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ルヴァン 準々決勝 第1戦
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【J1:第6節 甲府 vs 柏】レポート:柏から今季初の3ゴールで勝利。暫定プロビンチアの星になったJFK甲府(13.04.14)

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暫定とはいえ柏に勝った甲府の順位は7位。これも暫定ながら“プロビンチアの星”としてJリーグのビッグクラブに割って入っているJFK甲府。山梨の飲み屋では順位表を壁に張り出せば、それを見るだけで肴になる“お代はタダ”の新メニューが完成。このメニューが期間限定ではなく、シーズン最後まで続くメニューにしたい。
今年は、“いい内容だけど勝てない”チームが多いJ1リーグ。甲府もそのサロンのメンバーだったと思っているが、前節のアウェイ大分戦の勝利とターンオーバーで勝ったヤマザキナビスコカップ・アウェイ大宮戦の勝利が、J1の荒野で甲府がどう生きる残るかを内容と“結果”で示すことができた。3月は勝利がなかったチームだが、4月はリーグ戦初勝利(対大分)、ヤマザキナビスコカップ初勝利(対大宮)、ホーム初勝利(対柏)と公式戦3連勝で渇望していた「初」を一気に満たした。公式戦初勝利を手にするまでの7試合では平均0.5点の打線(攻撃)が、直近の3試合は2.3点打線に成長。打線(攻撃)は水物なので、毎試合複数得点を挙げることは難しいが2点目を取るという課題を達成していることもうれしい。

試合前にメンバー表を見たときにレアンドロ ドミンゲスの名前がなく、甲府サポーターは少しホッとした気分になっただろう。加えて開始11分までの2ゴールは誰も予想していないというか、“打線は水物”のいい方の驚きだった。
平本一樹の縦への突破がファウルを呼び込んで手にした7分のFK。ペナルティエリアの中央から少し左寄り、外側約4メートルの位置。柏の壁の前に立つ味方3枚にGK・菅野孝憲が見難くなるようにボールを隠してもらって、福田健介が右に蹴ったボールは壁を越え、菅野の逆を突いて「スッサッ」とボールがゴールネットを擦る音が聞こえそうなくらい、ボール以外の全てが止まったように感じるゴール。
しかし、柏はまだ時間も早いし、1点くらいでは当然バタつかない。「さぁ、この後の戦い方はどうなるかね」と思って見ていると、11分に佐々木翔が右サイドでドリブルでタメを作ってファーサイドでペナルティエリアに走り込むウーゴにアーリークロスを合わせて、フリーのウーゴが頭でドーン。勢い余って、立体的に見えるが敷いてるだけのコカコーラゼロのバナー広告の上をゴーロゴロ。11分間で2ゴールも決まることに慣れていないから、甲府がこの後“カチーン”とスイッチが入った柏の無慈悲な攻撃を食らう心配になるほど上手くいった11分間だった。

本来の課題は“主導権が取れているときに先制ゴールを決める”と“先制ゴールを決められて前に出てくる相手の勢いを利用して、ショートカウンターで追加点を狙う”というものだったと思うけれど、もっと苦労すると思っていただけになんだか想定外。0−2になって、0−1ではなかったシャカリキ感が柏の選手に出てきたけれど、甲府の守備はハマっていて、ネルシーニョ監督がビルドアップできない選手を見てイライラする場面もあった。
それでも、クレオと田中順也のFW2枚が高いし強いからロングボールが入れば甲府はピンチの雰囲気になる。改めて個のレベルが高い選手が多いと感じる。
21分には右からの高い放物線のセンタリングをキャッチに行くGK・河田晃兵とジャンプするクレオが競って2人とも触れず、後ろにいた青山直晃に当たってゴールイン。1点差になってからは柏が押し込んできたので“青山、今季初ゴールはオウンゴール…”なんて冗談をいう余裕はなく、前半の内に同点にされることも覚悟した。以後の前半はずっと守っている感じだった甲府。GK河田も焦りがあったのか、プレーに安定感を欠いた場面もあった。それでも追加点は許さず、最後の5分は甲府が主導権を取り戻した。

後半は長い長い45分間を覚悟していた甲府。柏はサイドを使うことが少なく中央から高さと強さでグイグイ押してきた。公式記録では後半の甲府のシュートが2本なのに対して、柏は7本。38歳(土屋征夫)と26歳(青山)の一回り違いのセンターバックコンビは最後の砦として、GK河田と共に身体を張ってよく守った。甲府は水野晃樹とオルティゴサを62分に同時投入して前線のパワーを高めようとするが、水野は入って2分後にイエローカードを出されて激昂。肩の力が抜けた状態でプレーできればよかったが、古巣相手のファーストマッチは残念ながらキックの精度を見せつける場面はなかった。

甲府が1点リードした状態で時間が進む中、甲府は後半だけでイエローカードが5枚出されるという事態(柏は前後半で1枚ずつ)。イエローカード5枚の代償として“勝点3は絶対に取る”という気持ちになる経緯。
77分に山本英臣が柏好文に出した縦パスを、柏がゴールラインギリギリでワンタッチで折り返すと、そこにいたのはピッカピカの38歳。大分戦で決勝ゴールを決めた土屋が、またまた頭でドーンと決めて3−1。このゴールは甲府の選手を救ったし、柏にとっては結構効いたと思う。アディショナルタイムを含めれば18分間残っていたが、柏は攻めあぐねた。今季5得点の工藤壮人をサイドに置くなど攻撃的な布陣だったが、サイドでタメをつくることが少なく、直線的な攻撃が多かった。やはりレアンドロ ドミンゲスの不在が影響したのではないだろうか。怖いけれど、爆発的な怖さは感じなかった。

最後は山本をディフェンスラインに入れる5バックを敷いた甲府。大分戦では5バックにしてから決定機を作られたが、柏戦では隙を作らず5バックの堅さを見せつけて守りきった。
3失点で敗れた柏は、立ち上がりという“課題”が拡大して取りこぼした一戦。ACLを戦いながらリーグ戦で優勝争いを目指す難しさは甲府には別次元の話だが、まずはACLで16強入りを果たせばリーグ戦の課題に取り組むことができるのではないだろうか。今年のACLではJリーグの希望の星が柏なのだから、日本サッカーのためにもクラブワールドカップに行ってほしい。

一方、「プロビンチアの星」を目指すJFK甲府の戦い方を“正義”はどう見たのか。イエローカード5枚は残念だが、(カードが出た現実とは別に)選手はセルフコントロールしてゲームを壊すことなくホームのサポーターの前で戦前の予想では有利だと思われていた柏から勝点3を奪い取った。素晴らしい勝利。甲府もACLを戦う立場になりたいが、まずは浮かれることなく精度を上げながらやり続けるだけ。サブやベンチ外メンバーが2日間のオフを有効に過ごしてくるはずなので、火曜日からのアウェイ鹿島戦(4/20)に向けた競争が楽しみだ。

最後にもう一度確認しても、甲府の順位は7位。でも、リーグ戦は続く。ダヴィのいる鹿島に向かって。


2013.04.14 Reported by 松尾潤
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