ヤマザキナビスコカップのBグループで2位のＣ大阪（勝点7）と、5位の鳥栖（同4）が、Ｃ大阪のホームであるキンチョウスタジアムで対戦する。2試合を残す両者は、勝点6で並ぶ3位Ｆ東京と4位名古屋が1試合多く消化していることもあり、勝てば自力での予選突破の可能性を持っている。Ｃ大阪としては3年連続の決勝トーナメント進出を、鳥栖としては初の決勝トーナメント進出を、それぞれ狙うための、大事な一戦となる。

リーグ戦最近5試合では、1勝4分けと無敗ながら、勝ちきれない試合が続くＣ大阪と、1勝1分け3敗と黒星が目立つ鳥栖。今回は、リーグ戦の合間に行われるヤマザキナビスコカップになり、舞台が違うものの、ともに停滞ムードを吹き払うためにも、欲しいのは白星。「勝っていないし、ふがいない内容が続いている。（J1リーグとは）違う大会だが、もう一回、チームの質とか連係面とかを高めたい。Ｊリーグと変わらない気持ちを持って臨みたい」とＣ大阪MF酒本憲幸も気合いを込める。

特に、ポイントになるのは、リーグ戦ここ2試合で、Ｃ大阪なら4失点、鳥栖なら5失点している守備を、いかに改善できるかということだろう。Ｃ大阪DF藤本康太も、「DF面では（2試合で）2失点ずつしているので、気を引き締めてかからないといけない」と反省点を述べている。今季序盤では失点の少なさが光ったＣ大阪にとっても、堅守速攻を本来のスタイルとする鳥栖にとっても、チーム浮上のきっかけには、ディフェンスの安定が欠かせない。

ただし、それ以上に、Ｃ大阪のレヴィークルピ監督の頭にあるのは、「足りないのは、チャンスを決めきるという結果。そのことに尽きる」と、あくまでゴール。攻撃サッカーを掲げる名伯楽は、攻めきることにこだわる。リーグ戦ではJ1第10節浦和戦でも、第11節川崎Ｆ戦でも、さらなる追加点のチャンス、勝ち切る可能性を持っていた。それだけに、Ｃ大阪としては、「俺と健勇がしっかり仕事できれば、2人の連係がもっとよくなれば、ゴールに近づくと思う」という柿谷曜一朗、杉本健勇の前線を中心に、徹底的に得点を奪いにいく。今季、キンチョウスタジアムでは1試合しか行われておらず、その時のＣ大阪と大分の一戦は、スコアレスドローに終わった。「今季キンチョウ初ゴールを決めたい」と柿谷も言うように、サポーターが待っているのも、ゴールしかない。

ヤマザキナビスコカップでの両者の対戦成績は、Ｃ大阪が4勝1分けと圧倒。しかし、リーグ戦では、昨年初のJ1での戦いでも、Ｃ大阪の1勝1分けながら、最後まで目の離せない、僅差を争う攻防が繰り広げられた。鳥栖について、「コンパクトでタフな、パワフルな戦いをしてくる」と警戒するレヴィークルピ監督だが、「我々は、もちろんパワフルさも求めつつ、Ｃ大阪の技術をより重視した戦いを見せたい」と、本来のサッカーを貫く構えだ。また、イレブンも「相手は走ってくるので、走り負けないようにしたい。行けるところはどんどん上がっていきたい」（丸橋祐介）と、運動量でも対抗する準備はできている。「チームのベース？　変えるつもりはない」とレヴィークルピ監督が堂々と宣言するように、15日間で5試合という連戦の最中でも、Ｃ大阪はベストメンバーで臨む。

一方の鳥栖は、J1第11節新潟戦後に脱水症状を訴えたエースFW豊田陽平の様子が気がかりなところ。また、過去のヤマザキナビスコカップでのアウェイ戦では、清武功暉や岸田翔平といったルーキーが積極的に起用されていた。今回、尹晶煥監督がどのようなメンバーを組んで、古巣のホームスタジアムに凱旋するのかも、見どころである。

昨年の同じ舞台での一戦では、Ｃ大阪が5-0と鳥栖に大勝して、予選突破を決めた。果たして、Ｊリーグ20周年の日となる2013年5月15日に行われる一戦では、どんな結果が待っているのか。Ｃ大阪なら柿谷、山口螢、丸橋、扇原貴宏、杉本、南野拓実ら、鳥栖なら水沼宏太、清武、岸田、坂井達弥ら、ニューヒーロー賞候補がひしめく両者。Ｊリーグとともに育ってきた彼らを中心に、好ゲームが展開されることを期待したいところだ。

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2013.05.14 Reported by 前田敏勝