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【J2:第21節 水戸 vs 山形】レポート:心を整えられなかった水戸。戦う姿勢は見せたが、2人の数的不利を耐え抜くことができずに敗戦。山形は復帰したベテランの活躍が光った。(13.06.30)

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「(精神的に)未熟でした。それ以外に何もない」
試合後、顔を紅潮させながら柱谷哲二監督は2つの蛮行に対して言及した。
1つ目は開始6分。相手に執拗に引っ張られた橋本晃司がたまらず手を振り払おうとしたところ、肘が相手の顔面に直撃して退場処分に。そして2つ目は48分、ライン際にボールを追いかけた鈴木隆行に対して体をぶつけてきた相手DFに対して激昂し、ペットボトルを蹴ってしまったことで一発退場。84分もの間、数的不利を強いられ、その中42分間は9人で戦わざるを得なかった。「2人少ないのは厳しかった」と本間幸司が振り返ったように、さすがに2人の数的不利の状況を耐え抜くことはできなかった。77分と80分にゴールを許し、万事休した。

サッカーはメンタルスポーツとよく言われる。90分間、思い通りにいかないことの方が多い。その中でいかにメンタルをコントロールしながらプレーできるかが勝負の分かれ目となる。そういう点で今節における水戸のメンタルは柱谷監督の言う通り「未熟」としか言いようがない。ジャッジや相手のプレーに対して、不服に思うことはあっただろう。しかし、それでも気持ちを整えてプレーを続けなければならなかった。その意識の欠如がゲームを壊すこととなってしまったのだ。

だが、それでも水戸は戦う姿勢を失うことはなかった。1人少なくなった後、主導権を握ったのは水戸だった。「10人になってからやることがはっきりした」と西岡謙太が振り返るように、システムを4−4−1に変更して、カウンター狙いに切り替えた。そして、鋭いカウンターから再三チャンスを作り出し、山形ゴールを襲った。9分と22分の決定機はGK常澤聡に止められるが、29分に鈴木隆の見事なループシュートで先制してみせた。37分にもCKから決定的な場面を作った。

悔やまれるのは前半終了間際のPK献上シーン。山形のセットプレーを防ぎ、カウンターに出ようとしたところボールは山村佑樹の手に当たってしまいPK。好調の林陵平に決められ、同点に追い付かれてしまった。数的不利になりながらも狙い通りの試合運びができていただけに、「前半を無失点で終えることができれば、違った展開になっていたかもしれない」と西岡は唇を噛んだ。
後半開始3分に鈴木隆が退場になり、2人の数的不利に追いこまれるものの、選手たちは「やるしかなかった」(近藤岳登)と闘志をむき出しにして、防戦一方になりながらも山形の攻撃を跳ね返し続けた。そのままこう着した展開を続け、相手に焦りが出た隙を突きたいころだったが、山形は一枚上手だった。

この日の山形のベンチには山崎雅人と石川竜也のベテラン2人がけがから戻ってきて入っていた。こう着した展開の中、「経験を流し込んでほしい」と奥野僚右監督は64分に山崎と、74分に石川を投入する。アンカーの位置に入った石川がテンポのいいさばきを見せ、山崎が鋭いフリーランニングでゴール前に入っていった。攻撃に変化が生まれたことで山形が水戸の守備を崩す場面が増えていった。そして77分、石川が蹴った右CKをニアで中島裕希が頭で流し、ゴール前の山崎が冷静に流し込んで待望の逆転ゴールを決める。その後、前がかりになった9人の水戸の隙を突いて林がこの日2ゴール目となる追加点を決めて勝利した山形。6月を負けなし(3勝2分)とする勝点3とともに頼れるベテランの復帰という大きな収穫を手にすることができた。

9人になりながらも最後まで走り抜いた水戸。試合終了後、選手たちはピッチに倒れ込んだ。1対3で敗れはしたものの、スタンドからは数的不利になりながらも勝利を諦めずに戦い抜いた選手たちに大きな拍手が贈られた。確かに精神的な「未熟さ」を露呈したが、同時に、最も大事な「戦う姿勢」を選手たちが持っていることも示してみせた。

水戸はこのままでは終わらない。
「サポーターのみんなも勝ちを信じて応援してくれていた。だから、何人であろうと、サポーターの思いに応えたかった。勝てれば劇的な試合で喜んでもらえたと思うのですが、勝てなかったので……。次の試合で勝つことが、この状況の中、最後まで応援してくれたサポーターのみなさんへの恩返しになる」
近藤は視線を落とさず、前を見つめながら自らの思いを口にした。
中3日で迎える次節松本戦は、3人が出場停止で、なおかつ80分以上数的不利で戦った疲労が重くのしかかることだろう。否が応にも厳しいアウェイでの戦いが予想される。そこで今節以上の不屈の闘志を見せることができるか。今季最大の正念場を迎える。

以上

2013.06.30 Reported by 佐藤拓也
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