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【J1:第8節 浦和 vs 清水】レポート:圧倒的に攻め込みながらも痛い星を落とした浦和。清水が強烈な一発で白星をつかんだ(13.04.28)

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「今日のようなゲームは負けてはいけないものだったが、残念ながら落としてしまった」(ミハイロ・ペトロヴィッチ監督)

浦和側からすれば勝つべき試合を落としたという印象が強いだろう。浦和のボールポゼッション率は68パーセント。シュートの数は浦和の12本に対し、清水はわずか3本。しかも、清水の3本のうち1本は高木俊幸のFK、もう1本はマルシオ・リシャルデスの自滅のようなミスからボールを奪われてバレーに打たれたもの。純粋に相手のアクションから打たれたシュートはたった1本だったが、その1本で白星を持っていかれてしまった。

浦和は立ち上がりからゲームを支配した。いつものように後方からボールをつないで相手を押し込んでいく。対する清水は「中盤に守備のブロックを作ることで相手にスペースを与えないようにした」とアフシン・ゴトビ監督が振り返ったように、前と後ろの距離を狭め、コンパクトな布陣を作って浦和を迎え撃った。

清水は真ん中だけは崩させないという守り方だった。プレッシャーをかけにいく際にも、ボールを奪い切るというよりはパスコースを切るように寄せていき、絶対にゾーンディフェンスに穴を空けないということを意識した守り方だった。サイドにボールを出されたら素早くスライドして蓋をした。

そしてボールを奪ったら素早くバレーに放り込んだ。攻撃は「戦術バレー」という非常にシンプルなものだったが、シンプルゆえにボールを失った瞬間も守備陣形はだいたい整っている。可能な限りリスクを減らして勝利を狙うという現実的なサッカーをしていた。

そのため、浦和はパスを回して押しこむことはできたが、バイタルエリアで起点を作ってからコンビネーションでDFラインの裏を攻略するという攻めはなかなかできず、ペナルティエリアの外からシュートを狙うか、サイドからクロスを入れるかのどちらかだった。

清水からすれば、遠目から打たれてもだいたいブロックに引っかかるので怖くないし、サイドからクロスを入れられても浦和には高さがないのでやはりそれほど脅威ではない。攻め込まれるのは仕方ないけど最後のところで跳ね返す、という割り切った守り方だったが、浦和がボールを持った割にはペナルティエリア内からシュートという決定機を作れなかったことを考えれば効果的だったと言えるだろう。

単純にバレーを狙い続けた攻撃も後半に実った。64分、セカンドボールを拾った河井陽介が浦和のDFラインの裏にボールを送ると、バレーが森脇良太を左腕でブロックしながら持ち運んで先制弾をマーク。清水がワンチャンスをものにした。

ペナルティエリア内までボールを運んで決定機を作ることがなかなかできなかった浦和も73分、途中出場の関口訓充のパスからゴール前につめていた興梠慎三がゴールネットを揺らすが、これはオフサイド。浦和はその後もビハインドを跳ね返そうと前がかりになって攻め続けたが、80分にカウンターから抜けだしたバレーを阿部勇樹が後ろから倒してしまい一発レッド。苦しい状況に追い込まれた。

一人少なくなった浦和は数的不利を感じさせないくらい攻勢をかけたが、清水のブロックを崩すことはなかなかできない。それでも終了間際には阪野豊史がペナルティエリア右からシュートを狙ったが、ボールはゴールマウスに直撃。浦和は終始攻め続けながらも最後までゴールをこじ開けることができなかった。

「正直、なかなか受け入れがたい結果。同じ負けでも今日の負けは受け入れがたい」。森脇良太はそう語って唇を噛んだが、他の選手も同じような気持ちだろう。浦和は圧倒的に押し込みながらも一発のカウンターで沈んでしまったのだから、そういった心境になるのは理解できる。

しかし、相手には大振りの一発しかないというのを理解していながらガードを緩めてパンチを食らってしまったのなら、それはやられた方が悪い。清水が自分たちの現状を受け止めて勝利に最も近づける方法を選んでいるのだから、それをリスペクトした上で戦わなければいけなかった。「あの一本だけというのは分かっていたし、カウンターのリスクマネジメントが90分できないといけない」という平川忠亮のコメントがすべてだろう。

浦和は落とすべきではない試合を落としてしまった。ただ、リーグ戦はまだ長い。こういった消化不良の悔しい思いをこれ以上しないためには今回の教訓を糧に成長していくしかない。

以上

2013.04.28 Reported by 神谷正明
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