2節・横浜FC戦でも今季初勝利は挙げられなかった。シーズン最初の白星はチームに大きな落ち着きをもたらすとあって、開幕戦に続きそれを得られなかったことは徳島にとって非常に残念としか言い様がない。

しかし、その戦いの中身に目を向ければ、十分チームとしての自信を深めていい内容であったと言える。特に攻撃は構築してきた自分たちの形を随所に披露。最前線の高崎寛之を起点にした崩しは貴重なゴールまで生み出したし、右サイドの太田圭輔を効果的に使うサイドアタックは幾度となくチャンスを創造していた。また、柴崎晃誠を中心とした中盤の繋ぎも質のいいものであったと評価出来よう。それによってチームが横浜FCのプレッシャーを上手くかいくぐり、スムーズに展開を組み立てていたのは間違いないところだ。

ただそのように攻撃が充実した反面、守備にはまだ課題部分が幾つか垣間見えたと言わざるを得ないだろう。事実、小林伸二監督も「まだまだ守備についてはハードワークする必要がある」と振り返っていたが、徳島はそこを突かれるように2失点…。それだけに今節チームが2013年の初勝利をもぎ取るためには、言うまでもなくその守備の課題の解決が絶対不可欠となってくる。

中でも何より修正を急務とするのは、明らかに甘さが感じられたセットプレー時のマーキングであろう。実際前節はその甘さから開始早々ネットを揺らされたし、その失点シーン以外でも徳島はセットプレーの際ゴール前の相手を捕まえ切れずにいた。それゆえCKやクロスが上がる位置でのFKを与えた時には冷や汗ものの場面がたびたび。何度もヒヤリとさせられたのである。そうした危ない経験への反省から考えれば、やはりこの一戦、高い集中と的確なポジショニングをもってそこでの甘さをしっかり消さなくては。そうすることで全員が担当する相手に最後まで厳しく体を寄せ、誰にも自由なフィニッシュを許さないようにしなければならない。

さらに、その部分の修正を重視するのには別の理由もある。それは迎える相手が北九州であるから。

指揮官の交代や選手の大幅な入れ替わりによって北九州は今新しいチーム作りを推し進めている最中。そのため組織的な攻めはまださすがに強烈な威力を見せられるほど完成していないとあって、その分今節ではセットプレーを大きな狙いのひとつとしてくるはずだ。しかも面子に目をやれば前田和哉や柿本健太ら空中戦に強さを見せられるピースがいる。そこでの一発を叩き込まれる危険性は大いにあると言えるだろう。そしてもし彼らにそれを結実され先にスコアを動かされるようなら、徳島は新生だからこそのチャレンジャー精神でアグレッシブに闘ってくる北九州にのみ込まれてもしまいかねない。

いずれにしても、この一戦の徳島においてはセットプレーでの守備が何よりのポイントと思われる。そう予測するとキーマンとして浮かんでくるのが、昨季の大ケガから復活した斉藤大介。組織統率能力を買われ前節再びセンターバックを任された（昨季シーズン途中にそこへコンバートされ、ケガで離脱するまでその位置を務め続けた）キャプテンがどれだけ周囲にその部分を徹底させられるかは大いに注目される。

今季の初勝利は徳島にとってJ通算100勝目というメモリアルな白星にもなる。だからこそファン・サポーターもその瞬間をいっそう心待ちにしている。果たして徳島はそれをホーム鳴門・大塚スポーツパークポカリスエットスタジアムへ届けることが出来るか！？興味深い一戦から目が離せない。

以上

2013.03.15 Reported by 松下英樹