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ルヴァン 準々決勝 第1戦
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【ヤマザキナビスコカップ 甲府 vs 湘南】レポート:オルチ効果発揮前のリスクの時間帯に失点した甲府。若手が”らしさ”を発揮した湘南が未勝利隣県対決を制して今季初勝利。(13.04.04)

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「なかなか勝てませんなぁ」が「春たけなわの今日このごろ」と同じく4月の時候(四月)の挨拶(山梨県限定)になる前に勝っておきたかったが、前半10分の”エキゾチック”武富孝介のゴールが重くのしかかり甲府は相手を突き放す2点目どころか1点目すら決められずに公式戦ホーム4敗目。アウェイでは3戦引き分け中なのに、勝って大勢のファン・サポーターと一緒に喜びたいホームでは皮肉にも勝点1すら拾えていない。

昨年のJ2優勝の甲府と2位の湘南はここ数年は常に競り合ってきたライバル。今節はお互いに大きくメンバーを入れ替えて臨んだが、甲府のほうが”賭け”になる要素は大きかったかもしれない。期待の新戦力・FWオルティゴサを先発させることには未知の期待と背中合わせのリスクがあることは誰もが承知していた。3月22日に合流したばかりでトップコンディションでないことも分かっていたし、チーム戦術や約束事を理解しているわけでもなかった。それでも起用した理由には、中2日でリーグ戦(アウェイ・大分戦)が控えていることと新装備の早期戦力化を図るためのギリギリの判断。で、どうなったのか。前半の立ち上がり、攻撃から守備に変わりオルティゴサがファーストディフェンダーとしてボールに行くべき場面でリスクが現実化した。FWとしての能力を見たいので彼を縛る指示は最小限なので、前線からの積極的な守備は期待できない。そうなると、ディフェンスラインはプレスが掛からないからラインを上げられない。ファーストディフェンダーが行かなければ、パスコースを読みにくいので中盤の選手も中途半端な守備になりがち。それでも、最終ラインの頑張りや湘南もラストパスやシュートでミスをするから甲府はしのいでいたが、セットプレーでもマークする相手が定まりきらずに「怪しい守備が続いているなぁ」と記者席からみていた。

前節は4−1−4−1だった湘南は今節は3バックに戻したが、キリノやハングギョンはベンチで、永木や高山はテレビの前。それでも大槻周平をワントップに置く3−4−2−1は湘南らしさを発揮。強烈な個の力や上手さではなく、シンプルにつないで縦に切り裂く意図と意思は十分に出ていた。出場経験の少ない若い選手が多かったが、労を惜しまずにどんどん出てくる湘南の怖さはちゃんと表現できていた。湘南ボールのスローインが左サイドで続き、甲府の集中力が少し不足した中で大槻が縦に入れたボールを荒堀憲次がキープしてから入れたクロスに飛び込んだ武富が押し込んのが湘南の先制ゴール(10分)。前節、川崎F相手に甲府の平本一樹が決めた先制ゴールとそっくりの足裏ゴールで、決められると悔しいことがよくわかった。ファーで崔誠根がマークしていた武富が中に入って、バウンドしたクロスを身体をかがめて頭で弾き出そうとした盛田剛平の視界の外から足を延ばして決めたゴールだった。クロスを入れた荒堀へのマークも中途半端だった。こうやって失点シーンをビデオで見返せば、失点シーンなので当然いくらでも「あそこが悪い」、「ああすればよかったのに」と難癖をつけることはできるが、そんなことより今の甲府に足りないのは責任感を持ってプレーし、リーダーシップを発揮する姿勢ではないだろうか。

前後半の開始前に円陣を解いた後で11人全員がそれぞれとハイタッチ風に手を合わせたり、ハーフタイムに戻ってくる11人をベンチメンバーが出迎えて手を合わせて、みんなが一丸になって戦っているように見える。宮崎キャンプの時からそうだった。いいことだと思っていた。しかし、だんだん一丸を演じているように見えてきた。山本英臣という信頼できる絶対的なキャプテンがいるチームだけれど、移籍で選手が大きく入れ替わることで、それぞれが責任あるプレーをした上でお互い言い難いことを言い合うという雰囲気にはなっていない。お互いが遠慮しながらチームの和を保っているいる感じ。30代後半のベテランも大人し過ぎないか。ロッカールームの中を知らないので、選手から「言うべきことは言い合っている」と言われれば謝るしかないが、追いつくための後半終盤のパワープレー時にGK・河田晃兵が蹴ったゴールキックを湘南陣内で盛田と平本が競り合うなどチグハグ。焦りが出る状況・時間帯だったが、見たくない味方同士の競り合い。

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終盤の山梨中銀スタジアムの感情はこのカタカナが見えそうだった。前半20分ごろから主導権を取り戻してもゴールを決められず、後半も決定機はあったものの公式記録ではシュートゼロの甲府。湘南は外れたシュート1本。前半0−1でリードされて後半シュートゼロの甲府は当然0−1で敗れる。試合後の会見で城福浩監督は「選手の気持ちや気迫を還元させられなったのは私の責任だと思います」と話したが、選手がロボットなら100%監督の責任だが、選手が人間なら選手の責任も大きい。J1で十分に戦えるだけの個の能力を持つ選手が揃っていて、ACLに出場している仙台相手に主導権を取れるサッカーができるチームが煮え切らないことは悔しい。選手にもチームにも失望はしていないし、右肩上がりになって巻き返すことができると信じているが、”もうちょっと”の悔しさや鬱憤がたまっている。これまでヤマザキナビスコカップでは、「サブにチャンスがある」と書いてきたけれど、チャンスを掴めそうなサブと、もうチャンスがないサブに分かれつつあるのではないだろうか。勝った湘南は次節の川崎F戦に向けて弾みがついた。弾みだけで勝てる相手ではないが、自分たちのやっていることに自信を持つ選手が増えればいい競争が生まれる。ただ、ナビスコカップで決勝トーナメント進出の可能性は高めたが、リーグ戦で未勝利という現実は変わらない。ここでは甲府と同じで早くリーグ戦の勝利をもぎ取りたい。

木曜日の朝、綺麗に晴れ渡った甲府の空。どんなに澄んだ空でも星は見えないけれど、土曜には雨が降っても輝く夜空を見たい。さぁ、次はリーグ戦・アウェイ大分未勝利対決。湘南に今季初勝利を奪われてしまった現実は変わらないので、切り替えるだけ。水曜日の危機感を武器に変えるしかない。転んだら起き上がるときには勝点3を握りしめて立ち上がる”俺たちの甲府”の粘っこい姿を、現地組サポーターとテレビの前からテレパシー送信組のサポーターとともに見せつけて、勝点3を大分の新しいお土産にしよう。

以上

2013.04.04 Reported by 松尾潤
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