東京Vにとっては、4試合ぶりのホームゲームになる。「ホームであろうがアウェイであろうが、モチベーションや力を発揮するのに差があってはいけない」と、しながらも、三浦泰年監督は「ホームでは強くなくてはならない」とも強調する。残念ながらアウェイ3連戦では勝点2しか持ち帰れなかったが、今節こそはホーム開催を待ちわびたサポーターの前できっちりと勝点3を手にしたい。
第14節で神戸を下したにもかかわらず、松本、札幌戦で引き分けが続いてしまっていた。そのなかで迎えた前節vs徳島戦だけに、黒星はやはり痛恨だった。まして、内容を見ても勝てるチャンスも十分あった。それが、よけいに無念さを強めた。だが、だからといっていつまでも落ち込み、下を向いているような監督、チームではない。「引き分けは、勝点を積み重ねることで、ある意味“悪くない”という言い訳のきくような結果だけれど、負けたらすっきり、“次は何をするか”がハッキリ分かる。愛媛戦には徳島にわざと負けたぐらいの気持ちで臨みたい。なぜ負けたか?それは、次に勝つため。(徳島戦を)引き分けて、次の3試合も引き分けるよりも、負けて、しっかり修正して次の試合で勝つ。結果、それで取れる勝点は同じ。それぐらいの強い気持ちで戦います」(三浦監督)。前節の敗戦を無にしないためにも、また、引き分けの多いチーム状況にピリオドを打つためにも、「次は必ず勝たなければいけない」。東京Vは全員がすでに気持ちを切り替えている。
善戦しながらも、勝点3に結びつかない原因は「やっぱり、“点”」だと、飯尾一慶は語る。「点が入れば、もちろん自分たちもノっていけるし、それ以上に、相手からも生き生き見られるようになると思う。そうすれば、戦っていて『止められないかも』って、少しでも恐怖を思わせることもできるかもしれないし、見ている人も、生き生きやってるサッカーを見て楽しんでくれると思う。たぶん、僕たちが勝っている時は、そう(生き生き)見えてると思います」。“得点”のもたらす効果の大きさを力説した。そして、続ける。「だからこそ、セットプレーでもいいから、とにかく何が何でもまず先に点を取ること。僕ら東京Vにとってはつなぐこともすごく大事なことだけど、それ以上に“点”が大事。その優先順位だけはしっかりしないと、勝てる試合を勝つことができなくなってしまう。同時に、先に点を取られないという意識をみんなで統一していきたい」。チームとしても、その大事な得点を奪うため、今週は今までベースとしてやってきた“リズムとテンポ”を、再度しっかりと確認する声かけや練習が行われた。「ちょっとした(意識やタイミングの)ズレで、ミスを招いてしまっているので、しっかりチームで確認してゴール前の精度を上げたい」(常盤聡)。テンポよくつないで前に人数をかけ、見事な連携で崩す流れからの形でもいい。前節も見られた鈴木惇はじめ、西紀寛、石神直哉、安田晃大ら精度高いプレスキッカーによるセットプレーからでもいい。とにかく、この試合は今まで以上に先制点がテーマとなりそうだ。がむしゃらに奪いにいく姿勢に、ぜひ注目してみたい。
一方、そのセットプレーの守備を最大の課題にしているのが愛媛である。前節も、せっかくG大阪から先制点を挙げたにもかかわらず、CKからの2失点で逆転負けを喫している。前述のとおり、東京Vにも優れたキッカーが多数存在する。マークの確認、または不用意なファールでセットプレーを与えないなど、課題修正がしっかりできているのか。愛媛側から見ても、セットプレーにまつわる攻防はこの試合の大きな見どころとなりそうだ。
愛媛は、ここ2試合、神戸、G大阪と上位2チームとの対戦が続き、残念ながら連敗という結果となっている。だが、特に前節のG大阪戦では、早い時間に先制点を奪い、集中した粘り強いディフェンスでJ1レベルの猛者たちを苦しめた。石丸清隆監督も「自分たちでボールを動かすことを実践してくれたかなと思う」と話すように内容には収穫も見出すことができたようだ。あとは、そのできた部分を継続し、もう1つの目指すスタイルである「自分たちが主導権を握る」ことができるか。今季の愛媛の特徴ともいえる、ボランチがしっかりとゲームをコントロールし、的確にボールをさばいて三原向平、石井謙伍らサイドにつけ、シャドーの加藤大、赤井秀一が相手を吊り出すのを利用し、大きなサイドチェンジを使って崩していくという展開がどれだけ作れるか。また、ボランチにはトミッチの復帰も十分予想できる。彼が入れば、得意のスルーパスから一本で決定的シーンも作り出せるため、東京Vとしてはそのあたりのケアもしっかりとしたいところだ。
愛媛は、今季のクラブ目標に「9位以内」を掲げている。現在、東京Vがその9位に位置する。目標達成のためにも、また、自分たちの現在の実力と立ち位置を明確に知るためにも、東京Vは非常に良い相手と言えるのではないだろうか。収穫多き一戦としたい。
以上
2013.05.31 Reported by 上岡真里江
J’s GOALニュース
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