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【ヤマザキナビスコカップ 磐田 vs 甲府】レポート:“記憶喪失”の磐田。“記憶喪失”のスタジアム。甲府に勝ちきれず、予選敗退。(13.05.23)

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選手たちも、スタジアムも勝利の味を忘れてしまった。磐田のチーム状況は、深刻だ。

リーグ戦で17位と低迷する磐田だが、このカップ戦も勝ちに行った。ホーム・ヤマハスタジアムでの一戦。直近のリーグ戦・川崎F戦から4選手を入れ替えているが、前田遼一、駒野友一ら実力あるメンバーが並ぶ。自力で予選突破を決めることはできず、他会場の動向が気になるところではあったが、「他会場の結果というよりも、まずは自分たちが勝つことを考えて試合に入った」(駒野)。長澤徹監督もハーフタイムに他会場のスコアを選手たちに伝えず、目の前の試合に集中させた。2-4と敗れた川崎F戦で失点に絡み、試合後のピッチで涙を流した藤田義明は長い髪をばっさりと切り、丸刈り姿でスタジアムに登場。「気持ちを切り替えるため」(同選手)。試合前のウォーミングアップ時にはスタンドから「フジタ!思いっきりやれー!」と力強い声援をもらった。ゴールマウスを守った八田直樹は試合前から「サポーターのみなさんも決勝トーナメントに進む以前に勝つ試合が見たいと思う。どんなスコアでもいい。とにかく勝ちたい」と意気込んでいた。磐田は5月の公式戦でいまだ勝ちなし。もはやリーグ戦とカップ戦の区分けはないに等しいくらい、とにかく勝利という結果だけを欲していた。

序盤から見せた猛攻を思い返せば、1-1というスコアで終わったことが信じられない。先制したのは磐田。6分、右サイドの駒野が甲府の左サイドバック・崔 誠根を鋭い切り返しでかわし、左足でクロス。放物線を描いたボールがファーサイドへ飛び、GK・河田晃兵を超えてゴールに入った。駒野にとっては嬉しい今季公式戦初ゴールとなったが、試合後は「あの後もチャンスはたくさんあったので・・・」と唇をかみ締めた。その言葉の通り、8分には左サイドバック・宮崎智彦がシュートを放ち、11分には再び駒野のクロスに山本康裕、前田遼一が飛び込んだが、いずれもゴールならず。22分にはCKを金園英学が頭で合わせたが、最後のところで甲府の守備陣にしのがれた。

対する甲府はすでに予選敗退が決まっていたこともあり、直近のリーグ戦から大幅にメンバー変更。序盤にさらに失点していれば、一方的な試合とされていた可能性もあったが、ここで踏ん張れたことが大きかった。同点ゴールは30分。磐田のペースダウンもあり、徐々にリズムを掴み始めた矢先だった。その直前の29分。前線で縦パスを受けたオルティゴサが上手く反転。マーカー・伊野波雅彦に競り勝ち、ゴール前でFKを獲得(※伊野波にはイエローカードが提示された)。このFKを直接狙った橋爪勇樹のキックが磐田の壁に当たり、CKへ。橋爪のCKをニアサイドのマルキーニョス パラナが頭で競り、ファーサイドのオルティゴサが押し込んだ。この得点シーンを「練習通り」と振り返ったのはオルティゴサ。難しいバウンドのボールだったが、上手く右足をかぶせた。直近のリーグ・広島戦に続く得点に、「今日もゴールを決めて自信になればと思っていたし、得点を取ることができてよかった」と笑顔を見せた。このゴールに絡んだマルキーニョス パラナにとっても実りある試合となった。「今季初めて90分プレーすることができた」(同選手)。古巣・磐田との一戦に「対戦できただけで嬉しい」と充実した表情だった。

試合後、選手たちの頑張りを称えたのは甲府・城福浩監督。リーグ戦では限られた出番となっている選手もいた中、代表クラスの選手を擁する磐田に互角に渡り合って見せた。「我々は新たな選手を入れることよりも、我々自身が成長しなければと戦っていけないクラブという立ち位置。底上げするという意味では非常に意味のあったゲームだった」(同監督)。81分には崔 誠根が足をつって途中交代を余儀なくされているが、どの選手も最後まで手を抜かなかった。「気持ちを前面に出せたし、公式戦でチャンスをなかなか掴めていない選手もいたので自信になったと思う」と試合を振り返ったのはセンターバックの盛田剛平。自身も前半の接触プレーでまぶたの上あたりを切り、出血したが、テーピングを巻いて最後までピッチに立ち続けた。「ベンチ外となった選手(※主力組)が今日の仲間の試合を見て、心に期するものがないわけはないと思う。今日の試合を踏まえて土曜の試合にまた全員で向かっていきたい」(同監督)。リーグ・広島戦では1-5というショッキングなスコアで敗れているが、その流れを断ち切るきっかけとなったはずだ。

対する磐田はドローで勝点1を上積みしたものの、川崎Fが湘南に引き分けたことで予選敗退。もっとも、引き分けで決勝トーナメントに進んだところで選手たちに笑顔はなかっただろう。攻撃陣は追加点を奪えなかったことを悔やみ、守備陣は完封できなかったことを悔やんだ。今週末のリーグ戦はアウェイ・大分戦。「笑って磐田に帰ってきたい」。駒野が残した前向き言葉が、唯一の希望のように思えた。無論、この状況のまま中断期間に入る可能性もあるが・・・。

以上

2013.05.23 Reported by 南間健治
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