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【J2:第14節 横浜FC vs 愛媛】レポート:アウトボクシングに徹した愛媛。アウトボクシングに巻き込まれた横浜FC。必然のスコアレスドロー。(13.05.13)

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聖地ニッパツ三ツ沢球技場での初勝利を誓う横浜FCと、快勝した栃木戦の勢いで連勝を狙う愛媛。ともに狙っていたのは勝点3だったことは間違いない。しかし、試合そのものは、どうしても「負けないための考え方」が入り込んでしまうことで、ボクシングで例えると「アウトボクシング」の要素が大きくなってしまう展開となった。その意味で愛媛・石丸清隆監督の「自分たちのチャンスもなかなか作れなかったし、相手にも危ないところに侵入されたことは少なかったので、まあ妥当」という振り返りは、試合そのものを表現しているものだった。

前半は、風上を選択した横浜FCが一方的にペースを握る。立ち上がりは、両チームとも落ち着いて試合に入るが、6分に田原豊の馬力のあるドリブルでCKを得ると、横浜FCの時間となる。そして、13分の黒津勝のスルーパスから田原がフリーで放ったシュート、15分には佐藤謙介のスルーパスから黒津がシュートを放つが、いずれも利き足と逆の足でコントロールして放ったシュートは、ファーサイドに逸れていく。その後も、横浜FCは自慢のパスワークを披露しつづける。山口素弘監督は、今週の練習の際に「愛媛は5バックの布陣だが、それでも裏を取ることがポイント」と語っていたが、最初から5バックでサイドをふさぐ愛媛を相手に、焦れずにビルドアップしながら、裏を取るチャンスを狙うという攻撃の狙いを実行。さらに、愛媛のストロングポイントであるカウンターの際の切り替えに対しても、横浜FCは素早い攻撃から守備の切り替えを見せてシャットアウトする。前半の愛媛のシュートは、23分にカウンターかあらトミッチが放ったミドルシュートのみ。河原和寿が「前から行っても取れないケースがあったので、試合中に話をして一個ラインを落として(失点)0で守ろうというところに集中して」と振り返ったように、愛媛は横浜FCのパスワークの前に狙った守備を出せずに、アウトボクシングを余儀なくされ、一方でそれに徹した前半だった。

後半に入ると、愛媛は右サイドの関根永悟へのサイドチェンジを中心に、前へのパワーを出し始める。57分には、オーバーラップを繰り返す愛媛得意の形から三原向平のシュートでチャンスを掴み、60分には関根のクロスから赤井秀一がゴール正面でヘディングシュートを放つ。対する横浜FCは、58分に前線でパワーあるプレーをできる田原を怪我で交代させざるを得なくなると、愛媛のカウンター攻撃の芽を摘みながら、カウンターのリスクを抑えるべくポゼッションで自分達の時間を長くするようになり、こちらもアウトボクシングの体勢に巻き込まれていく。その中で、70分に寺田紳一に代えて高さのある大久保哲哉を投入し、リーチのある一発を狙う展開に。82分、88分に、左サイドからのクロスに逃げながら頭で合わせる大久保得意の形のシュートを見せるが、いずれもゴールマウスをとらえることはできず。横浜FCは、愛媛のカウンター攻撃をうまくコントロールして大きな決定機は作らせなかったが、勝点3を視界に捉えることなく、タイムアップの笛を聞くこととなった。

横浜FCにとって、愛媛のカウンターを警戒しながらポゼッションを高めて、黒津や野崎陽介のスピードを使うという戦い方は上手く表現できていたし、押し込める局面で大久保の高さを使うという狙いも出せていたと言える。一方で「もっと相手も勢い良く来るかと思ったが、想像よりも引き気味に来てくれた。ただ、うちもボールを動かせたけど、決定的な所には入れなかった」と佐藤の言葉に課題が集約されている。前半の2本の裏に抜けた決定機で決め切る力。引いた相手を切り崩す力。その点の課題が明確になった。サッカーには残念ながらボクシングのように判定勝ちがない。「今順位が上のチームは引かれてもこじ開けることが出来ているし、個人の力で打開する必要がある」という佐藤の言葉は、「秒殺」できるようなより怖いパンチを磨いていくことの必要性を示している。横浜FCには、パンチのあるFW陣が揃っているはず。その開花が待たれる。

一方の愛媛は、石丸監督が「1試合を通して選手の動きが重たかった。相手のビルドアップに対して前半は対応しきれなかった。後半は、もう1ついつもどおりのスピード感がなかったゲーム」と振り返ったが、チームとしての狙いを出せなかったゲームだった。その中で、アウトボクシングに徹したのはアウェイの戦いとしては、ある意味したたかだったと言える。「勝点1は拾えた感じ、正直いつ点を取られてもおかしくない状況だった」(河原)状況だっただけに、次に繋がる勝点1だったのではないだろうか。

サッカーの醍醐味であるゴールには遠かった試合。それだけに、試合後はフラストレーションがたまる雰囲気になったが、チームとしての狙いがなかったわけではない。それを成就させるために必要な+αを次に見せられるか。石丸監督が「この勝点1は次のゲームがどうかというところ。いい評価に変わってくるのかは、次のゲーム次第だと思う」と語るように、両チームともに、このゲームの評価は次の試合に掛かっている。

以上

2013.05.13 Reported by 松尾真一郎
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