『ガンバ大阪VS横浜FC』の顔合わせは、Jリーグでは07年のJ1リーグ戦以来３度目。天皇杯をあわせても今回が５度目の対戦となる。結果は、07年のJ1リーグでのアウェイ戦（＠三ツ沢）における引き分け以外全て、G大阪が勝利。中でもホーム戦では負けなしだ。といっても、ずいぶん前のデータであること、また当時とはメンバーが変わっていることを踏まえてもデータにさほど信憑性はない。むしろお互いが、６年ぶりの対戦をフレッシュな気持ちで迎えることだろう。

G大阪は前節の長崎戦でJ2リーグ戦初勝利。風邪のため急遽欠場となったFWレアンドロ、MF家長昭博に代わって今季初先発を飾ったFW平井将生が２ゴール、MF二川孝広が2アシスト1ゴールと結果を残し、長崎県立総合運動公園陸上競技場に集まった18153人もの観衆を黙らせた。その結果を受けての今節、MF家長昭博に関しては合流が木曜日となったため試合出場は微妙だが、FWレアンドロについては体力、コンディション的にも問題がなく試合に出場できる状況にある。熾烈なポジション争いを勝ち抜いて誰がピッチに立つのかが、まずもっての見どころになりそうだ。
「誰を先発に置くのかは非常に悩ましい問題です。横浜の守り方、うちのコンビネーションを踏まえ、いろんな組み合わせがあると思いますが、基本的には非公開での紅白戦の様子を見て決めたい。ただ、そうした競争はチームとしては喜ばしいこと。前節、初先発の将生がああやって目に見えた結果を残してくれたましたが、そうやって選手層に厚みを持って戦えることはチームにとってはいいことだと思う（長谷川健太監督）。」
注目は前節２ゴールのFW平井将生だ。昨年１年間の期限付き移籍から復帰を果たした今季、シーズン前から「FWのポジション争いが激しいのは自覚している。とにかく目に見えた結果をコンスタントに残せるようにやっていきたい」と話していた平井。その決意のままにキャンプインからコンディションもよく、軽快な動きをみせていたが、グアムキャンプ終盤に左肩を痛めて一時的に離脱。だが復帰後は、練習でも安定したパフォーマンスを出し続けるなど、例年にはなかった安定感を示している。加えて、前節の長崎戦でいきなりの２ゴールとなれば、周囲の期待感は高まるばかり。だが、本人は「FWだけに得点を決められたことで気持ち的にも楽になる部分はあるけど、単発では意味がない。FWだけに結果を出し続けることが大事」と気を引き締める。その上で、横浜FC戦での連続ゴールに意欲を示す。
「まだ２試合だけど、J2リーグを戦って感じているのは、試合のどこかで必ず相手にふとした隙が生まれるということ。FWとしてはそこをいかにめざとく狙い続けて、結果に繋げられるか。個人的に勢いに乗るためにも、ここで続けて結果を出すことが大事だし、失速せずに継続して結果を出していくことでポジションをものにしたいと思う（平井将生）。」

対する横浜FCは前節の徳島戦で２度のリードを奪いながら、追いつかれドローに。G大阪と同じく２試合を戦って１勝1分の状況で万博記念競技場に乗り込んでくる。チームを率いるのは、G大阪のキャプテンMF遠藤保仁がプロとしてのファーストキャリアを刻んだ横浜フリューゲルスでともにプレーし「同じボランチの選手として、尊敬する人だった」と語る山口素弘氏。また主軸となる選手には、元G大阪の選手で前節の徳島戦でもファインゴールを決めたMF寺田紳一をはじめ、MF松下裕樹やMF内田智也らがいる。彼らがが中盤で巧くバランスをとりつつ、各選手がサイドから中へ、中から外へと巧みな動きで相手に揺さぶりをかけるのが特徴だ。またそうした流れの中からの攻撃展開だけではなく、ここ２試合は途中出場となっているFW田原豊をポストに据えたパワープレーも脅威。フィジカルの強さ、ゴールセンスともにハイレベルな能力を備えたFW田原の存在は、守備陣に高さのないG大阪にとっては最も注意すべき選手とも言えるだろう。
また忘れてはならいのはFWカズ。今季は未だ開幕戦での２分間しかプレーしていない状況だが、唯一無二ともいえる存在感は健在。元チームメイトでもあるMF遠藤保仁とのピッチ上での対決を楽しみにしているファンも多いことだろう。過去のキャリアにおいても、数々の見せ場で、結果を残し、サッカーファンを魅了してきたFWカズ。だからこそ、万博のピッチで何かを起こす可能性も十分にある。

以上


2013.03.16 Reported by 高村美砂