『夜明けの来ない夜はない』
『苦しい時こそ俺達が支える』
磐田サポーターは試合前に2つの横断幕を掲げて選手たちを勇気づけた。第6節の清水戦、第7節の広島戦の後にはサポーター有志がクラブハウスを訪れ、敗れたチームを鼓舞。「サポーターのみなさんにこの1勝を贈りたい」(森下仁志監督)。試合後、インタビュールームに姿を現した指揮官には真っ先に伝えたい思いがあった。スタンドと一体となって掴んだ今季リーグ初勝利だった。
磐田が均衡を破ったのは試合開始直後の1分。右サイドのスペースに飛び出した山本康裕が駒野友一のスルーパスを受け、右足でクロス。これをゴール前の松浦拓弥が後方へ流し、「もう打つだけだった」という山田大記が右足で豪快に叩き込んだ。
磐田はこの試合、開幕から続けてきたアンカータイプの[3-5-2]からダブルボランチの[3-4-2-1]へシステムを変えている。今季初めて布陣を変更し、1トップに前田遼一、2シャドーに山田大記と松浦拓弥、ダブルボランチには山本康裕と小林裕紀という配置で臨んだ。「相手の隙を上手く突くことができた」と振り返るのは山本康。今季ここまで中盤の左ワイドや2列目でプレーしていた背番号23が今季初めて本職のボランチでプレーし、試合開始直後に早速存在感を見せた。
続く29分には川口能活の自陣のロングキックから追加点。前線の前田遼一が競ったこぼれ球を反応したのは松浦拓弥。「相手が一枚突っ込んで来たので、それは見えていた。それをかわして次はコースが空いている方向へボールを流していければと思っていた」(同選手)。トップスピードで湘南ゴールへ突進。それでいてバランスを崩さず、小刻みなボールタッチで相手2人をかわし、右足でゴール隅に流し込んだ。
対する湘南は永木亮太を2列目にスライドさせ、梶川諒太をボランチで起用するオプションでこの試合に臨んだが、序盤に2失点。1失点目の直後の8分に梶川のFKを大野和成が頭で押し込んだが、競り合った際に大野にファウルがあったと判定され、ゴールはならず。32分には右サイドの古林将太のクロスにファーサイドの高山 薫が飛び込むが、惜しくも伊野波雅彦にブロックされた。前半終了間際に菊池が左足でミドルを放つも、これは枠の外。攻撃は単発に終わることが多かった。
曹貴裁監督はハーフタイムに「早めに1点取れば流れは変わる」と選手たちを鼓舞してピッチに送り出したが、流れは変わらない。後半立ち上がりに再びサイドからのクロスを磐田・山本脩斗に押し込まれ万事休す。後半途中に交代カードを切りながら反撃を試みるも得点は奪えず、終盤に途中出場の山崎亮平に豪快なボレーを叩き込まれ、ゲームを決定づけられた。試合後、曹監督は「攻撃に関しては悪くなかったと思うが、ゲームの入り方のところや、イージーなミスで失点してしまい、自分たちの動かす力が削がれてしまった」と試合を総括。リーグ2連勝は叶わなかった。
一方、磐田は今季リーグ戦で最多となる4ゴールをマークし、快勝。無論、これに満足する者はいないが、大きな1勝となったことは間違いない。勝因の一つは冒頭に挙げたシステムチェンジ。だが、それが全てではない。
0-2で敗れた前節・広島戦の翌日、チームはアウェイで川崎Fと練習試合を行っている。この試合に出場した松岡亮輔には安堵したことがあったという。「ジュビロのサッカー、チームの状況、サポーターのみなさんの感情を思えば、内容はもちろん絶対に勝たなければいけない試合だと思っていた。ただ、試合前にいい意味で安心できたんですよね。僕が何も言わなくてもみんながこの試合の重要性をわかっていると感じたので」。練習試合では川崎Fを攻撃で圧倒し、快勝。若手中心のメンバー編成ではあったが、何も心配することはなかった。松岡自身も今季ここまで公式戦の出場はなく、湘南戦もベンチ入りしながら出場はなかったものの謙虚に準備を続けている。湘南戦の前、森下監督は選手たちの真摯な姿勢に心を打たれていた。「なんと言うか・・・、こういう状況だとチームがバラバラになると言うか、心が離れていくと言うか、自分のことだけになっていくということが普通の世界。ただ、そういった選手は一人もいません」。
リーグ開幕8試合目にしてようやく掴んだ勝利。選手、スタッフ、そして、サポーター。その全てが一つに”つながり”、同じゴールを目指していることを改めて確認できた1勝でもあった。
以上
2013.04.28 Reported by 南間健治
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