4月の3連戦が終わったかと思えば、次はゴールデンウィークの3連戦に突入。気温も次第に上がってきてハードな連戦になりそうだが、ここを乗り越えられるかどうかはシーズン序盤のポイント。チームの総合力が試される。特に愛媛は先週末の四国ダービーで3選手が負傷。ダービーの敗戦で連勝の勢いをそがれただけでなく、戦力ダウンという痛手も負ってしまった。それでも石丸清隆監督が「かわりに出られる選手がいるわけだから、アピールして欲しい」と期待をするように、重松健太郎らコンディションを上げてきた選手にとってはチャンスでもある。また、熊本戦や徳島戦では途中出場でアピールした加藤大も一時はスタメンを外れていたが、再び信頼を取り戻すパフォーマンスを見せられるか。逆にそうした選手たちの台頭がなければ、現在4位と好成績を残している長崎の勢いをとめることは難しい。

その対戦相手となる長崎は、現在4連勝を含む7戦無敗。各選手がハードワークを惜しまず、安定した戦いぶりでＪ新加盟クラブとは思えない成績を残している。前線からしっかりとプレスをかけてくるチームで、愛媛としてはその守備をはずして目指すパスサッカーができるかどうかが試されることにもなる。そのためには、パスコースを作る動きやセカンドボールを奪うポジショニングなど、運動量でも長崎との違いを出せなければ狙い通り主導権を握ることは難しいだろう。

そうしたチームのベースとなる部分の競い合いは今節のポイントになるが、もうひとつ注目したいのは両チームの3バックの左サイド。愛媛なら浦田延尚、長崎なら高杉亮太のポジションになる。長崎の高杉が昨季まで愛媛に所属していたという背景もあるし、浦田のサイドなら同じく昨季まで愛媛に所属していた小笠原侑生とのマッチアップが生まれるという点は、もちろん今節の楽しみなポイントでもある。それだけでなく、浦田と高杉に共通しているのは攻撃参加が持ち味だということ。「あいつが上がってきたら裏を取ってやろうと思うし、気持ちよくプレーさせないように嫌なプレーをしたい」と語るのは高杉と6シーズンともにプレーをした赤井秀一。2人は同じサイドでプレーした経験も多く長所短所を知り尽くした相手だけに、こちらのマッチアップも目が離せない。

逆に、愛媛も浦田が上がった後のリスクマネジメントを忘れてはならない。徳島戦ではカウンターを食らって失点も許しており、同じ失敗を繰り返してはならない。浦田が上がった際のカバーリングには注意をしなければならないし、悪い奪われ方をすればピンチになる。「上がった選手はしっかり使うとか、無責任なプレーをしないようにしなければ」と石丸監督も指摘をするが、そうしたチームの戦い方をしっかり修正できるかどうかも愛媛にとっては今節は重要なポイントになる。「速い選手、高い選手、個性的な選手が多いチーム」とＧＫ秋元陽太も警戒するが、そうした長崎の選手達に隙を与えないプレーが求められる。

その他にも、長崎には愛媛に在籍していた持留新作が所属するなど、両者には初対戦とは思えない縁がある。だからこそより楽しみになる長崎との対戦だが、愛媛は先輩クラブとして貫禄を示すことができるか。ちなみに愛媛はＪ初対戦となるチームとの相性はよく、これまで７勝２分で負け無し。昨シーズンは開幕戦で町田を２−０で退け、第４節では松本を３−０で破ったことも印象深い。同じように今回も先輩の意地を見せられるのか、それとも長崎の勢いに飲まれるのか。今節は様々な点で見どころの多い初対戦カードになった。

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2013.04.28 Reported by 近藤義博