本文へ移動

今日の試合速報

夏休みはJリーグに遊びに行こう! 全国で180,000名様ご招待!
夏休みはJリーグに遊びに行こう! 全国で180,000名様ご招待!

J’s GOALニュース

一覧へ

【J2:第22節 山形 vs 鳥取】レポート:逆転された試合を再びひっくり返す!鳥取がアウェイで5試合ぶりの勝利。受けに回った山形は3連勝を逃す(13.07.04)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
「アウェイの地ではありますが、高さのある、個人のクオリティの高い選手がそろっている山形に対して、我々はチームとして戦えることがここ山形の地で証明できたことは、非常にチームにとってもいいこと」。先制しながらも前半のうちに山形に逆転を許した鳥取・小村徳男監督は、その約1時間後、会見場で勝利試合のコメントを発していた。「今後また浮上していけるきっかけになればいいなと思っております」。絶好のスタートダッシュを切った前半戦は下降線をたどり4連敗で幕を閉じたが、後半戦最初の試合で悪くないリスタートとなった。

雨が降り続くなか、立ち上がりから山形がアウェイ連戦となる鳥取を一方的に攻め込み、ゴール前を脅かしていたが、流れが急激に変わったのは11分のプレー。左サイドでプレーしていた廣瀬智靖から長いサイドチェンジのボールが送られると、受け手の山田拓巳は間に合わないと見て足を止めたが、ボールはタッチライン数メートル手前の水たまりで減速。結局はそのままタッチラインを割ったが、パスが通っていれば前方のスペースを突くチャンスがあった。だが、それを失ったこと以上に、それまで続いていたリズムが途切れたことが両チームそれぞれに影響を与えた。鳥取はその直後から、「前半からサイドバックの裏というのは相手も嫌がってたし、そこは突いていこうという話をしていました」と言う久保裕一が立て続けにシュートを放つなど山形ゴール前で存在感を増す。吉野智行の負傷で数分間の中断と選手交代を余儀なくされたが、21分、相手の処理ミスを逃さずボールを拾った永里源気がそのままドリブルで持ち込んでシュートを放ち先制した。1日に生まれた第3子のゆりかごが、永里自身のゴールで揺らされた。

「ピッチコンディションが今日は雨というところで、当初の予定よりは相手の背後を突いて、そこから起点にしてという、ノーマルな戦いに変更しました」(小村監督)と雨天用の戦い方を徹底する鳥取に、山形は自陣でプレッシャーを受け、序盤にはつながっていた縦のフィードも跳ね返される確率が高くなっていた。終盤まで鳥取ペースで進んだ前半は、しかしこのまま終わらなかった。
42分、水しぶきを上げるボールの競り合いからいち早く立ち上がった中島裕希が、左サイドから山なりのクロス。裏へ動き出していた林陵平が「後ろから来ているボールで難しいところはあったんですけど、いま、そういう場面では自信を持ってできているので」と胸トラップから左足のシュート。これが4試合連続となる同点ゴール。その3分後、今度は右サイドでやはり中島が起点となり、オーパーラップした山田のクロスからニアに飛び込んだ伊東俊が技ありのワンタッチゴール。GK小針清允の右手がわずかに届いたが、枠からかき出すほどコースを変えることはできなかった。

得点力に勝り、前回対戦で6-0と大勝した山形が、劣勢を強いられたなかでも逆転する展開は、両チームの力関係をそのまま反映しているように見えた。しかし、鳥取は折れていなかった。ハーフタイム、小村監督に「失敗しても前を向くこと!」「攻撃の人数を増やしていこう」と送り出された選手たちは、前半の戦い方をより強力に推進し始める。
そして迎えた51分のカウンターの場面。中央で久保をセンターバックの2人が見ながら、左サイドへ飛び出した永里に対しても秋葉勝がマーク。3対2、山形の人数は足りていた。しかし、「縦を止めて遅らせようかなと思った」という秋葉に対し、永里は中へ強引に仕掛ける。その間、逆サイドでは中村太亮が自陣に戻り住田貴彦の上がりをケアしていたが、さらにもう一つ外を走る尾崎瑛一郎のマークは完全に外れていた。ボールは久保から尾崎に展開され、折り返しを久保がシュート。GKの正面に飛んだが、これをGK常澤聡が後逸して同点。
追いつかれた山形は、サイドチェンジを受けた山田のくさびが林東賢の足元に何度か入り始める。鳥取はペースを握り始めて間もない66分、左サイドへ大きく展開されたボールを森英次郎が受けてドリブル。2人に挟まれながら突破し、送ったクロスは久保には合わなかったが、クリアボールを狙ってポジショニングしていた永里がインステップで少しアウトにかけたダイレクトシュート。リフレクションへの対応が遅れた山形の守備の隙を縫って、ボールは枠をとらえた。

6月、岐阜と北九州に後半で逆転負けを喫した記憶がまだ新しい鳥取だったが、「連敗してて、後半の戦い方というのはチームとして自信が持てなかった部分がありましたけど、今日はチームが一丸となって選手がファイトしてくれた」と小村監督。山形は同点にされた後に山崎雅人を、逆転された後に石川竜也を投入。ボールを動かしながら何度か波状攻撃を仕掛けたが、一時はペナルティーエリアにフィールドプレーヤー9人を固めながら強い意志で跳ね返し続け、最後までゴールを割らせることはなかった。「今日は本当に球際もファイトできましたし、ゴール前も強く行けてたと思う。そういうのは負けて得た教訓だと思うので、それをしっかり継続していければと思います」。この試合の殊勲者の一人、久保が引き締まった表情で決意を語った。

前回6-0の対戦がそうだったように、この日の雨のようなコンディションこそ山形が得意としていた舞台だったが、この試合ではより徹底した鳥取の後塵を拝する結果となった。複数得点はこれで6試合連続となり、チーム内の動きもオートマティックに連動する部分も増えてきたが、「無駄な動きというか、スペースをつくる動きというのが少ない」(山崎)との指摘もある。チームはこれまでの縦の強さを生かしながら、ボール保持を高め賢くゲームを支配する術を身につける段階に入っているが、はっきり割り切って戦ってくる相手には受けに回る場面も少なくない。「まだまだ自分たち、もっと見つめ直して地に足を着けてやっていかなきゃいけないというところを思い知らされたと感じています」と奥野僚右監督。過渡期の難しさはまだしばらく続きそうだ。

以上

2013.07.04 Reported by 佐藤円
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/07/29(月) 00:00 ハイライト:岐阜vs鳥取【明治安田J3 第23節】