新潟は5月に入ってリーグ戦3試合で2勝1分。不敗を伸ばすとともに、今季初の連勝で勢いを増したい。その中心になるのが、絶好調のFW川又堅碁だ。前節鳥栖戦ではハットトリックを達成し、現在3試合連続ゴール中。4戦連続弾を、チームの連勝につなげる。

「普通です」。ハットトリックを達成しても、連続ゴールの最中でも川又の心境に変化はない。それは得点して当然、というおごりに近いものとはまったく異なる。「どの試合もゼロからのスタートです。何試合得点していても、関係ないです。目の前の試合に全力を尽くす。毎回そうです」。1試合にかけるひたむきな姿勢で、大分戦に臨む。

大分とは、岡山に期限付き移籍していた昨季、J2で対戦した。「当時とはメンバーが変わっているから」と前置きし、「3バックの背後を狙えばチャンスになる」。攻撃のポイントは心得ている。

ここ3試合連続ゴールで5得点。量産する中で、プレーそのものの変化はそれほど感じていない。コンビネーションから裏を狙う、セットプレーでのヘディング。得意なプレーを出し続けてきた。

変わったのは心構え。現在第8節から4試合連続スタメン出場中だ。それまでは終盤の途中出場だった。結果を残さなければ出番が回ってこない。そんなプレッシャーを自分でかけていた。

今は違う。「余計なことを考えずに、サッカーができている」。得点したら乗るタイプと自認する。第9節清水戦でJ1初得点を決めた。手応えがあった。「ゴール前で落ち着きが出てきた。落ち着いているからゴールマウスも見えるし、周囲の動きも見える」。柳下正明監督が言うように、冷静にプレーできるようになり、すべてがいい循環になった。

昨季岡山で出場停止をはさみながらも出場3試合連続で得点を記録。4試合連続になれば、「自己新」になる。「もちろん、点は取りたいです。でも、それ以上に勝ちたい」。ゴールを奪って、チームを勝利に導く。ストライカーとしての真骨頂を見せる。

大分は開幕から11戦未勝利。川崎Ｆ、浦和と引き分けた開幕当初のアグレッシブさが、やや薄れた感は否めない。ただ、カウンターと、ロングボールで活路を開く形はできている。

その起点になるのが森島康仁。森島を軸に周囲が連動する形に持ち込みたい。そのためにも、セカンドボールの支配が必要になる。

奪ってからは、広島戦で積極的なプレーを見せた松原健らが機動力を発揮する機会が増える。守備は中盤、最終ラインで強固なブロックを形成し、新潟がボールを失った瞬間を狙う。

新潟は5月攻勢を本物にするためにも、ホームでの勝利がほしい。大分は今季初勝利を目指してモチベーションを高め直す。 気持ちで上回った方が勝点3をつかむ。

以上

2013.05.17 Reported by 斎藤慎一郎（ニューズ・ライン）