「アウスタ」から「アイスタ(IAIスタジアム日本平)」に変わって初めて迎える試合は、アフシン ゴトビ体制3年目の清水にとっても本当に重要な一戦。開幕戦では2点のビハインドを追いつく勢いを見せた清水と、4得点で湘南に逆転勝ちして首位に立つ横浜FMの対決という意味でも、盛り上がる要素はかなり多そうだ。
これがホーム開幕戦でもある清水としては、スタートダッシュに成功するためには絶対に勝ちたい試合。昨年は、開幕からホームで6連勝(ヤマザキナビスコカップを含む)したことが11節終了時点で2位(勝点22)という快進撃につながった。ゴトビ監督も、「1試合あたり勝点2以上を取っていくペースが目標。今季は昨年以上に良いスタートが切れるように序盤で良い結果を出していきたい」と語っており、この試合で勝点3を取れるかどうかは、本当に大きな意味を持ってくる。
それに向けてのチーム状況は、盤石ではないがけっして悪くはないというところだ。本来の左サイドバック・イ キジェはもうしばらくケガから復帰できないが、吉田豊が左に回り、高木純平が右サイドバックに入った大宮戦では、高木純がベテランらしい(といってもまだ30歳だが)冷静なプレーで素晴らしい働きを見せ、吉田はやや不調だったものの、後半から入った内田健太がFKで同点ゴールを決め、左サイドバックとしても計算できる仕事を見せてくれた。ホームらしく攻撃的に戦うという意味でも、この3人は攻撃で十分な能力を持っているので戦力面の不安はない。
中盤はこれまで通り3ボランチで臨む可能性が高そうだが、戦い方のポイントは選手たちが理解を深めつつあり、多少うまくいかない時間帯があっても修正が効くようになってきた。注目すべき点は、中盤の3人やDFラインが下がることなく、どれだけ3トップとの距離を縮めてプレーできるかというところ。それができれば高い位置からタイトにプレッシャーをかけることができ、攻撃に切り替わったときにも3トップに対して早くサポートに入ることができる。大宮戦の前半は「向かい風の影響もあって、DFラインや中盤が下がりすぎてしまった」(村松大輔)という面もあったが、後半には修正ができた。今度は初めからコンパクトな守備ができるかどうかに注目したい。
攻撃に関しては、チーム全体としてまだ本調子からは遠く、期待のバレーもプレシーズンマッチから無得点。現時点では、バレー自身の調子もまだ不十分だが、それ以前にバレーのところまでなかなかパスが行かないという部分が大きな課題となっている。大宮戦でも落ち着いてじっくりボールポゼッションすることができず、「もっともっとチームとしてボールを保持して、自分たちが優位な状況でゲームを進められるように、もっと選手同士の距離感を大事にしていきたい」と石毛秀樹は語る。ただ、その石毛自身が絶好調なのは非常に明るい材料だ。大宮戦では反撃の狼煙となる自身のリーグ戦初ゴール(クラブ最年少ゴールであり、J1全体でも開幕戦の最年少ゴール)を決めた他にも、キレのある動きで多くのチャンスに絡んだ。本人も「アイスタ初ゴールは自分が決めたい」とゴールへの強い意欲を見せており、周囲が彼をうまく生かすことができれば、大いに期待できそうだ。
また、「攻撃であまりきれいな形は作れていないけど、良い位置で奪ってからの速攻でも前の3人は生きると思う。そういう形でもしっかり点を取っていきたい」(高木俊幸)という形もあり、前述のように高い位置での守備が機能すれば、攻撃にも大きなプラス要素となる。そして3トップの誰か――とくにバレーがゴールを決めれば、チーム全体も一気に勢いづくはずなので、そこは非常に楽しみな部分でもある。
一方、横浜FMは、アイスタでの戦いには自信を持っているチーム。清水戦は2010年から5試合負けがなく(2勝3分)、アイスタではトータルで9勝5分5敗で、2007年から6戦無敗(1勝5分)。清水にボールを支配されたとしてもまったく慌てることのない安定した守備(昨シーズンはJ1最少失点)と、中村俊輔の正確なキックを生かしたセットプレーの強さを持っているため、アウェイでもセットプレーからの1点を守りきれば勝てるという“型”があるのは大きい。開幕の湘南戦後に、樋口靖洋監督は「勝点3でスタートできたという結果については喜びたいですが、ゲーム内容を90分通して考えれば、狙い通りのサッカーをできた時間帯はなかなかありませんでした」と語っており、こちらも清水と同様に内容には満足していない。逆に言えば、前線にはマルキーニョスの決定力があり、中村のFKという飛び道具もあり、内容がそれほど良くなくても勝ちきれるのは横浜FMの大きな強みと言える。
開幕直後という時期を考えても、内容よりも結果が重要な試合なので、結局もっとも重要になるのは、守るべきところを守り、決めるべきところを決めるという部分。清水の大型ルーキー・瀬沼優司は「開幕戦は自分が決めていれば勝てる試合でしたし、今度チャンスが来たら絶対に決めて、前回のミスを取り返したい」と熱く語る。経験値では横浜FMに及ばない清水が、ゴール前での気迫で上回り、勝点3を取れるのか。開幕戦のスタメン平均年齢は清水のほうが6歳近く若かったが、そうした若さのエネルギーや今のチームの一体感を考えれば、不安よりも楽しみのほうが大きいことは間違いない。
ちなみに清水が勝った場合には、“勝ちロコ”のときにIAI(産業用ロボットを作る会社)にちなんだロボットダンスをやりたいと言っている選手もいる。それも楽しみにしながら、ぜひスタジアムに足を運んで熱い声援を送り、若さの勢いを後押ししてほしい。
以上
2013.03.08 Reported by 前島芳雄
J’s GOALニュース
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