群馬が、後半戦へ向けて大きな大きな勝利を手にした。前半の最終戦、今季初の連勝、降格ゾーンの脱出、クラブ草創期を支えた大西忠生元社長の命日・・・今ゲームに付随する多くの要素をパワーに変換した群馬は、エース平繁龍一の2ゴールで札幌を撃破。今季初の連勝をホームで決めて降格ゾーン脱出を果たした。試合後、選手たちはピッチ中央で円陣を組み、サポーターと喜びを共有。天国の大西元社長へ勝利を届けた。
前半のチームを支えたのは有薗真吾と小柳達司の両CBだった。序盤、群馬は札幌の高精度フィードと素早い切り替えに苦しむ。前半20分の印象では、攻守において札幌が一枚上手だった。だが群馬は札幌のパワーとスピ−ドに屈しなかった。札幌・内村圭宏に有薗が猛然と食らいつき行く手を塞ぐと、小柳も決死の守備で札幌の攻撃をブロック、スコアレスで折り返す。「前半からしんどかったがタツ(小柳)と声を掛け合って守った」(有薗)。この守備陣の粘りが後半につながっていく。
じわじわと群馬ゴールに迫る札幌を黙らせたのは平繁龍一だった。51分、青木孝太が札幌の最終ラインにプレッシャーをかけて、セカンド処理を誤った上里一将からボールを奪取。バイタルの平繁へ横パスを送る。平繁は右足のシュートモーションでDFを引きつけると、体を反転させて左足で強烈なショット。低い弾道のシュートがゴールに収まると、スタンドは一斉に沸いた。「みんなが作ってくれたチャンスだったので絶対に決めたかった」(平繁)。エースの一撃でスタジアムの空気は一変した。
勝負を決める2点目のPKを奪ったのは伏兵・横山翔平だった。71分から出場した横山は、守備でスペースを埋めながら追加点のチャンスをうかがう。攻撃的プレーヤーである横山の起用は、「追加点を奪え!」という指揮官のメッセージ。その期待に横山が応える。85分、札幌のゴールライン際までボールを追った横山は松本怜大からボールを略奪するとペナ内で倒されてPKを獲得。それを平繁が確実に決めて2−0、横山のプレーは群馬の勝利を決定付ける好アシストとなった。秋葉忠宏監督は「2点ともにチェイシングから生まれたゴール。厳しいゲームだったがあきらめないプレーが勝利に結びついた」と語った。
札幌は今季初の3連勝を狙ったものの、またしてもミッションを果たせなかった。前節岐阜戦で相手のミスを突いて得点を重ねた札幌だったが、この日は逆にミスを突かれた。前半の内容をみる限り、チーム力は群馬を遥かに凌いでいたが、チャンスを活かせず波に乗れなかった。ベテラン砂川誠は「今季は良い戦いと悪い戦いの繰り返し。安定したゲームができないのはチームの実力が足りないから。レベルアップのためには練習から意識を高く持って臨むしかない」と後半戦に目を向けた。
群馬は2006年に他界した大西元社長の命日を勝利で飾った。病気で余命宣告を受けながらもチーム強化に身を捧げた元社長が求めたのは1つのプレーへの執念。札幌戦はまさに“ザスパ”の戦いだった。2009年に草津チャレンジャーズチームからトップ昇格した有薗は「僕は技術のある選手じゃないので必死に戦うことしかできないがクラブのために全力を尽くす」と力を込めた。群馬は、雑草の魂がクラブに宿っていることをこの戦いで証明した。連勝チャレンジという険しい山を乗り越えたチームは、下位脱出そして上位追撃のために次なる峠を攻める。群馬にはエキサイティングな夏が待っている。
以上
2013.06.30 Reported by 伊藤寿学
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