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【AFCチャンピオンズリーグ2013 柏 vs 全北】レポート:全北を凌駕した柏のゲームコントロール。タフな日韓対決を制した柏がアジア8強へ進出!(13.05.23)

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第1戦先勝のアドバンテージを生かそうと、決して守りに入ったのではない。しかし「メンタル的にも入り方が難しかった」と工藤壮人が語るように、試合序盤は第1戦同様嵐のような全北の攻撃に曝される滑り出しとなった。
レアンドロ ドミンゲスが欠場のため、柏は茨田陽生をトップ下に置いた4−2−3−1のシステムを取り、守備の局面では第1戦でその神出鬼没の動きに惑わされたイ スンギのケアに大谷秀和をぶつけた。ところがこの戦い方が噛み合わず、立ち上がりから決定的なピンチを招くなど柏は後手に回る。ついには21分、セットプレーからオウンゴールを献上して1点を先制された。

ネルシーニョ監督は、この立ち上がりを「気迫が足りていなかった」と評したが、それが冒頭にも記した工藤の言葉にもある、2−0で第1戦を先勝したゆえにメンタル的な難しさが影響したものだと推測される。ただし、この直後のシステム変更がきっかけになったとは思うが、「選手たちが今日の勝負を楽しむ、体を張るであったり、駆け引きであったり、そこができ始めてから、彼らの気持ちとプレーが比例して上がった」(ネルシーニョ監督)というように、柏のプレーに安定感が蘇る。4−4−2へ移行したことで、それまでマークを捕まえ切れていなかったエニーニョ、パク ヒドの両翼を抑え、大谷と栗澤僚一が全北のダブルボランチに対しアプローチに行けるようになり、それまで後手を踏んでいた柏のセカンドボール奪取率が飛躍的に上がる。工藤とクレオも前線から献身的に守備を仕掛け、何より2トップになったことで、クレオの収まりと工藤の抜け出しが共鳴し合い、高い位置で起点を作る。ゲームをコントロールし始めた柏が徐々にリズムを掴んでいった。

41分、セットプレーのセカンドボールから渡部博文のダイビングヘッドが決まり、1−1とした。前半のうちに追い付けたことは柏にとって追い風となり、勝ち上がるためにはあと最低でも2点が必要になった全北は、リスクを冒して攻めなければいけない状況に陥り、彼らの守備には隙が生じやすくなった。

51分、柏の敵陣でのセットプレーの際、全北の選手は自陣には戻っているものの、守備陣形を固めているというよりは、奪った後に攻撃へ転じられるようなポジションを取り、そのため空いたサイドのスペースに斜めの動きで走り込んだクレオが起点を作った。全北DFのクリアが、クレオのフォローに入った茨田に当たってゴール前へ流れた幸運も手伝い、こぼれ球の臭いを嗅ぎわけたジョルジ ワグネルがこれを拾うと、右足シュートで逆転弾をねじ込んだ。これで2−1。トータルスコアでは4−1となり、ここから3点を奪われない限り柏が勝ち上がれるという大きな1点が決まった。

全北のファビオ レフンディス監督は後半開始の「10分後にDFに代えて、FWを投入する」とハーフタイムに伝えた。すでにリスクを冒すことを承知だったが、この失点で窮地に立たされると、守備の選手に代えて次々と攻撃の駒を投入する。前線には4枚が残り、4−2−4のような並びになって、全体の陣形が間延びしたために、柏は良い形でボールを奪いさえすれば、カウンターでの狙いどころが増えた。バランスを欠く全北に対し、選手同士の距離感の良い柏の方が中盤で優位に立つのは必然。69分、ボールを持った大谷への対応が緩く、ほぼフリーの状態。大谷は最終ラインの全北DFの間で駆け引きをしながら裏のスペースを狙う工藤に絶妙のスルーパスを送った。見事な工藤のファーストコントロールから左足インサイドのシュートが決まる。このゴールが決まった時点で、勝敗はほぼ決したと言っていい。

イ ドングッに対してのロングボールも、ファウルを取られやすい難しい状況の中で、近藤直也と渡部が柔軟に対応し、アジア屈指の大型ストライカーに仕事をさせなかった。また、第1戦では不慣れなサイドバックを務め、ビルドアップや動き出しに苦しんでいた鈴木大輔も、前回の経験を生かして攻守両面でそつなくプレーをしたのはさすがである。チーム全体がタフに戦い抜いた結果、これまで日本勢が何度も打ち砕かれてきた「ラウンド16の韓国勢」という大きな壁を乗り越え、柏としてはクラブ史上初のアジア8強に名乗りを上げた。

ベスト8に進出しただけで、何かを手にしたわけではない。それでも難関だった韓国勢との対決を制し、初のアジア制覇に向けて前進したのは揺るぎない事実だろう。8月の準々決勝には戦列を離れている怪我人も戻ってくる。日程はますますタイトになるが、戦力の整うこれからの戦いこそ、アジアの頂点に立つための本当の勝負だ。

以上

2013.05.23 Reported by 鈴木潤
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