「全体が動いた、セレッソらしいゴールだった」と、先制弾を仕留めた山口螢は振り返る。2ゴールの柿谷曜一朗もまた、「セレッソらしい、みんなで取ったゴール」と胸を張った。ワンタッチを織り交ぜ小気味よく繋いだ先の3得点はたしかに、らしさの詰まったゴールだった。
C大阪の先制機は後半が始まって間もない。47分、前線で動き出す柿谷に丸橋祐介からロングフィードが届く。柿谷はDFのあいだで巧みに収め、追い越した杉本健勇を経て逆サイドに走り込んだ山口が締め括った。自陣でボールを奪ってから刹那、相手の手薄なゴール前を突いた鮮やかなカウンターだった。
結果として、この1点は両者に効いた。こと奪われた湘南に重くのしかかった背景には、前半の戦いぶりがあろう。怪我から復帰し、公式戦で7試合ぶりに先発した大槻周平をはじめとする前線からの守備により、相手のビルドアップを容易には許さない。逆にマイボールとすれば大槻が楔で体を張り、押し上げを図って敵陣での攻防に持ち込んだ。永木亮太や梶川諒太を経て菊池大介が裏に抜け出した場面や右サイドの古林将太が係わり大槻が枠を狙ったシーンなど、幾度かチャンスもつくっていた。すなわち、悪くない流れである。
かたや「厳しいボールを入れられ、いい態勢でクリアできず、セカンドボールを拾われてしまった」と大野和成が振り返ったように、対するC大阪は後方からシンプルに蹴り込み、セカンドボールから二次攻撃へと繋げていた。山口が拾い、酒本憲幸のクロスに杉本がニアを脅かしたシーンや、コーナーキックを機に詰めた場面などこちらもゴールに迫り、湘南もまた守備陣が個々に突破を食い止めるなどしてピンチを防ぐ。シュート数ではC大阪が上回るも、交互に時間帯が訪れる印象の前半だった。
山口のゴールによって優位に立ったC大阪は以降さらに攻勢を駆った。前がかりにならざるを得ない湘南を尻目にカウンターへと転じるなどしてシュートを重ね、79分にはリスタートから、88分にはパスカットを機に華麗に崩す。仕上げはいずれも柿谷だった。
今季初の3得点に山口はらしさを語りつつ、しかし「いろいろな選手が点を取るのがいいチームだと思う。チーム全体として得点できるようにもっとサポートしていきたい」と、つぎへの課題も忘れなかった。浦和をホームに迎える次節の戦いはより意味を増そう。
他方、湘南にあって、こと先制の場面に思い出されるのが、たとえばヤマザキナビスコカップの大宮戦だ。安定した守備からゴール前の勝負へと持ち込んでいたなかで瞬時にして裏を盗られた。リスタートから鋭く縦を突かれた第4節名古屋戦、あるいはボールを奪い返された直後に決められたヤマザキナビスコカップ横浜FM戦にも通じるかもしれない。ワンチャンスを逃さぬ厳しさがこのステージを象徴するとともに、チームとして駆逐せねばならない綻びと言えるだろう。反面、くだんの大宮戦の失点は30分、名古屋戦、横浜FM戦はともに前半の44分以降、そしてこの日は前半を無失点と、目立たずとも見逃せない前進もある。守備的な姿勢ゆえではなく、試合を重ねるごとに自分たちのリズムでゲームを運びつつあると捉えて憚らない、成長の歩みだ。
もっと、もっとと選手たちは繰り返す。一歩ずつ、あるいは半歩ずつかもしれないが、その想いや日々の取り組みは着実に湘南の幹を太くしている。なによりも勝点3が欲しい、そのために必要な幹を太くする道のりの途上に湘南はある。
以上
2013.05.04 Reported by 隈元大吾
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