2点を先行され苦しい戦いを強いられたリーグ戦のC大阪戦において2ゴールを決め、チームに勝点1をもたらす原動力となった大久保嘉人に身内の不幸があった。長く闘病生活を送っていた実父の大久保克博さんが12日に逝去された。危篤状態に陥っていた克博さんの容態が思わしくない中での活躍に、風間八宏監督は「彼の精神力には頭が下がります。心が痛いことですが、その中でも最後までやって、プロの姿勢を見せてくれました。また、親孝行の息子であるところを見せてくれた。そういうところは見習うべき選手だと思います」と述べている。
克博さんを見舞うため、大久保は11日のC大阪戦後、スタジアムから直接北九州の実家へ移動。チームスケジュールの関係もあり、逝去された12日にもそばに居ることができたという。クラブからの発表では、14日の通夜と15日の告別式のそれぞれに喪主のひとりとして参列するという。チーム関係者によると、大久保自身、父である克博さんから看病などのためにチームに迷惑をかけることを強く戒められていたというが、さすがに告別式は別である。風間八宏監督は、チームへの合流時期について明言を避けたが、試合当日の告別式で喪主を務めるとなるとチームへの帯同は難しいと考えるのが妥当であろう。
そんな状況を踏まえつつ、この試合の意味を問われた風間監督は「負けていい試合はひとつもないし、負けるつもりの試合もない。ただ考えてみると、これだけの連戦が続けば何がベストか、俺達が一番わかっている。その時のベストで戦う」と述べている。
残すところ2節となったヤマザキナビスコカップ予選リーグAグループにおいて、川崎Fは勝点7の3位につけている。ここまでに消化した試合は4試合で、この大宮戦を含めて2試合を残している。一方の大宮はすでに5試合を戦っており、手にした勝点は6で4位。川崎Fは2連勝すれば最大で勝点を13にまで伸ばすことが可能であり、予選突破に大きく近づくことができる。その一方で、大宮もこの試合を勝って勝点を9にすることが出来れば、得失点差によって2位以内に入る可能性を残している。そういう意味で、共に勝点3が欲しい試合である。
等々力という舞台での負けられない戦いにおいて川崎Fの先発が有力視されるのがケガから復帰してきた安柄俊である。中央大学から今季加入の安は、今年1月20日に行われた新体制発表会見の場で、翌日に半月板の手術を受ける旨サポーターに報告。「明日(1月21日)の昼ごろ、お暇があれば、ぼくの手術の無事を祈っていてください」と述べていた。そこから始まった地道なリハビリの日々を考えれば、感慨深いものがあっておかしくはない。
安は、試合出場について問われると「試合に出たら久しぶりです。やってみないとわからないですが、ピッチに立つのは楽しみです。夢見ていたところですし」と述べていた。試合当日まで何があるかは分からないが、手術時にお祈りをしたサポーターも、そうでないみなさんも、彼がピッチに立つような事があればぜひ声援をお願いしたいと思う。なお、中央大学から今季大宮に加入し、すでにポジションを手にした「メロ」こと今井智基とは同学年ということで頻繁に連絡をとりあう仲だとのこと。まだ、お互いにこの試合で出場するかは定かではないが、もしこの両者が共に試合に出場し、マッチアップするような事があれば注目の場面の一つとなりそう。
この安を2列目から支える山本真希は「前の2人がはじめて組むので、守備のところで声を出してサポートしたいと思います。そこは徹底したいですね」と述べていた。ここ数試合における川崎Fの内容の良さは、前線と中盤、中盤と最終ライン、最終ラインと前線との距離感がひとつの要因として上げられる。そういう意味で、間延びしてしまわないようなコントロールがチーム全体として必要となる。だからこそ、ボランチの山本が背負う責任は大きいものになりそうだ。
徐々に内容の良さを取り戻している川崎Fに対し、大宮も好調を維持するチームの一つである。リーグ戦における連続不敗記録を21にまで伸ばしており、強さを見せているのはご存知の通り。その大宮は先週末の仙台戦を落とし、記録が止まってしまったが、だからこそ気持ちを強く持っているはず。そうした点について大島僚太は「相手は(仙台戦に)負けて、嫌な流れで来ていると思うので、勝ちたいと思っていると思う」と話し警戒していた。リーグ戦とカップ戦と、大会は違うがそれにしても公式戦での連敗は避けたいと考えるのが普通であろう。
そんな大宮を牽引するのが最終ラインを統率する菊地光将である。川崎Fサポーターにはお馴染みの選手だが、その頭ひとつ抜けた打点の高いヘディングはもちろん、高いカバーリング能力を持つ選手であり、彼の壁を超えるのは簡単ではない。またその菊地を含めた最終ラインは、強気のラインコントロールを実現しており全体をコンパクトに保っている。これにより、中盤でのプレスは激しくなるが、これに対して川崎Fは、一人でもボールを呼び込むことを躊躇するととたんにパスが回らなくなる。怖がる選手が一人でも出てくると、とたんに難しい試合展開を強いられるのである。
ただ、逆の見方をすれば、すべての選手が自信を持ってパスコースに顔を出し「オレにパスを出せ」という姿勢を見せれば相手は捕まえどころを無くし、積極的な守備を打ちにくくなる。C大阪戦がまさにそうした戦いになっており、試合を通して相手を圧倒する内容を実現した。ぜひ、この試合でもそうした戦いが見られることを期待したいと思う。
いずれにしても、共にまだ決勝トーナメント進出に向け可能性を残すチーム同士なだけに、勝点3を狙った激しい戦いを見せて貰いたいところだ。
以上
2013.05.14 Reported by 江藤高志
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