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【ヤマザキナビスコカップ 川崎F vs 磐田】レポート:磐田のミスにつけ込み2点を先行した川崎Fが逃げ切りに成功。今季公式戦初勝利を手にする。(13.04.04)

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チームの雰囲気が悪くなるレベルの危機感があった訳ではないし、自信を失っていたわけでもない。ただ、それにしても開幕からの公式戦5戦全戦で先制点を奪われ、勝ち星もなかったチームである。そういう意味でこの勝利は大きいものになるだろう。やってきたことが間違いではないのだ、という道標になるという意味で。

試合を決めたのは、大久保嘉人だった。磐田を圧倒し4倍ものシュートを放ちながら決めきれなかった前半終了間際の44分。選手もサポーターも感じていた「取れそうで取れない」フラストレーションを開放する先制点を流し込む。これまでに大久保が奪ってきたリーグ戦での2得点は、常に相手を追いかける状況のもので、全く喜べなかった。だからこそ大久保は両手を突き上げて、心置きなくゴールの喜びを噛み締めた。

後半開始早々の52分に矢島卓郎のゴールをアシストした場面は、短い距離のパスが体の後方にずれた難しい状況を打開してのもの。右足のヒールで引っ掛けて前に持ちだした技ありのトラップから生まれた。大久保からの絶妙なパスを受けた矢島卓郎が豪快に突き刺したゴールが、結果的に磐田を沈めた。ただ、最終的に逃げ切りに成功したこの試合が、2−0になって以降きわどい戦いになっていたのは間違いない。磐田の猛追を受け、徐々に主導権を奪われていくのである。この現象について中村憲剛は「前半のテンポでやれれば相手は関係ない」と話しつつ「2点目を取ってちょっと自分たちがゆっくりしたところもあった」と反省する。後半、川崎Fのベンチ前でプレーした形の登里享平は、川崎Fが主導権を失って以降、風間八宏監督から「奪った後のボールを動かすのを早くしろ」という内容の指示を受け、それをチームメイトに伝えることを求められていたのだという。

内容で圧倒され1点を先制された磐田は、後半開始時に小林祐希に代えて山田大記を投入。さらに、矢島に喫した2失点目の3分後に、阿部吉朗に代えて松浦拓弥を投入している。この2枚の選手交代が磐田にリズムをもたらした。パス回しのテンポの遅い川崎Fを彼らフレッシュな選手が中心となって追い込み、ボールを保持し続け、そして主導権を奪い返す。

そもそも磐田は弱いチームではない。例えば、磐田は鳥栖と対戦した3月30日のリーグ戦第4節で、2点をリードされる展開の中、最終的に3−3に追いつく試合をやってみせている。そうした粘り強い戦いについて、森下仁志監督は「選手たちも自信を持っている」と述べている。また、中村も「ジュビロは今季見てても悪くないし、攻撃の形というのは悪くない」とお世辞抜きに語っていた。要するに、磐田は底力を持つ相手なのである。

その磐田を相手に、前半の川崎Fが圧倒的に試合を支配した要因はいくつか考えられる。森下監督は「(森下監督の)判断的な所で選手に勇気を与えられなかった」という入りをしてしまったというが、そうなってしまった理由の1つとしてアンカーに入ったチョン・ウヨンを中村のマークに付けていたという事があったのではないかと考えている。これにより中村のプレーが制限されるということ以上に、磐田の中盤が空いてしまったのである。

「(磐田がチョン・ウヨンの)ワンボランチだったので、自分(憲剛)が動いたら、その分彼(チョン・ウヨン)がくっついてくれば周りが空くし、来なければ自分が前を向ける。どれだけついてくるかなと思いながら見てました。離したりくっついたりしてたので、そこは自由にやらせてもらいました」と中村は振り返っている。

何れにしても、磐田の前半の戦いが自ら招き入れたものであるのは、森下監督の言葉や、前半のチョン・ウヨンに与えられた役割による副作用。そして、後半の磐田の攻勢を見ればよくわかる。そういう意味で、磐田のミスにつけ込み、試合を支配できた前半の戦いは狙い通りであり、かつ、その前半に1得点しかできなかったという点では反省が必要であろう。また、守りに入り、結局1失点してしまった後半の戦いも改善すべき部分だった。

ただ、それにしても川崎Fは勝利した。いくつかの拙い部分はあったが、勝利した。手放しでは喜べない勝利ではあったが、勝てたことに意味がある。ジェシは「勝利はチームに落ち着きをもたらすと思います」と笑顔を見せていた。

なお、この節の結果、2連勝していた磐田、横浜FMの両クラブが敗戦し勝点は6のまま。横浜FMを下した大宮が勝点を6に伸ばすと共に、1試合少ない川崎Fが勝点を3にしている。Aグループは混戦の様相を呈しつつある。

以上

2013.04.04 Reported by 江藤高志
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