春うらら。冬の長い松本にもようやく春の足音が聞こえてきた。ここのところポカポカとした陽気。道路脇にはつくしが顔を出し、松本城の桜は見頃となった。雪が降ったという事実は全力で見ないふりをしつつ、本題へと進みたい。

前節・水戸戦は2-1で勝利。「試合前に『順位的にも上位争いに加わるか、下位に吸収されるか。ここで勝点3をとれるかとれないか』と話した」と反町康治監督。この勝点3を生かすも殺すも今節にかかっていると言っても過言ではあるまい。今季は未だホームでの勝利がなく、「ホームで勝てていないことで煮え切らない部分は確かにある。次は大事な試合になる」と断固として語る、先日誕生日を迎えたばかりのディフェンスリーダー飯尾和也の言葉から、今節が松本にとっていかに大切な試合であるかチーム全体で意思統一は出来ているようだ。ここ2節、これまでの3-4-2-1のフォーメーションではなく、中盤に厚みを持たせた3-5-2を採用しており、その出来については指揮官も「今の選手の良さが一番生きるフォーメーション」と語るなど、今節でも選択肢の有力な一つに上がっていると考えて良さそう。となるとスターティングメンバーは前節から大幅な変更はないものと予想されるが、前節・水戸戦の翌日に行われた水戸とのトレーニングマッチで（誤字ではない）、北井佑季が3得点を決めるなど好調ぶりを存分にアピールし、指揮官の頭を悩ませようと必死だ。

一方、今節対戦する岐阜。2年目の指揮をとる行徳浩二監督は堅固な守備組織を作ることに定評があり、昨季の対戦でも、2戦2勝はしたものの両試合ともに1-0とロースコアでの勝利。簡単な試合にならないことは間違いない。ただ、今季はここまで5敗2引き分けと未勝利に終わっている。最大の要因に考えられるのはやはり得点力不足。ここまで7試合連続ノーゴールと深刻。泣きっ面に蜂ではないが、井上平と野垣内俊が負傷により戦線離脱という状況に陥っている。この状況打破のため昨季岐阜に期限付き移籍をしていた樋口寛規を再度呼び寄せた。戦術面での問題はないだけに、試合感覚さえ整っていれば今節からの出場の可能性も高い。また昨季は松本のユニフォームに袖を通していた益山司の右サイドバック或いはボランチでのアルウィン凱旋もありそうだ。この点について玉林睦実は「益山にはやられないようにしたい」と静かに闘志を燃やしており、局地戦での競り合いも楽しみの一つだ。

どうしても岐阜の“7試合連続無得点”という部分に注目が集まりがちだが、飯尾は「長いシーズン、いつかは点を取るし、関係ない」とした上で、「取られた時のメンタルの準備が必要。『やばい』と思ってプレッシャーを感じることが一番まずい」。岐阜も重大な決意を秘めて松本入りすることは想像に難くないだけに、メンタルの部分で上回られると後手を踏む。勝利の行方は集中力とメンタルが左右することになろう。富山・岐阜、そして松本の3チーム間で行われる『TOP OF 北アルプス』、2年目のスタート。初戦となる今節はお互いに“初勝利”を目指す一戦となる。

以上

2013.04.13 Reported by 多岐太宿