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【J1:第8節 横浜FM vs 甲府】レポート:青山の古巣への『恩返し弾』で甲府が追いつく。横浜FMは攻守ともに詰めの甘さが響く(13.04.28)

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この日の主役は、「ジャージにマスク」という違和感のある格好でミックスゾーンに現れた。古巣相手に90+5分のアデショナルタイムに同点弾を叩き出したヴァンフォーレ甲府・青山直晃だ。

最初は遠目に見て「誰?」と思ったが、囲み取材前に記者の落としたペンを拾い上げ、「はい。気を付けてくださいね」と渡し、逆に「どれだけやさしいんだ」と突っ込まれている姿を見て、「青ちゃん」だと確信した。そして、マスク姿の理由が語られる。要はカゼだった。前日は37.4度の熱が出たという…。
しかし試合中は、そんな状態だったと知る由もないほどのハイパフォーマンスを披露した。空中戦、地上戦ともマルキーニョスに何度も競り勝ち、中村俊輔に対しても粘り強く体を寄せるプレスで対抗。昨年までの同僚であり先輩の中澤佑二は、青山を囲む記者の群れを横目に「青山、コノヤロー、ナイスシュートを決めやがって!」と冗談っぽく捨てセリフを吐きながら通り過ぎた。青山は苦笑いを作るしかできなかった。

試合展開を振り返ろう。前半は甲府DF土屋征夫の言葉を借りると「刺激のない試合だったと見ている人は感じたんじゃないですか。やっている選手もたぶんそうだった」と話すようにゴール前のシーンが少なく、こう着状態が続く。前半の“刺激”は2回。最初は開始4分の中村の約30mの無回転FKだった。強烈なインパクトで蹴られた低空弾道のシュートはブレたのか、食らいついたGK河田晃兵の左手を弾きながらネットイン。下位相手に優位に立ったことが、どこかまったりした状態が続いた遠因かもしれない。2回目に訪れた“刺激”はハーフタイム前の44分。左サイドの細かいパス回しから中村が一人かわし、パスを右サイドの小林祐三へ。フリーで余裕をもって上げたクロスを、マルキーニョスがバチンと頭で合わせるもゴールには至らず。

後半。勝負を決めるため「2点目」がキーワードとなり、横浜FMのボールを握る時間が長くなる。必然的にゴールチャンスが増え始めた。53分の富澤清太郎のクロスバーを弾いたミドルを筆頭に、マルキーニョス、端戸仁がそれぞれ決定機を得るも逃してしまう。結果論で言ってしまえば、それが響いた。
70分を過ぎると横浜FMの運動量が落ち始め、「相手DF陣に対して、ウチは全く圧力をかけらなかった」(中澤)。そのため、普段どおりのボールハンティング能力が影を潜める。それと同時に、オルティゴサと水野晃樹のフレッシュなアタッカー2枚を交代出場させた甲府の勢いが増す。

74分の左CKでは、中でウーゴがヘディングシュート。これはゴール内に立っていた中町に間一髪ブロックされる。だが、その後も甲府のCKと水野のロングスローが続く。そして、同点ゴールも背番号29のロングスローから。ゴール前の混戦の中、土屋のシュートがバーを叩き、栗原勇蔵の目の前で、青山が頭で押し込んだ。カゼでサッカーができる状態ではなかったところから何とかピッチに立ち、よく守り、よく決めた。ここは素直に「青ちゃん、おめでとう」と言いたい。

以上

2013.04.28 Reported by 小林智明(インサイド)
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