する力に変えてきたのはどちらか。わずかな差でも、その準備が上回った方に、勝点3は転がり込んでいきそうだ。

以上

2013.07.05 Reported by 今井雄一朗
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