4万人の大観衆を集めた日産スタジアムでの一戦は、一言で言えば『濃密』なゲームだった。
「内容的には、どららのチームも集中して、いいゲームだった。球際もすごく激しかったし、玄人好みのゲームだったかなと思います」(中澤佑二)
「見ている側としては面白くないかもしれないけど、やっている側としては、大人のゲームじゃないけど、やっていて面白かった。むやみに飛び込まない、行くところは行くとか、戦術的な部分で」(中村俊輔)
横浜FMの攻守の顔2人は、試合後しみじみと振り返った。面白いか、面白くなかったかは賛否両論あるだろう。ゴールシーンが多いスリリングな展開ももちろん面白い。ただ、当ゲームのような一瞬たりとも目が離せない1点を争う緊迫したゲームも奥が深くて面白い。
『濃密』な内容を生み出したキーワードは、「コンパクト」になるか。俯瞰した状態で全体を見ると、中盤を圧縮するかのごとく、ピッチ内30〜40mぐらいの範囲の中に互いの選手が密集。兵藤慎剛が「中盤も何もない状態」と言ったのはそのためで、わずかなトラップミスやボールコントロールミスで、すぐ相手が詰め寄り、ボールロストしてしまう。端的に言えば、中盤で潰し合う展開だったわけだ。しかしながら、普通のガチャガチャ潰し合うだけの試合ではなかった。
「試合前から守備の指示を、いつもよりも言われていました」(大迫勇也)とFWにまで浸透させるほど、組織的な守備の“仕掛け”が散りばめられた狭いスペースの中でも、個の能力の高い両チームの選手たちは、繋ぐところでは繊細に繋ぎ、高い技術でボールキープもできる。そんなハイレベルな攻防に序盤から引き込まれ、個人的には前半があっという間に終わったように感じられた。
後半も前半同様、良い意味で停滞した状況が続いたが、ワンプレーをきっかけに試合が動き出す。73分の野沢拓也のゴールである。左サイドからのFK。小笠原満男が上げたロビングボールを中央でDFがクリア。跳ね返ったボールは、まるで糸でつながっているかのようにフリーの野沢の下へ転がり込む。その刹那、右足一閃のボレー弾が突き刺さる。
残り時間20分前後。「あの失点後に勝ちにもっていくのは、だいぶ難しいと感じた」(栗原勇蔵)の言葉どおり、難攻不落の守備組織を形成していた、この日の鹿島からゴールを奪う作業は、難題だと思われた。
それでも横浜FMは、交代出場した藤田祥史を加え、マルキーニョスと組む2トップの布陣に変更してロングボールを多用。その効果で徐々に鹿島のラインを押し込む。最終的にはアディショナルタイム2分にDFファビオを投入し、栗原も最前線へ。そしてタイムアップ寸前の90+5分。セットプレーから、クリアできそうでできないヘッドのリフティング状態が続き、こぼれ球をファビオが長い足で振り抜いてフィニッシュ。劇的な同点弾を奪い、熱き戦いは終幕を迎えた。
結果、鹿島は勝点2を逃し、横浜FMは勝点1を拾った。わずか中2日で迎える次節GW3戦目に、この“後味の違うドロー”が両チームにどう響くのだろうか。興味深い。
以上
2013.05.04 Reported by 小林智明(インサイド)
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