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【J2:第20節 熊本 vs 群馬】プレビュー:前節、屈辱的な大敗を喫した熊本と、最下位に転落した群馬。これ以上負けられないチーム同士が、鎬を削る一戦。(13.06.21)

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目を覆いたくなる光景だった。前節、北九州とのバトル・オブ・九州に臨んだ熊本は、開始5分に右サイドを破られて先制を許すと、再び大きな展開に揺さぶられて31分に失点。体勢を立て直し反撃に出ようと迎えた後半も始まった矢先に3点めを食らい、その後は前がかりになってバランスを崩し次々とカウンターから失点を重ねた。終わってみれば、クラブ史上ワーストとなる屈辱的な大敗。記録に残った0-7という数字と刻まれた悔恨の思いは消すことはできない。そのかわりずっと持ち続け、糧としなくてはなるまい。

順位こそ16位のまま変わっていないが、これで33となった失点はJ2最多タイ。そのうち半分以上の17点を15節以降の5試合で失っており、現状として守備に大きな問題を抱えた状態にあることは否定できない。南雄太は言う。「1つ1つのプレーがルーズになって、それが修正できていないからこうなってる。自分たちで厳しさを持ってやらないといけないし、誰がどうってことじゃなくて、皆で共有しないといけないと思います」。7度の失点場面を振り返れば、相手のシュートの場面に限らず、そのひとつ前、2つ前、さらに遡ると攻撃から守備への切り替えの時点と、全てで後手を踏んだ結果。「プロとして恥ずかしい限りで、サポーターの皆さんの思いを裏切る試合。真摯に受け止めて、ピッチの上で取り戻すしかない」と吉田靖監督も話すように、もはや守備陣だけの責任ととらえず、1人ひとりが前節の内容を省みて、同じ過ちを繰り返さないことだ。

そうした状況で対するのは、19節終了時点で最下位となった群馬。前節は8試合ぶりの勝利を手中にしかけながら、アディショナルタイムに同点とされ山形と引き分けた。結果として8試合勝ちから遠ざかっている状況は、熊本以上に厳しい。しかし「勝ちにつながっていなくても、ここ最近はいいゲームをしているし、平繁(龍一)や青木(孝太)も能力が高い。前線から追い回して、ボールを奪ったら飛び出してくる運動量もある」と吉田監督も受け止めている通り、決して侮れる相手ではないことも確か。山形戦でも前半は速い出足から相手を圧倒し、セカンドボールの争いでも優位に立った。群馬にとっても、今節は窮地を脱するために何としても勝点3を持ち帰りたい試合。熊本の弱点もしっかりインプットした上で、この一戦に臨んでくるに違いない。

群馬が前からプレスをかけてくれば、テンポ良くボールを動かしながらはがして前に運んでいくという狙いとする形に持ち込みやすいが、前節のスカウティングから、あるいは試合展開によってはブロックを作る可能性もある。そうなると熊本が気をつけなければいけないのはやはりカウンター。トップの平繁は前節も何度か鋭い飛び出しでシュートチャンスを迎えているほか、両サイドバックの保崎淳と夛田凌輔も高い位置まで張り出して永田亮太ら中央からのボールを引き出す。何より熊本の最近の試合で見られない攻撃の勢い、数的不利の状況でもフィニッシュまで持ち込む姿勢は特徴的で、クロスに対してもファーサイドにしっかり詰めるという意識が前節のエデルの追加点にも現れている。また平繁に関して言えば、熊本がJ2に加盟した2008年の第9節、広島時代の対戦で自ら仕掛けてPKを得て、確実にこれを決めた実績も。そうした場面を作らせず、同時にその裏を有効に使うためにも、奪ったボールを「相手の陣形が整う前に」(吉田監督)早く広く動かして攻めきること、その土台となる準備として出し手と受け手の「タイミングを合わせる」(原田拓)ことが必要。もちろん守備においては、攻撃時のリスク管理とチャレンジ&カバーの基本に立ち返り、1対1の球際の勝負で負けないことも不可欠だ。

ここまでの数字を見ると、得点の少ない群馬と失点の多い熊本という構図が浮かび上がってくるが、直近の試合展開からはメンタルと試合運びの問題もまた顕著だ。リードしていたり同点の状況で消極的になって終盤に失点(17節長崎戦、19節山形戦)している群馬に対し、熊本はリードされることによって動揺が広がってバランスを欠く試合が続いている。言い換えれば、お互いにスコアの動きに応じた展開に持ち込めていない、つまりは状況に合わせた判断やプレーの選択ができていないということ。システムがかみ合うのと同じように、チームの現状や課題も裏返しの関係にあると言えるだろう。

そうした中で求められるのは、チームとして「今何をすべきか」の判断を共有するのと同時に、個人個人が主体的に、自信を持ってより良いプレーを選択することではないか。「前節は(ボールに)行けないタイミングで食いついてしまったり、いい判断ができなかった」と矢野大輔が振り返っているが、守備の場面だけでなく攻撃においてもそれは重要。前述したように群馬がブロックを作って対応する状況になれば、コンビネーションだけでなく個での仕掛けや思い切ったシュートの選択がアクセントとなる。相手守備陣に混乱を生じさせる効果も意識して、勇気を持った判断ができるかにも注目したい。

あとはスコアが動いた後の戦い方だ。前節の試合後、途中出場した北嶋秀朗は、「うちのチームは、負けていると武器を持たずに相手に突っ込んで行くみたいな雰囲気がある」と表現している。ゲームの勝敗が決まるのは90分を戦った結果であり、仮にリードを許す展開になったとしても焦らず落ち着いて、追いつき、ひっくり返す瞬間を作り出したい。残り15分の失点も多いが、同じ時間帯の得点もリーグ3番めの8点と決して少なくはないのだから。

前節は4点差になっても5点差になっても、アディショナルタイムに7点めを叩きこまれても、そして終了の笛が鳴ったあとも、ゴール裏からの声援は止まなかった。おそらく1週間が経った今も、サポーターそれぞれの胸の内では熊本のチャントや選手コールが鳴り続いているだろう。それに応えることができるのは誰か? ピッチに立つ自分たちの他にはいない。

以上

2013.06.21 Reported by 井芹貴志
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