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【J2:第15節 水戸 vs 岐阜】レポート:前半を制した水戸が試合を制し、5試合ぶりの勝点3を獲得。だが、後半の戦いには課題が残った。(13.05.20)

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16分、この一戦にかける水戸の思いが鈴木雄斗の右足に乗り移った。セカンドボールを拾った鈴木雄はワントラップしてから豪快に右足を振り抜く。アウトサイドにかかったボールはゴール右隅に突き刺さった。

「試合の入りさせよければ、いい試合ができる」(西岡謙太)。選手たちはそう確認し合って試合に臨んだ。4試合勝利のなかった水戸。「内容は悪くなかった」(柱谷哲二監督)ものの、前半にできた隙を突かれて先制点を許したことが勝ち切れない原因となっていた。4試合で喫した8失点中6失点が前半に喫したもので、5得点はすべて後半に決めたもの。いかにいい形で試合に入るかが現状を打破するためのポイントであった。

そのためにも守備ではなく、攻撃でリズムを作ろうとしたのであった。その意思の表れが輪湖直樹の起用であった。これまで守備を安定させるためにセンターバックを本職とする尾本敬が左サイドバックを務めていたが、今節は「フィジカルもメンタルも上がってきた」(柱谷監督)攻撃的な左サイドバックの輪湖の起用を決断したのだ。

「中央突破はできるようになっているので、サイド攻撃のバリエーションを増やしたい」と柱谷監督が輪湖起用の狙いを語ったように、サイド攻撃を活性化させることでチームを勢いづけようとしたのである。その期待に輪湖は応えた。序盤からアグレッシブに左サイドを駆け上がり、岐阜のウイングバックを押し下げたことで水戸が優位に立つことができた。

そして、鈴木雄の一発で水戸が先制すると、その後も攻め手を緩めず、岐阜ゴールに襲いかかり、24分に橋本晃司からのスルーパスに抜け出した山村佑樹がGKとの1対1を決めて追加点を挙げ、45+1分にはカウンターからゴール前に走り込んだ橋本がゴールを決めてダメ押しする。3対0。前節とは正反対のスコアで前半を終えることに成功。今節の「前半」に対する思いが、最高の形で表れることとなった。

しかし、後半は課題の残る出来となってしまった。「気持ちの面で変に余裕がありすぎた」(三島康平)ことでプレスが緩んでしまい、「やらないといけない」(田中秀人)という意地をむき出しにして攻めてきた岐阜に対して後手に回ってしまう。局面で数的優位を作られ、ゴール前にボールを再三入れられ、62分に右サイドからのクロスを受けた染谷一樹を細川淳矢が倒してしまい、PKを献上。染矢に決められ、1点を返されてしまう。

なんとか水戸は立て直したいところだったが、その後も岐阜の勢いに押される展開に。サッカーでよく言われる「魔の2点差」。次の1点が大きな意味を持つこととなった。そして、68分に勝負を分ける場面が訪れた。岐阜の右サイドからのクロスに対し、石神幸征が処理をミス。そのボールを拾った樋口寛規がゴール至近距離からシュートを放つ。誰もがゴールが決まったと思ったその瞬間、水戸GK笠原昂史が鋭い反応を見せてシュートをはじきだしたのだ。もしこの1点が決まっていたら、試合はどちらに転ぶか分からなかっただろう。笠原のビッグセーブが勝利を引き寄せたのであった。

そのプレーで息を吹き返した水戸が盛り返し、87分に橋本が蹴った左CKを尾本敬が頭で合わせて勝負あり。水戸が5試合ぶりの勝利をおさめた。プレビューで触れたとおり、前半を制した水戸が試合を制した。
4対1。結果だけを見れば、「完勝」と言えるかもしれないが、盤石な戦いができたわけではない。特に後半は防戦一方の展開を強いられ、68分の場面を決められていれば、結果は異なっていたかもしれない。手放しで喜べる勝利ではなかった。ただ、頼もしいのはそれを選手たちが理解していることであった。試合後、選手たちは喜びよりも反省点を多く口にしたのである。「自分たちで自分たちを苦しめてしまった」。西岡は険しい表情でそう振り返った。5試合ぶりの勝利を手にしても満足しない選手たち。その目には「もっと上に行くんだ」という強い意志がみなぎっていた。結果以上に、彼らのその姿勢にこのチームの可能性を感じることができた。

前半の3失点が響き、敗戦を喫した岐阜。7試合勝利がなく、トンネルの出口を見いだせずにいる。しかし、光明がないわけではない。後半に見せた猛攻はチームのポテンシャルの高さを感じさせ、さらに第11節山形戦から採用している3−6−1システムに関しても「手ごたえを感じている」と田中秀人が言うように、戦術の精度の高まりも示した。あとは勝負強さを身につけたいところ。試合後、田中は力強い言葉でこう語った。「試合後、サポーターから言われた通り、球際だったり、戦うところがまだ足りない。そこをもっと突き詰めていかないといけない」。苦しみから得るものが必ずある。この敗戦が浮上のきっかけになるかもしれない。

以上

2013.05.20 Reported by 佐藤拓也
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