富山が首位・神戸に挑む。攻守にアグレッシブな自分たちのスタイルを貫き勝機をうかがう。４連勝がかかる神戸は２位との勝点差を５に広げており、今節からの３連戦で独走態勢の構築を目指す。

前節の栃木戦で逆転負けを喫した富山。週始めのミーティングで安間貴義監督は「相手に劣ったわけではないのに、『勝ったほうが強い』と言われてしまう試合だった。『勝たなければいけなかった』という思いをどれだけ強く持っているか」と選手に問うた。昇格プレーオフ進出という高い目標にチャンンジするため、勝負に対する意識改革も進めている。
開幕後から一貫して攻撃練習に多くの時間を割いている。追加点を奪えなかった前節の反省も踏まえ、今週もゴール前でのラストパスとシュートのトレーニングを重点的に行った。打倒神戸にはワンチャンスを得点に結び付ける必要がある。シュートを狙える場所やタイミングなども意識しながら取り組み、シュートへの積極性を高めて臨む。
首位を迎えても富山の戦い方は変わらない。「引いて守ってもFW田代（有三）君ら高さもある強力な攻撃陣をゴールに近づけるだけ」と安間監督。最終ラインを高くし、高い位置から激しくボールを奪いにいく自分たちのサッカーで勝負を挑む。

神戸は前節、山形との首位攻防戦を１−０で制した。後半６分、右サイドバック奥井諒の豪快なミドルシュートが決勝点となった。守りに安定感があり、攻撃では個人能力の高い選手がスーパープレーで勝負を決める試合が目立つ。前節も象徴的な試合で、各選手がそれぞれの役割を果たして歯車がかみ合っている。実力はもちろん、チーム状態も良好ならばつけ入る隙を見つけるのは難しい。今回のトトで投票の約75％は神戸の勝利を予想しており、強さは誰もが認めるところになっている。
今節はチームトップの４得点を挙げているFWポポが出場停止だが、都倉賢、吉田孝行をはじめ代役以上の働きが期待できるタレントがそろう。組織力の高さを示す好機としても選手たちは意欲を燃やしているはずだ。

神戸サポーターにとって初対戦となる富山について少し紹介したい。元神戸の岸田裕樹がかつて在籍し、2006年の天皇杯３回戦（会場は今回と同じ富山県総合運動公園陸上競技場）において２−４で神戸が敗れたＹＫＫ ＡＰが母体のひと つ（アローズ北陸と合流）。09年からＪ２で戦っている。神戸が今季唯一黒星を喫した京都をその直後に下している。［３−６−１（３−１−４−１−１）］の変則的なフォーメーションを採用しており、オーソドックスな神戸の［４−４−２］との駆け引きは見どころのひとつだ。アンカーの前に位置する２人をはじめ中盤が流動的にプレーするため、神戸は慣れるまでマーキングに手こずるかもしれない。
富山は前線からどんどんプレッシャーをかけてくるため、神戸がどういう戦い方を選択するかにも注目したい。パスをつないでいなすか、それともシンプルに前線へのロングボールを使うか。どちらの攻撃も破壊力十分だが、富山に的を絞らせない臨機応変の対応が有効だろう。

富山とすれば中盤での攻防は望むところ。田代の高さを生かす攻撃に対してはチャレンジ＆カバーを徹底して対抗する。安間監督は「ハイテンポな戦いに持ち込みたい」と話し、攻守が目まぐるしく入れ替わりアップダウンの激しい試合展開になれば勝機ありとみる。DF足助翔は「相手に不足はない。恐れることなく試合開始直後からやるべきことをやるだけ。きれいに抑えられるとは思っていない。ＤＦにとっての見せ場だと思って体を張って守りたい」と話す。覚悟を決めて自分たちの持ち味をぶつける。

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2013.04.13 Reported by 赤壁逸朗