決勝トーナメント進出を前節の時点で決めていたC大阪と鹿島のグループB首位攻防直接対決は、エジノの加入後初得点、柿谷曜一朗のドリブルシュートで2得点を奪ったC大阪が、鹿島を1点に抑えて、2-1で勝利した。これで勝点を13に伸ばしたC大阪は、同12の鹿島を上回り、グループB首位で予選リーグを終えた。また、C大阪は、2010年J1第20節(1-0)以来となる鹿島戦の白星で、公式戦での鹿島戦連敗記録を8でストップさせた。
決勝トーナメントではオープンドロー方式が採用されるため、1位であろうと、2位であろうと、順位が確定した時点での優劣もない。何かのプレッシャーがかかった試合というわけでもなく、いわゆる「消化試合」と言われてもおかしくなかった、ヤマザキナビスコカップ予選リーグでの最終戦。それでも、平日、水曜日にキンチョウスタジアムで行われたナイトゲームに、スタンドをほぼ埋め尽くすような、10,336人の観衆を集めた試合では、その環境にふさわしいような好ゲームが、熱戦が展開された。
その幕を開けたのは、今季、C大阪サポーターが待って、待って、待ち焦がれた9番を担うブラジル人FWのゴールだった。開始早々の2分、鹿島の若いセンターバックコンビ、植田直通と山村和也の間を突く、浮き球の縦へのフィードが彼のもとへと渡る。そして、そのボールに反応した183cmの長身ストライカーは、バウンドを合わせながら、得意の左足を一閃。すると、ボールは見事にゴールに吸い込まれた。その瞬間、スタジアムはいきなり沸騰。桜色に染まったスタンドからは歓喜の声がこだました。「すごく幸せな気持ちになった」というエジノ。彼の初得点が、チームを、サポーターを活気づかせた。
しかし、そこで黙っていないのがヤマザキナビスコカップ2連覇中のカップウィナー、鹿島だ。リーグ戦から先発を7人入れ替えたものの、才能あふれるタレント集団は、J1第12節名古屋戦を出場停止で欠場し1週間ぶりの公式戦となったダヴィを中心に、徐々に反撃に出ると、21分、試合を振り出しに戻す。中村充孝とのワンツーから抜け出した大迫勇也が、右足でシュート。C大阪GKキム ジンヒョンの足にあたったところ、そのこぼれ球をダヴィがヘッドで押し込んだ。
ただし、そこから鹿島に行きそうな流れを払拭したのは、C大阪の若きエースの個人技だった。36分、自陣中央付近からボールを持つと、単独突破を開始。「『ボールを取ったとき、早く前を向いて行け』と言われていた。あそこで誰かにパスをして崩すより、あの形が一番早いので。練習から意識をしていたことだった」という8番は、そのまま敵陣バイタルエリア付近までドリブルで進むと、鹿島DFに囲まれながらも、自ら右足を振り抜き、見事にゴール。今季の桜色のトップスコアラーによる、スタジアムのボルテージを最高潮にする一撃で、C大阪が再び勝ち越しに成功した。
2-1で折り返した後半に入ると、「連戦というのもあって、C大阪の選手も疲れてきていたとは思いますが、僕たちは少し選手を入れ替えたりしていて、フレッシュな感じでやれましたし、後半押し込めた部分があった」と鹿島の本田拓也に言われるように、メンバーをJ1第12節柏戦から3人しか入れ替えなかったC大阪は、運動量が落ち、劣勢を強いられる。柴崎岳のスルーパスが冴え、途中出場の本山雅志がリズムを作り、大迫やダヴィ、野沢拓也らに決定機を作られる。それでも、鹿島戦に人一倍闘志を燃やしていたC大阪GKキム ジンヒョンをはじめ、桜色のチームは身体を張って奮闘。鹿島がシュート精度を欠いたことにも助けられたC大阪は、そのまま逃げ切りホームで勝利を収めた。
鹿島のトニーニョ セレーゾ監督が、「スタジアムに足を運んでいただいた皆さんには、非常にサッカーの面白さがあった試合を見ることができたと思いますし、自宅でテレビを通じて見ていた人たちにとっても、非常に面白みのある試合だったと思う」と述べたように、それぞれの持ち味が発揮された、C大阪と鹿島の一戦。互いの若き力、新たに出場機会を得た選手たちも躍動しつつ、C大阪も、鹿島も、取るべき人が得点を取った試合は、今後のJ1リーグ戦にも、そして、ヤマザキナビスコカップ決勝トーナメントにもつながる、好ゲームだったと言えよう。
以上
2013.05.23 Reported by 前田敏勝
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