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【J2:第20節 京都 vs 水戸】レポート:序盤の構図をひっくり返した水戸が京都を降す。互いの心理が垣間見えた見応えある試合だった(13.06.23)

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京都と水戸の一戦は、互いの攻防と心理戦にも似た展開で、見応えのあるものだった。先発は、京都が出場停止の染谷悠太のポジションに酒井隆介が入り、田森大己がベンチ外となり、工藤浩平が入り、攻撃的中盤が3枚並ぶ形になった。水戸は出場停止の鈴木隆行に代わり三島康平が入る。

序盤は京都が流れを掴む。工藤、駒井善成が流動的に動き、水戸に掴まれずパスを回し、また、奪われても相手陣内で守備に入った。だが水戸も京都の攻撃に順応してくると速攻を繰り出し始めた。京都が攻める、水戸が速攻という図式が出来るようになる。その中で25分には久保裕也がドリブルで抜け出し、フィニッシュまで持ち込む。だが水戸GK本間幸司にブロックされる。水戸は36分の速攻で右サイドから逆の島田祐輝がシュートを放つも、今度は京都MF秋本倫孝がこれをブロックした。そして、この時間帯頃から水戸が圧力を強め始める。

後半に入ると、水戸の流れになる。後半5分に水戸が左サイドを突破しクロスを入れチャンスを演出。同22分には右からのクロスに三島が頭で合わせるが、京都GKオ スンフンがビッグセーブ。京都も途中出場の三平和司が斜め45度の位置からシュートを放ちスタンドを沸かせる。しかし、水戸の圧力を跳ね返せない。同37分には近藤岳登のアーリークロスにゴール前を襲われ、FKでは、直接シュートのボールをDFが触りコースが変わった所をオ スンフンのビッグセーブに京都は助けられる。
水戸は石神幸征を入れ、京都は原一樹を投入し、互いに勝点3を狙いに行く展開に。そしてその決着をつけたのは水戸。後半44分に、中盤の混戦から鈴木雄斗が抜けだすと、エリア内でGKに倒されてPK。これを橋本晃司が決め、水戸が勝利し、勝点3を獲得した。

水戸の勝因を挙げるなら2点。中盤で、橋本、小澤司の2シャドーが落ちて、ボランチのビルドアップを助けた点。それがあって、ボランチの飛び出しもスムーズになった。そしてもう1点は、球際の攻防で優位に立ったこと。
柱谷哲二監督は「(試合序盤は)中盤の所で上手く回されました。そこで相手のプレッシャーに対しボールを失いました。逆に我々が良くなったのはそこで、今度は奪える様になったこと。そして、後半には完全にウチがどんどんプレスをかけて、(京都の)良さを消していった。その辺の中盤の攻防が本当にポイントだったと思います」としたが、監督自身、この攻防に打ち勝つチーム作りをし、それが表現されたことについて選手を讃えたかったのではないか。

京都は、徐々に相手に流れを持っていかれたのが悔やまれる。その要因は、選手のコメントにヒントがあるだろう。駒井は「僕もミチ(秋本)さんもコウヘイ(工藤)さんも上手くビルドアップに参加して、相手のラインを一枚一枚剥がしていったのが自分たちのペースになった要因」とした。福村貴幸は「なかなかディフェンスラインから、(相手の)FWのラインと中盤のラインの間を抜いてパスを通すというのは難しいので、中盤の選手が受けに来たりとか、そういうことは必要だったのかなと思います」とDFからの目線で話した。
要は、ボールを受ける選手が少なくなったということ。良いリズムの時はDFがボールを持つと、中盤が受けに来て(或いは誰かが裏を狙い)、相手FWの背中を取り、相手中盤の裏を取って、相手ラインを切り刻んでいった。だが、それが無くなり、クリアが多くなったり、パスを狙われたりした、ということだろう。

「つなぐ」の意味を考え直してみたい。物語の構成に起承転結というのがある。これを京都のサッカーにあてはめると、起は「ボールを受ける」で、承は「つなぐ」。転は「ゴールに向かうアクション」で、結が「フィニッシュ」となるだろう。「つなぐ」はあくまで承の部分ではないか。前半の上手くつないだ時間帯で欲しかったのは転・結の部分。この、ゴールに向かうアクションは、もちろんあった。特に、右サイドからのクロスに、マイナスの工藤が受ける瞬間、その右横を駒井が走り抜けるアクションは面白かったし、33分ごろの秋本の、抜群のスピード感のある縦パスも意外性があった。ただ欲を言えば、転の「ゴールへ向かうアクション」はもっと観たかった。そして、流れが悪くなれば起の部分から見直す必要があった、ということになる。
この、起のやり方は他にもある。大きく蹴り出し水戸DFをひっくり返して、詰めるやり方だ。DFは自陣向きなので前にクリア出来ない、なので、もしタッチに逃げてくれれば、京都は相手陣内からのスローインで始められる。これも起になるだろう。どちらがいいかは選手の判断。
水戸は、起承転結がはっきりしていた。起は「京都のボールを奪う」だった。そこからサイドへ、そしてクロスという展開。それを阻止するのも京都の起となる。

京都がやっていたことに問題があったとは思わない。ただ、勝ちたい気持ちと、下手な手は打ちたくない思いが交錯して、ある意味、シンプルな水戸に飲み込まれていった感がある、とは思う。こうした心理的な部分の対比がはっきりと色分けされた試合だったのではないか。

以上

2013.06.23 Reported by 武田賢宗
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