立ち上がり、躍動したのはトリコロールではなく、ライトグリーンのユニフォームの方だった。「湘南はJ2から上がってきて、開幕であんなに元気だからね。ウチはオッサンばかりだから大変(苦笑)」(中村俊輔)。スタメンの平均年齢は横浜FMが30.45歳、湘南が24.55歳。約6歳も若い湘南が走力、出足の良さで横浜FMを上回り、右サイドを中心に攻め入る。
しかしながら、先制点を挙げたのは横浜FM。40分、中村が放ったFKが強風のいたずらにより軌道が変化し、そのままボールはゴールの中へ吸い込まれる。ところがその1分後、相手のミスでこぼれ球を拾った湘南FWキリノが、低空弾丸ミドルでゴール右隅を射抜く。さらにモヒカンヘアのアタッカーは、61分にカウンターから快足を飛ばし、詰める横浜FM・中澤佑二を股抜き一発でかわして独走。相手GKの位置取りをよく見て、2点目を沈めて逆転したのである。
だが、ここから湘南の悪い方の“若さ”が出てしまった。「無意識にリードを守らなければいけないという気持ちが、安全なプレーにつながって、失う場所が悪くなってきた。そこで相手にカウンターを受けてしまったという場面が確かに多かった」と、曹貴裁監督は振り返る。相手の中澤は「湘南が久しぶりのJ1の舞台ということで、ゲーム運びのところでまとまらなかったのかなと。それに助けられた」と胸をなでおろす。
もちろん横浜FMは、他力だけで白星を拾えたわけではない。齋藤学、藤田祥史の活躍なくして、再逆転はなかっただろう。74分の同点弾もこの2人から。右からのハイボールを、長身の藤田はジャンプしながら胸トラップで収め、確実に左の齋藤へ渡す。そして斉藤のクロスをマルキーニョスが押し込む。この場面では、藤田の高さを生かしたポストプレーというアイデンティティーが光った。
3点目は、齋藤の個の力が輝く。83分、自らの縦パスがゴール前の混戦で跳ね返り、それを受けると得意のドリブルで抜け出し、ゴール右へ流し込む。
アデショナタイムの4点目は、裏を狙って斜めに走り出した藤田の動きに合わせ、齋藤が縦パスを通して勝負あり。藤田は余裕をもってセンタリング。中のマルキーニョスが倒され、PKで加点した。
就任2年目の樋口靖洋監督の采配も見逃せない。1点目を失った直後に齋藤、2失点目のすぐあとに藤田を、それぞれピッチに送り出している。昨年まではベンチの動きはやや遅い印象を受けたが、今季開幕戦では躊躇せず、カードを切ったと見てとれた。それも2013年バージョンの変化した部分なのかもしれない。
一方、最終的に力負けした湘南だが、その戦いぶりには正直驚いた。2点目を奪った2分後には、右クロスを武富孝介が頭で決めたが、惜しくもオフサイドの判定が下される“幻のゴール”もあったのだ。内容でも、シンプルかつスピーディなボール回しから、サイドをえぐることに何度も成功。そしてキリノの個人技は、昨季J1最少失点の相手DFさえ、困惑させた。90分間通して戦う術を覚えれば、昨季のサガン鳥栖のような旋風を巻き起こす可能性を秘めている。
以上
2013.03.03 Reported by 小林智明(インサイド)
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