17位・富山が勝点３差で追う11位・福岡をホームに迎える。ともに前からボールを奪いにいくアグレッシブなスタイルを追求しており、好ゲーム必至の組み合わせだ。

富山の前節・千葉戦は波乱万丈の展開だった。千葉の決定力に屈して３失点したが、折れることなく攻めて後半34分についに１点差まで迫った。同点、逆転の可能性をも感じさせる戦いぶりに多くの人が気持ちを高ぶらせたはずだ。２−３で敗れはしたが、喜怒哀楽の詰まった90分を演じ切った。５戦未勝利（２分３敗）となり順位は下がった。しかし安間貴義監督は「上位との勝点差はまだ小さい。４位・千葉とあのような試合ができる実力があれば追い付ける」と語る。そして、「試合内容が良くても勝てない時期は必ずある。乗り越えなければならない」と続けた。
チームは前々節の鳥取戦後に練習量を増やした。心身のスタミナをさらに上げ、ここまで目立っている終盤の失点を防ぐ狙いがある。並行して決定力アップのためのシュート練習は変わらずに継続している。16日には紅白戦を行った後にシュート練習を追加した。監督は「失点してはいるが終盤の運動量は落ちてはいない。逆にうちの選手は千葉戦のように苦しい時間にどんどん前に出ていける。疲れがある中でも決め切れるようになってほしい」と話す。現在、後半30分以降の失点は７に上るが得点も６ある。この得失点差がプラスに転じていくことを期待しよう。

最近６試合連続して完封がなく計14失点している。組織的な守備が機能している割には粘り切れていない印象だが、DF平出涼は「毎試合、ゼロに抑えてやろうと思っている。やるべきことを徹底すればよい。これまでと同様に高いラインでコンパクトにプレッシャーをかけていきたい」と言う。リーグの３分の１を消化して確かな手ごたえを感じているようだ。「結果には満足していない。プレーの質を高め、もっと勝点を重ねられるようにしたい」と話している。

福岡は前節、Ｇ大阪に２−３で敗れた。しかし富山と同様に３点差を追って終盤２点を返す猛攻をみせている。いずれのゴールを挙げたのもFW石津大介だった。昨夏の富山戦では自身Ｊリーグ初得点を挙げて逆転勝ちの立役者になっている。今回も勝負を左右するキーマンになるかもしれない。
新任のスロベニア出身、マリヤン・プシュニク監督は前線からのハイプレッシャーと縦に攻める意識を短期間で浸透させてチームを変えた。富山の安間監督は「欧州の本格的なサッカーに取り組んでいる。前からプレスをかけ、交わされるのを恐れずに間合いを詰めてくる。早く対戦してみたいと思わせる良いチーム」と印象を述べている。
互いがハイプレッシャーでぶつかり合えば、問われるのは相手を交わすパスワークになる。狭いエリアに突っ込んで一気の打開を図るか、大きな展開を交えて相手を揺さぶるかの状況判断もポイントになる。ストロングポイントを出し合っての力比べは、自らの実力が試され露わになる機会にもなるだろう。
両チームは先制点を挙げた試合の成績が同じ4勝2分1敗。勝点を取り損ねた3試合はいずれも終盤に失点しているのも共通で、特に福岡はすべてアディショナルタイムで失点して苦い思いを味わっている。リードしても油断は許されず、勝負の行方は試合終了まで分からない。

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2013.05.18 Reported by 赤壁逸朗