「首位チームと最下位チームでの対戦は、上位チームが負けることが多くある」
試合前日に64歳の誕生日を迎えたベルデニック監督の心配事は杞憂に終わった。
昨季からのJ1リーグ無敗記録を20に更新した大宮は、自分たちの武器を理解している。守備では「いかに攻撃の回数を増やせるかを考え、コンパクトにしてボールを奪えている」と指揮官が語るように、攻撃のための守備を実践している。だからこそカウンターのキレが鋭く、フィニッシャーのスロベニアン2トップも決定力が高くなる。
前半はホームチームのシステム変更に惑わされ、対応が遅れ苦しんだ。だが、首位に立つ大宮は、いいバランスを見つけるために試行錯誤をする余裕があった。勝者のメンタリティが――。18分の先制点はその余裕によって生まれた。FKのクリアボールがノヴァコヴィッチの前に転がるあたりに、この旬なストライカーの強運さが感じられた。アウトサイドに掛かったワールドクラスのシュートをネットに突き刺した。
今の大宮はリードを失うほど拙い試合運びをしない。点差を考えリトリートしながらも、守備のコンパクトさを保った。大分が攻めているようで、実は大宮が攻めさせていた。主導権は大宮が握っていたのだ。
後半は「サイドで起点になることを意識した」と渡邉大剛。大分のワイドを引っぱり出し、「相手が食いついてきたぶん、間が空いていたし、状況を見ながらプレーできた」と的確に戦況を見極めた。48分の追加点は、自陣から相手を揺さぶり、青木拓矢のパスからスピードを上げると、ダイレクトパスがつながり右サイドを攻略。最後は長い距離を走った青木がゴール前に顔を出し、「青木ではじまり、青木で終わる」ゴールで点差を広げた。
2点が重くのしかかった大分は、ダブルボランチの1枚を1列上げ、本来の2トップ2シャドーにシステムを戻し反撃にでる。76分に辻尾真二のクロスのこぼれ球を拾った高松大樹が狙ったシュート、87分に同じく辻尾のクロスを森島康仁が頭で合わすも、ゴールの枠を捉えることができずに2試合連続ノーゴルで試合終了のホイッスルを聞くことになる。「我々の力を存分に出せば勝機はあった。ただ1点取られて一気に流れが変わった。それが勢いの差になった」と田坂和昭監督。首位相手に一泡喰わせたかったが、順当に上位チームに勝ったことを悔しがった。
この日1トップで起点となり、チーム最多の3本のシュートを放った森島も、「自分も含め、もっとチームのためにできることをやらなあかん。いいトレーニングをさせてもらっているのに生かし切れていない」と悔しさを隠せずにいた。次節もホームでの試合開催となるが、中2日で気持ちを切り替え、勝利への道程を示さなければ、どんどん先細りすることになりそうだ。
不敗記録を20に伸ばした大宮は、首位のプレッシャーも負担にならず「力を抜いて普通通りに集中して試合に臨めている」(ベルデニック監督)。チームのスタイルがブレず、チームが同じ方向を向いている限り、無敗記録は続きそうだ。
以上
2013.05.04 Reported by 柚野真也
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