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【J1:第6節 清水 vs 磐田】レポート:内容は磐田、結果は清水。“ジュビロキラー”村松がワンチャンスを決めて、ダービーで今季ホーム初勝利(13.04.14)

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内容から言えば、完全に磐田のゲームだった。しかし、やはり「ダービーは勝たないと意味がない」(森下仁志監督)。そのことをあらためて実感させられた印象深い静岡ダービーだった。

両チームとも苦しい状況の中で迎えたダービーマッチだっただけに、両者ともここで絶対に勝ちたいという気持ちが強く表れた立ち上がり。まずキックオフ直後には、ロングボールの競り合いで平岡康裕が前田遼一にガツンと当たってチームを鼓舞する。だが次のプレーでは、磐田の右クロスからゴール前で金園英学が激しく競り合って、平岡が後頭部を痛打。開始早々からガツガツと音が聞こえてきそうな球際の競り合いが繰り広げられ、ダービーらしさは全開だった。

だが、その後の展開はやや予想外。3分のカウンター攻撃で駒野友一の右クロスから前田がバーに当てるヘディングシュートを放つと、そこから磐田が勢いづいて攻勢に出て、逆に清水は受け身の姿勢になってしまう。6分には磐田が高い位置でボールを奪って2本のシュートチャンスを作り、9分にもセットプレーの2次攻撃からチョ・ビョングクが惜しいヘディングシュートを放った。

これで磐田がペースをつかむと、清水の守備に大きな問題が生じ始める。磐田の3バックとアンカーのチョン・ウヨンの4人によるパス回しに対して、清水側でそれを見張るのはバレーと高木俊幸の2人だけ。4対2の状況ではプレッシャーをかけることが難しく、3バックの左右に位置する伊野波雅彦と藤田義明が前に持ち上がって楽々と縦パスを通す場面が多くなった。それを嫌ってバレーや高木俊が3バックのところに行けば、今度はアンカーのチョン・ウヨンがフリーになり、余裕を持って前向きにボールを持つ場面が多くなってしまう。
今年の磐田に対して、チョン・ウヨンに自由を与えてしまえば、中央にも左右にも自由にパスを出され、主導権を握られてしまうのは当然のこと。10番の山田大記や前田をはじめ、縦パスをしっかりと収めて起点を作れる選手が揃っているので、さまざまな角度から磐田のやりたい形で攻められる展開となった。
本来の清水の守備の狙いは、「3バックの両サイドに対して、竹内(涼)と河井(陽介)が行けるようにしようと考えていた」(ゴトビ監督)というもの。だが、後手後手の展開で全体が引き気味になる中で、竹内も河井もなかなか高い位置をとって前にプレッシャーを掛けに行くことができず、そのミスマッチは前半が終わるまで解消できないまま続いた。

また清水の攻撃に関しては、磐田に前線から早いプレッシャーを掛けられてなかなか中盤に良い形でボールを入れられず、DFラインでパスを回しながら押し下げられて、結局はGKの林彰洋まで戻してロングボールを蹴るという場面が非常に目立った。
清水の攻撃でチャンスにつながりそうになったのは、カウンターかロングボールのセカンドボールをうまく拾えたときぐらいで、前半はほぼ磐田のワンサイドゲーム。清水としては「こういう試合は絶対にあると思いますし、みんなで我慢しながら戦ってました。その中で前半を0点で終われたことがいちばん大きかったと思います」(竹内涼)という流れ。期限付き移籍から復帰してリーグ戦に初出場した竹内(22歳)のような選手が、この大舞台で冷静に流れを把握しながらやれていたことも、清水にとっての光明のひとつだった。

そして後半は、ハーフタイムでゴトビ監督に檄を飛ばされた清水イレブンが前への姿勢を取り戻し、前半の守備の問題もある程度解決して、徐々に盛り返していく。しかし、それでも完全に守備がはまったわけではなく、攻撃の組み立てが劇的に良くなったわけでもなく、主導権を奪い返すには至らない。
攻めの形は磐田のほうが良いという流れは変わらなかったが、清水の守備に関してはセンターバックの平岡とヨン ア ピンを中心によく踏ん張り、磐田側もチャンスを決めきれない展開が続いた。そんな状況のまま時計の針が終盤まで進み、清水にとっては良くて0-0という終わり方が見え始めたが、やはりサッカーは何が起こるかわからない。

後半35分の清水の右FKの場面で、逆サイドに流れたボールからヨン ア ピンが右足でクロスを送る。この場面、ヨン ア ピンの蹴り方を見て多くの選手がニアサイドに注意を向けたが、対面したDFの足に当たって微妙にコースが変わったボールがファーサイドで待っていた村松大輔のところに向かい、フリーになった村松が冷静に頭で右に叩きつけて、値千金の決勝ゴールをゲット。昨年のダービーと今年のプレシーズンマッチで決勝ゴールを決めて「ジュビロキラー」と呼ばれつつある村松が、今回も磐田戦で“持っている”ところを見せつけた。

その後は、反撃に出る磐田に対して、清水は冷静に守りながらカウンターで決定機も2回ほど作り、最後はしっかりとゲームをコントロールしながら守り切ってタイムアップ。清水が非常に苦しい試合を勝ちきり、公式戦3試合連続の完封でリーグ戦2連勝を実現して、順位を9位に上げた。
ただ、敗れた磐田としても「選手たちは本当にハイパフォーマンスで、今年いちばんの出来ではないかというぐらいの勇気を見せてくれた」(森下監督)という手応えのある試合内容。今回はチャンスを決めきることができなかったが、戦い方自体を変える必要はないだろうし、このサッカーを続けていれば必ず結果は伴ってくるはずだ。
一方、清水にとっては、これが今季のホーム初勝利で、当然「IAIスタジアム」に名前が変わってからも初勝利。“勝ちロコ”を行ったのは、じつに昨年10月10日の天皇杯3回戦(東京V戦)以来だっただけに、選手もサポーターも格別な笑顔を見せていた。
内容は多少しょっぱいものでも、「ホームで勝つのはやっぱり最高だ」。心からそう思わせてくれた貴重なダービーでの勝利だった。

以上

2013.04.14 Reported by 前島芳雄
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