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【J2:第17節 千葉 vs 山形】レポート:走力や運動量、球際の勝負で千葉を圧倒した山形が快勝。ミス続出で今季ワーストの内容の千葉は完敗で今季初の連敗。(13.06.02)

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試合後に山形の選手が語った「相手に走り勝てた」「球際で戦えていた」という言葉に尽きる一戦だった。

走力、運動量、フィジカルコンタクトの強さに支えられた的確な状況判断のポジショニングやパス。それによって生まれる攻守の連動性と勝利を欲する気迫で千葉を凌駕した山形が前節の問題点を改善して快勝した。

ダブルボランチの一角の佐藤健太郎が出場停止の千葉は、最近は右サイドハーフでプレーする兵働昭弘をボランチに下げ、左サイドハーフでの出場が続いた田中佑昌を本来の右サイドに回し、左サイドハーフにはジャイールが入った。だが、佐藤健の欠場で中盤の守備力低下が懸念される状況下、攻撃に迫力がある山形との対戦では守備に難点がある兵働とジャイールのこの起用は厳しかった。『攻撃は最大の防御』と攻撃で相手を押し込んで守備の負担を減らせればよかったが、試合開始直後からエンジン全開でプレスをかけてボールを奪い、速く攻める山形の前に攻守で圧倒されてしまった。

山形は15分に伊東俊のFKから堀之内聖のヘディングシュートで先制。千葉のウィークポイントのセットプレーで確実にゴールを奪った。リード後も攻守はトーンダウンせず、セカンドボールを拾っては攻めて中盤を制し、試合の主導権を握る。だが、前半は支配率ほどには決定機を作れず、枠内シュートは千葉のGK岡本昌弘に阻まれた。

前半の千葉は、例えば田中が斜めに走って山形のディフェンスラインの背後に出ようとしてもパスが出てこないなど、相手の裏を狙う意識はあったもののパスの出し手と受け手の意思の疎通を欠き、連係がちぐはぐで決定機はゼロ。だが、修正を図った後半は右サイドで連係よく組み立てての49分のFWケンペスのヘディングシュートを皮切りに、51分のジャイールのクロスからの米倉恒貴のシュート、52分の兵働のミドルシュート、56分のジャイールのヘディングシュートとチャンスを作った。それらを決められないうちに山形に与えたPKで失点したのは痛かったが、その3分後に米倉のヘディングシュートを山形のGK常澤聡がセーブしたあとのこぼれ球に詰めたDF竹内彬がゴール。

反撃ムードが高まったが、竹内の得点から5分後に山口智、高橋峻希と競り負けが続いて山形の伊東にゴールを決められてしまう。勝負所の時間帯に自ら試合運びを苦しくするプレーが出てしまうところに勝負弱さが感じられた場面だった。

山形は17分に山崎雅人が負傷交代したが、ダブルボランチの一角のロメロ フランクがチーム最多の5本のシュートを打ったように終始攻めの姿勢を貫いてアクシデントの影響を感じさせなかった。

縦に急ぐばかりでなくパスをつないでの横方向の攻撃もあり、前節の攻撃面の課題を修正。試合は相手あってのことだが、今節のような攻守が持続できれば上位浮上の日も遠くないはずだ。

千葉はスコアこそ1−3だが今季ワーストの内容の完敗で、今季初連敗となった。選手交代もさほどの効果を発揮せず、試合への準備を含めて采配にも疑問が残るが、選手のイージーミスや集中力の欠如も大きな問題だ。だが、何よりも深刻なのは攻守の連動性などチームとしての上積みがほとんどないこと。近年では最低レベルのフィジカル面が改善できないならば、そのマイナス面を連動性でカバーする攻守が必要だが、未だに意思統一ができていないのか連係ミスが多い。

対戦相手はよく千葉の選手たちの技術の高さを評価するが、それが実感できる試合も少ない。J2で4年目の弱いチームと自覚して、その立ち位置からのチーム強化に改めて早く取り組まないと、今季もJ1昇格を逃しかねない。

以上

2013.06.02 Reported by 赤沼圭子
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