ガンバ大阪が完全にボールを支配した立ち上がり。堅く敷かれた岐阜の守備を切り崩すべく、スペース、スペースへと細かくパスを繋いで揺さぶりをかける。その中では前節・鳥取戦の反省もあってだろう。単にボールをまわすのみならず、時折ミドルレンジから思い切ってゴールを狙うなど、攻撃のリズムを変化させるシーンも。また時には一度ボールをDFラインまでさげて岐阜を引き出した上で攻撃を作り直すなどしながら、速攻と遅攻を使い分けてバイタルエリアへの侵入を目指す。

そうしたG大阪の攻撃に対して岐阜は、前節から取り組んでいる３バックに両サイドを低く置いた５バックで対応。ただ、「食いつくだけではまわされるのは分かっていたので、ある程度、しっかりと隙間を埋めて、ということを意識していた」というMF服部年宏の言葉通り、ボランチを含めて集中をきらさずに守備を展開しているようで、G大阪のパスまわしについていくのが精一杯という印象も。また危ないシーンこそ、そう多くは作られなかった一方で、攻撃についてはボールを奪った後の展開に精彩を欠き、全くといっていいほど、相手ゴールに近づけない時間が続く。

そうした一方的な展開をG大阪がゴールに繋げたのは23分のことだった。自慢のパスワークから中央で縦にワンタッチで繋ぎ、最後はMF倉田秋からFW阿部浩之へ。この日、7試合ぶりに先発メンバーに名を連ね、FWレアンドロとの2トップを形成したそのFW阿部が岐阜のDFに囲まれながらもゴール右下のコースを突いて、G大阪が先制点をものにする。だが、以降も攻勢で試合を運ぶものの岐阜の集中も途切れず、FW阿部のゴール以外に大きなチャンスを見出せないまま、1−0で前半を折り返す。

試合内容では圧倒しているものの、スコアとしては1−0だからこそ、早い時間帯に追加点を奪うことで試合をより優位に運びたいという気持ちが強かったのだろう。後半、G大阪は「もう1点、チームで獲りにいこう」という長谷川健太監督の言葉通り、集中した立ち上がり。前半同様にボールを保持しながら、早いパスワークで相手を翻弄するなど『ゴール』を意識した攻撃が見て取れる。ただし、ビハインドを負った岐阜も負けてはいない。前半に比べて両サイドが高めにポジションを取るなどして前への意識を強めたこともあって、G大阪を押し込み、守備にまわらせる時間帯も多少はみられるようになる。

それでも、この日のG大阪は守備でも安定感を発揮。久しぶりにセンターバックを預かったDF今野泰幸を中心に全員が意思統一を図りながら落ち着いて対応する。唯一、セットプレー時の岐阜DFデズモンドの高さ、強さにはヒヤリとさせられるシーンもあったが、こちらもGK藤ヶ谷陽介を中心に落ち着いて跳ね返す。

そうした一方的な展開を締めくくる追加点を奪ったのは89分のこと。途中出場でピッチにたった3人の攻撃陣が魅せる。右サイドMF二川孝広からのクロスを左ゴール前、ゴールライン際でMF岡崎建哉が頭で折り返したところにすかさず詰めたのはFW平井将生。右足で、飛び蹴りのような形でゴールを捉え、試合を決める。

結果、2-0で勝利をおさめたG大阪は、首位・神戸との勝点差を3に縮めて2位をキープ。6日（月・祝）にはその神戸との上位対決が待ち受ける。今季、未だ一度も首位に立ったことのないG大阪が初めて首位を捉えることができるのか。注目の一戦になりそうだ。

以上

2013.05.04 Reported by 高村美砂