いよいよ、J2のリーグ戦は後半戦に入る。順位表を見ると自動昇格圏と3位以下が少し離れてきたようにも見えるが、J2はこれからが真価が問われる季節。真夏に上昇するチームもあれば、足踏みするチームもある。その意味で、2巡目の対戦に入るこのタイミングで、良い流れを掴むことが重要だ。この試合で対戦する横浜FCと栃木は、前節、アディショナルタイムで勝点をつかみ取ったという点で、心理的には良い流れを持って試合に臨むことができる。
横浜FCは、山口素弘監督が繰り返し口にするキーワード「タフさ」が前面に出るようになってきた。前節の松本戦(6/29@アルウィン)は、その象徴のような試合だった。ロングボールと前線での駆け引きを繰り返して、横浜FCのコンパクトさを消そうと試みる松本の狙いに動じることはなかった。「メンタル的なコントロールをしっかりしようということは、ずっと言ってきましたが、実践出来たかなと。長いボールを入れられて早くゴール前に持ってこられても、冷静に対応すればやられない」(山口監督)という考え方をピッチ上で実践。そして、90+6分、まさにラストプレーでもゲームをあきらめずに大久保哲哉の決勝点に結びつけた。
この流れは前節だけではない。前半戦のなかなか勝てなかった時期は、失点するとチームが勢いを失うことが多かった。しかし、ここ数試合は追いつかれる失点をしても、そこから二枚腰を使って勝ち越せるようになってきている。第18鳥取戦(6/8@ニッパ球)、第20節富山戦(6/22@ニッパ球)と、ニッパツ三ツ沢球技場でホームの後押しを結果に結びつけている。もちろん、失点しないことに越したことはない。しかし、後半戦のJ2で必要なことは失点に動じないタフさ。昨シーズンの後半の急上昇も、この「タフさ」がキーワードだった。6月は3勝1分1敗とJ2の中でも上位の成績を挙げた。「(0-2で敗戦した)札幌戦(6/1@ニッパ球)を繰り返さない」(シュナイダー潤之介)ことを誓ったチームが、今季初の3連勝、それもホーム3連勝を狙う。
対する栃木も、違った意味でクラブとしてのタフさを身につけている。前回の横浜FCとの対戦(第16節 5/26@グリスタ)で、大黒柱のパウリーニョが受傷。栃木SCサポーターとしては、パウリーニョを失って失速した過去のJ2での戦いが頭をよぎる出来事だったのは間違いない。しかし、直後のG大阪戦こそ落とすものの、第18節の福岡戦は勝利し、その後神戸、東京V、京都といった上位を中心とした対戦を負けなしで終えた。クリスティアーノだけでなく、三都主アレサンドロなど、チーム全体でパウリーニョの不在を埋めている。まさに、クラブ全体でのタフさを前面に出している。栃木は現在6位だが、3位までの勝点差はわずかに2。今のこの流れを早く勝点3という形にして、さらなる上昇、そして自動昇格圏へのスタートとしたいところだ。
第16節の前回の対戦は、ドローの決着。横浜FCはスターティングメンバーを入れ替え、現在の戦いのベースとなる4-4-2の形に手応えを得た試合だった。この試合では、横浜FCはクロスバーやポストを叩くシュートも多く、「ネットを揺らす力」不足も見られた。一方の栃木は、パウリーニョの負傷退場は痛かったが、その影響をチームでカバーできた試合だった。そして両チームとも、この対戦の後に、それぞれの戦い方を固めてきている。前回の対戦で感じた不足していた部分を、今回の対戦でぶつけていきたいところだ。組織的なサッカーには定評のある、タフさ十分のチーム同士の対戦だけに、前回からのプラスアルファの個の部分がポイントとなる。栃木はクリスティアーノ、横浜FCは大久保と黒津勝。決定的な仕事をする攻撃のピースに注目したい。
湿気の多い季節、試合中の給水の頻度も高くなっている状況での連戦。中3日であるが、前節からのリカバーも大きなポイント。ここでも、チームとしてのタフさが問われる。この対戦は、いつもナイスゲームになる。戦術面、局面の1対1。いずれをとっても、見所の多い試合となるのは間違いない。後半戦の良いスタートのためにも、是非ニッパツ三ツ沢球技場に駆けつけてほしい。
以上
2013.07.02 Reported by 松尾真一郎
J’s GOALニュース
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