前々節、前節と3バックを採用するものの、実質5バックとなり、徹底したリトリートディフェンス戦術となってしまい、攻撃への糸口が全くと言ってつかめなかった岐阜。この試合ではその反省を踏まえ、『積極的な3バックシステム』に切り替えた。5バックにすることなく、3バックが基本ブロックを作り、ボールサイドのウイングバックが上がったら、逆サイドのウイングバックが下がって、4枚で対応。さらにウイングバックは2シャドーと相手のサイドバックのマークを受け渡ししながらバランスを取るという、本来の3バックシステムの戦い形にしてきた。
前半はこれがはまった。後ろのラインポイントと中盤から前のプレスポイントがはっきりとしたことと、ツーシャドーに美尾敦と山崎正登と、経験のある選手を配置したことで、チーム全体にリズムが生まれた。これまでの3試合と比較すると、かなり岐阜がペースを握った状態で試合を運ぶことが出来た。だが、アタッキングサードのプレーの精度の低さまでは改善されなかった。
いい形でアタッキングサードまでボールを運ぶも、ラストパスの質が低かったり、トラップの質が低く、最終的には相手GKにたどり着く前に、DFの足に引っかかってクリアされるという展開に終始した。
0-0で迎えた後半、岐阜は前半のペースを掴んだまま、試合を運ぶことが出来た。だが、ラストプレーの精度の低さまで同じであった。63分、樋口寛規が完全に抜け出し、GKと1対1になる最大のビッグチャンスを迎えるが、放ったシュートはGK南雄太に阻まれた。
歯がゆい現状に、行徳浩二監督が動く。68分に腰を痛め、動きの落ちてきたMF森安洋文に代え、DF新井辰也を投入。新井をFWに置き、樋口を2シャドーの一角に、美尾をボランチに落とした。前線で明確なターゲットマンを置くことで、この日好調だった樋口により前を向いてプレーをさせ、さらに71分にこちらも動きの落ちた山崎に代えて、FW柴原誠を投入し、2列目からの飛び出しを増幅させるようにした。しかし、現状は逆に攻撃の停滞を招いてしまった。前線に新井を置いたにもかかわらず、彼に対するロングボールやクロスが皆無だったし、何より新井のポジショニングが相手DFやボランチの裏に隠れてしまうことが多く、これまでよかった流れを逆に途切らせる結果を招いてしまった。
これにより熊本のカウンターがはまり出した。71分にMFファビオの折り返しを、FW齊藤和樹が蹴り込むが、これはGK時久省吾がファインセーブ。74分にはまたも左サイドを突破され、折り返しを再び齊藤が狙うが、これは左ポストを直撃した。共にチャンスをモノに出来ないまま、試合終了。スコアレスドローで決着をした。
「ずっと速い選手に裏を取られてしまって、何とかGK南に助けられたが、危なかった。でも、高さで来てくれて、DF高橋(祐太郎)も高さがあるので、十分に対応できるので、やりやすかったところはあった。実際に高橋がしっかりと対応をできていたし、こっちが手当てをする必要はないなと思って見ていた」。
この吉田靖監督の言葉がすべてを表している。森安が腰の不調を訴えたという不運があったが、ここで大きく戦い方を変化させてしまったため、自らのペースを失う結果となってしまった。はっきり言って、この交代までは完全に岐阜の勝ちゲームだっただけに、これは痛恨の極みだった。勝点3を掴む絶好のチャンスを逸しての0-0。この引き分けは岐阜にとって、大きすぎる痛手だった。
以上
2013.05.13 Reported by 安藤隆人
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