ホーム&アウェイの2試合で勝負を決める、ヤマザキナビスコカップ準々決勝。その醍醐味を改めて感じさせられた、第2戦だった。
大阪長居スタジアムで行われた第1戦で、浦和がアウェイゴール2点を奪って先勝。2-0からのリスタートとなり、第2戦をホームで迎えるチームにアドバンテージができたのは明らかだった。しかし、「そういったあとの第2戦というのは、難しくなるもの」と、浦和のペトロヴィッチ監督。「2-0で勝利した1戦目の結果を、我々は意識しないで戦おうとして入ったが、やはりどこかにその結果が作用していた部分はあると思う」というように、「特に前半は、自分たちのサッカーじゃなかった」(槙野智章)。
浦和の戦いを難しくさせた要因の1つとして、C大阪のシステム変更があった。「先週の試合を分析したうえで、今週の練習のなかでいくつかの形を試したが、一番、より結果が出るのではないかというフォーメーションを試合で使った。浦和さんは非常にDFからのビルドアップが上手いので、第1戦とは違って、前からプレスをかけにいかないということを、練習で確認した」というのは、C大阪のレヴィークルピ監督。それをペトロヴィッチ監督は「6バック」と表現したが、「9人の選手が、がっつり守備をしてくるような状況」のなか、逆に浦和は攻め手を失い、ボールを奪われると、開始6分に失点。完全に出鼻をくじかれた。
そこから明らかに浮き足だった浦和は、ミスを連発。興梠慎三が負傷欠場していることで、最前線でボールが収まらないことも響いた。スタジアムにはC大阪サポーターの勢いづくチャントとは対照的に、浦和サポーターの叱咤がまじったブーイングが高らかに響き渡っていた。しかし、その雰囲気を一変させたのは、2年前のヤマザキナビスコカップ準々決勝、今回と同じC大阪戦でも、活躍を見せていた、7番の一発だった。
34分、前半のなかで、唯一の攻め手だった、左サイドからの突破で輝きを放ったのは、梅崎司だ。1タッチ目で対面のC大阪DF酒本憲幸をかわし、敵陣深くに侵入。そして、山口螢のスライディングを鮮やかにかわすと、ゴールをよく見て、右足で流し込んだ。この瞬間、赤く染まったスタジアムの喜びは爆発。この1点が、浦和に落ち着きを取り戻させる、大きな得点だということは、誰の目にも明らかだった。
「すべては、悪い時間帯に梅ちゃん(梅崎)の個人技でゴールを決めて、流れを変えたことがチームとして勢い付いたのかなと思う」と槙野も言うように、後半は、浦和にいつものポゼッション力が戻った。そして、1-1のまま時間が進むと、「我々がトーナメントを勝ち上がるうえでは、オープンな撃ち合いをする必要はない」という指揮官の判断のもと、75分には足をつらせた鈴木啓太に代えて同じ守備的な役割のできる山田暢久を投入するなど、手堅い試合運びを敢行。勝ち越しとはならなかったものの、1-1で試合をクローズさせ、トータルスコアで3-1と勝利。2年ぶりの準決勝進出を果たした。
「2試合をみれば、我々は勝ち上がるに値するようなことができた」と、胸を張ったペトロヴィッチ監督。ただし、「これで満足しているようでは上には上がれないし、次、川崎F戦ですが、しっかり叩いて、上に上がれるように、もう1回チームとしてタイトルを獲れるよう、気を引き締めてやらないといけない」と槙野も言うように、チームはさらなる質の向上を誓っていた。
一方のC大阪は、システム変更がいきなり功を奏し、エジノの右からの左足クロスをきっかけに、柿谷曜一朗の折り返しを、南野拓実がゴール。「立ち上がりから自分たちのプラン通りにやれた」(山口螢)ことで、大逆転を予感させる戦いを進めることができていた。ただし、「1-0の時点でチャンスもあったので、そこで決めていれば、展開は変わったかなと思う」というのは、扇原貴宏。一気にたたみかけることができなかったことで、「1-1になってから、相手は自分たちのペースで試合運びをしていたし、そこからもう1点取る力が自分たちになかった」。
ヤマザキナビスコカップ、5度目のベスト8突破の挑戦も実らず、悲願のタイトル獲得はならなかったC大阪。「次のラウンドに進めなかったということでは、悔しい思いもある」とレヴィークルピ監督も述べたが、「ただ、結果がどうであろうと、第1戦よりも内容がよくなっているということを、前向きに捉えたい」と、これから再開するリーグ戦に向けて、気持ちを新たにしていた。
以上
2013.07.01 Reported by 前田敏勝
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