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【J2:第22節 岐阜 vs G大阪】レポート:『獅子搏兎』だったG大阪。岐阜を8ゴールで粉砕(13.07.04)

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G大阪をみんなリスペクトしすぎたのではないか。そう疑問を抱きたくなる試合だった。確かにG大阪はJ2のレベルではない。選手個々のタレント、戦術的にも、J2にいるのが不思議なくらいの陣容だ。特にこの試合では遠藤保仁と今野泰幸という日本代表でも主軸を張る選手が、コンフェデレーションズカップから帰国しチーム合流わずか2日間でスタメン出場という強行軍を敷いてきた。それだけ、どの試合も絶対に落とせないというG大阪の強い意気込みが表れていた。

圧倒的な戦力と実力を持ったチームが、全力で勝ちに行く。遠藤と今野がスタメンで出場する意義を、G大阪の選手たちは知っていた。最下位が相手だろうが手を抜くことなく、全力で勝ちに行く。これはスタメン表を見た段階で伝わってきた。
だが、それに対する岐阜はどうだっただろうか。正直、G大阪を必要以上に警戒しすぎていた気がしてならない。相手が気迫でぶつかってくるのなら、こちらも気迫を持ってぶつかるべき。相手が格上なら、相手以上に気迫を持って臨まないといけない。守備的な戦い方になるのは仕方がない。だが、ただ守備意識を持ってラインを低くして守るのと、何が何でも絶対にゴールを割らせないという気迫を込めて守るのとでは全然違う。はっきり言って、この試合の岐阜は前者だった。これでは気迫みなぎっている強烈な『剣』の前に太刀打ちできるはずがなかった。

G大阪は試合開始と同時に、勝ちたい気持ちをピッチ上で表現した。立ち上がりから遠藤と今野のダブルボランチを中心に、高い位置で起点を作って攻めに来ると、開始早々の2分にあっさりと先制点が生まれる。
遠藤が中央でボールを持つと、裏に抜け出したFWパウリーニョにスルーパス。このときボランチとDFラインの間に入ったパウリーニョに対するマークがあいまいで、だれも寄せに行かないままGKとの1対1を冷静に決められた。

岐阜にとって、この1点はとてつもなく重くのしかかった。守備陣が混乱に陥った隙をG大阪は見逃さなかった。8分、中央でMF二川孝広がボールを持つと、右に走り込んだMF阿部浩之にパスし、そのまま中央へするすると攻め上がる。阿部からのリターンパスに対し、ニアにパウリーニョが走り込むと、先制点のデジャヴーに駆られたのか、岐阜DF陣がパウリーニョに集中してしまう。その瞬間、パウリーニョがスルーし、中央でフリーになった二川にボールが渡る。二川は落ち着いてゴールに流し込み、あっさりと追加点。27分には再び二川に、今野との連携からシュートを放たれ、これがGK時久省吾のファンブルを招き、3-0。

G大阪相手にこの点差は試合を決定づけられたようなものであった。だが、岐阜はここから意地を見せた。手痛い3失点を受けたが、ゴールに向かう姿勢は崩さなかった。そして35分には、CKからDF新井辰也がドンピシャヘッドを叩き込み、1点を返した。これでスタジアムを包んでいた重苦しい雰囲気は一変。岐阜の動きもよくなってきた…。だが、考えられないミスで、せっかくの雰囲気をふいにしてしまった。
前半アディショナルタイム。岐阜は自陣でファウルを犯す。ファウルを示すホイッスルに対し、場内アナウンスは「前半が終了しました」とアナウンス。これに対し、岐阜の選手たちは完全に集中を切らし、足を止めてしまった。だが、G大阪の選手は冷静で、審判の動きをよく見ていた。まだ終わっていないと判断すると、完全に棒立ちになった岐阜を見て、遠藤が素早くリスタート。FW平井将生が反応し、中央のMF阿部浩之にパス。阿部が豪快に右足を振り抜いて、ゴールに突き刺した。
勝利への執念の差が出たと言っていいシーンだった。セルフジャッジをした岐阜に対し、冷静に状況を把握し、チャンスと見て一気に突いたG大阪。結果としてこのゴールで、この試合は壊れてしまったと表現してもよかった。

後半、岐阜はG大阪にいいようにやられてしまった。シュート本数こそ前半の4本に比べ後半は9本放ったが、これは迫力ある攻撃で崩したというより、差が開いて試合が緩くなったからこそ打てたシュートだった。だが、その中でもFW樋口寛規が77分に放ったドリブルシュートは見事だった。ただ、それは1-8で迎えた状況で生まれたものであった。
J2の1チーム最多得点新記録となる8得点。雨にもかかわらず、11,719人もの観衆が詰めかけた前で、2-8という試合を見せてしまった。点差以上に、点数の奪われ方に問題があるし、試合を壊した4失点目は正直拙いミス以外のなにものでもなかった。

差を分けた勝利への執念。同じ負けでも、気持ちが伝わる試合と伝わらない試合では大きな差がある。果たしてこの試合はどちらだったか。0-3から1-3までの時間は伝わった。しかし、4失点目がすべてを台なしにしてしまった。
試合後の記者会見で行徳浩二監督に対して、「この試合で得たものは?」という質問が飛んだ。答えは「これからどういうふうに落とし込んでいくか。戦って得る経験値を生かすのはこれからの作業。得る選手もいれば、得ない選手もいると思います」だった。確かにこれからの作業であるのは間違いない。正直、こういう形で悔しさを感じてほしくはなかったが、起こってしまったものは仕方がない。本当の答えは、これからの岐阜の戦いを見て、じっくりと判断していこうと思う。
『窮鼠猫を噛む』ではなく、『獅子搏兎』だったこの試合。この事実を両チームのサポーターはどう受け止めるのだろうか。

以上

2013.07.04 Reported by 安藤隆人
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