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【ヤマザキナビスコカップ 清水 vs 横浜FM】レポート:両者とも結果にこだわったメンバーで戦ったゲームは、横浜FMが技術と経験で試合をコントロールして完勝。自力で2年ぶりの予選突破を決める(13.05.23)

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どちらも結果にこだわったメンバーで臨んだヤマザキナビスコカップ予選最終戦。ただ、どちらの選手も身体が重い中で、より強調されたのは技術や経験の差。それが結果にもそのまま表われて、横浜FMが自力で文句なしの準々決勝進出を決めた。

前節で予選敗退が決まっている清水は、今回は土曜日の仙台戦に向けて疲れのたまっている選手を休ませるかと予想されたが、フタを開けてみればスタメンは前節(リーグ戦第12節)から3人代わっただけ。ベストメンバー規定上も5人は変えることができたが、その枠を使い切ることなく、軸となる選手を残して試合に臨んだ。ただ、その中でも1年目の六平光成と藤田息吹は公式戦初出場で、非常に楽しみな存在となった。

一方、引き分け以上で予選突破が決まる横浜FMは、「中途半端なゲームプランを立てたくなかった。他会場の結果を待ってとか、引き分けを狙ってという入り方をしたらろくなことがないと思っていた」という樋口靖洋監督(横浜FM)の考えの下に、前節からスタメンの変更は2人だけ。そのうちGKは榎本哲也の負傷欠場もあったため、テスト的な起用は左サイドバックの奈良輪雄太(プロ初出場)だけだった。

そんな中で、立ち上がりにペースをつかんだのはホームでの勝利にこだわる清水。プロデビュー戦の六平や藤田も、初めから積極的な縦パスや前にボールを運ぶ意識を見せて攻撃の推進力を生み出し、良いスタート。3分には藤田と六平が絡んだ右サイドの連携でうまく崩し、河井陽介のパスから竹内涼が裏に飛び出して良い形で右クロスを入れる場面を作った。

守備では前からプレスに行くというよりも、コンパクトなブロックを作って対応するという形でスキを与えず。攻撃では横浜FMがあまり前からプレッシャーをかけてこないこともあって、後ろから落ち着いて組み立てることができていた。8分には左サイドの深い位置で石毛秀樹がボールを奪い、バレーが惜しいシュートを放つ場面も作った。

しかし、開始10分を過ぎたあたりからは清水の勢いが弱まり、主導権は少しずつ横浜FMに移っていく。「エスパルスが思ったより(前からプレスに)来なかったので、しっかりボールを握って、慌てずにやろうと思った」(齋藤学)という言葉通り、横浜FMは自陣から落ち着いてパスをつないでボールを握る時間を増やし、じっくりチャンスをうかがっていく戦い方にシフト。こうなると清水よりも個々のキープ力が高く、ミスが少ない分、カウンターを受けるリスクも少なく、自然に優位な展開になっていく。しかも、それほど運動量を増やすことなく自分たちのペースを作れたのは、横浜FMにとって好都合だった。

そんな中で、横浜FMではいちばん疲れがたまっていない齋藤学が虎視眈々と2列目から裏に飛び出すことを狙っていく。「(清水は)前からプレスに来ないわりにDFラインが高かったので、裏を狙いやすかった」(中町公祐)と、横浜FMとしては冷静に狙い目も見出していた。

それが結果に結びついたのが、44分の先制シーン。中盤右サイドで前を向いた兵藤慎剛がフリーの状態から裏にスルーパスを送って齊藤がきれいに抜け出し、急いで可能性の低いシュートを打つのではなく、冷静に切り返して時間を作ってからマルキーニョスにラストパス。これをマルキーニョスがきれいに押し込んで、自分たちの優位を決定的なものにする。横浜FMとしては、省エネで主導権を握り、省エネで先制点を取ることができた前半だった。

後半は、清水がハーフタイムで六平に代えて伊藤翔を入れて攻撃の迫力を増そうとしたが、精神的な余裕を増した横浜FMは、まったく慌てることなく前半と同じペースを維持。ムダな体力の消耗を抑えつつ自分たちでボールを支配しながら時計の針を進めていく。清水が前線の高さを生かしてロングボールを入れても、センターバックの2人がしっかりと競り勝ち、セカンドボールも拾ってスキを与えない。

そして、64分には次節に向けてマルキーニョスを休ませ、藤田祥史を投入。その4分後(68分)には、奈良輪の左クロスから藤田が身長差のあるイ キジェに競り勝ってヘディングで2点目をゲット。これも樋口監督にとっては非常においしい展開だった。その後、72分から中村俊輔も休ませ(佐藤優平と交代)、あとはカウンターを狙いながら逃げ切る体勢に入った。

その中で清水は、69分にロングボールのこぼれを拾ってチャンスを作り、伊藤の左クロスから石毛がヘディングで押し込んで、なんとか1点を返すことに成功。その後も勝利をあきらめることなく勢いのある攻撃を見せたが、攻撃自体は単調で工夫や精度も今ひとつ。百戦錬磨の横浜FM守備陣から2点目を奪うことができないままタイムアップの笛を迎えた。

両チームともメンバーをあまり変えずに臨んだ中で、それが良い方向に作用したのは明らかに横浜FM。清水のほうは、たとえば中盤のプレスで大きな役割を担う村松大輔の動きが明らかに重く、そこでいつものような鋭いプレッシャーがかからなかったかったことも、主導権を握れない大きな要因のひとつになっていた。

清水が中2日で迎える仙台戦では、仙台は先週も今週も水曜日の試合がなく、フレッシュな状態で臨んでくる。それを考えると、この1試合の敗戦以上に失うものは大きかったかもしれない。

以上

2013.05.23 Reported by 前島芳雄
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