行徳浩二監督が2年目を迎えた今季、昨年構築した組織的な守備をさらに進化させ、そこからいかに効果的な攻撃を仕掛けられるかがポイントとなっている。キャンプでもその点を強調しながら、チーム作りに取り組んできたが、開幕を前に不安要素が生じてしまった。それは先月24日の京都とのプレシーズンマッチでMF服部年宏がひざを負傷し、途中交代。診断の結果、全治3週間となり、開幕はおろか、3月の試合は厳しい状態になってしまった。
この京都戦で行徳監督は新たな試みとなるスリーボランチで挑んでおり、スリーボランチの真ん中を服部が担っていた。まだ連携の甘さはあったが、それなりに機能していただけに、彼のケガは痛かった。
そのため、開幕戦は昨年1年間を通じて馴染みのある、【4-2-3-1】で挑むことになりそうだ。ダブルボランチには李漢宰と益山司が起用される見込みで、1トップに井上平、後方に山崎正登、美尾敦、染矢一樹が並ぶ配置になりそうだ。個々でポイントとなるのが、井上と美尾の関係性だ。行徳監督は、「前線の2人がグルグル動き回ることで、ボールを収めて、両サイドや2列目が飛び出して行く攻撃をしたい」と語った様に、2人ともポストプレーヤータイプではなく、キープ力とパスセンス、裏に抜け出すプレーに秀でた選手だけに、彼等が相手のバイタルエリアでいかにポジションチェンジを繰り返しながら、ボールを受けるスペース、ポイントを作り出すことが出来るか。そして、ボールを付けた後に、益山と山崎の飛び出し、染矢の縦への突破を生かすことが出来るか。さらに木曜日の練習中にデズモンドが負傷。開幕戦出場が微妙になっているが、そうなった場合、田中秀人が関田寛士とコンビを組む。この2人は昨年コンビを組んでいただけに、そこは問題なく対処できそうだ。
対する横浜FCは、守備陣の顔ぶれが入れ替わりそうだ。大黒柱は昨年も主軸を張ったペ・スンジン。U-20韓国代表の守備の要として、カナダU-20W杯に出場するなど、高いポテンシャルを秘めた彼は、長くJリーグで経験を積み、安定感抜群のCBとなった。彼とGKシュナイダー潤之介がいかにリーダーシップをとって、DFラインをコントロールできるか。攻撃面ではザスパクサツ群馬から加わったMF松下裕樹が、精度の高い長短のキックで起点となれるか。岐阜としてはここで起点を作らせないように、高い位置からのプレスを仕掛けたい。そして岐阜が警戒をしなければならないのが、圧倒的なフィジカルと高さを持つツートップだ。大久保哲哉、田原豊、カイオ、永井雄一郎という錚々たるメンツが揃い、どのコンビで来るか分からないが、前線でのターゲットマンとしてどれも手を焼く存在になる。関田の高さと、田中のカバーリングでうまく対処できるか。昨年や京都とのプレマッチでもCBの間のスペースを通されるシーンが多かっただけに、ここのコンビネーションが上手く行くかが、勝敗を大きく左右しそうだ。
いよいよ2013年シーズンが開幕する。岐阜にとっては、最下位に終わった一昨年、ギリギリJ2残留を手にした昨年の反省をふまえ、着実に勝点を積み上げていかなければいけないシーズン。昨年、昇格プレーオフで惜しくも敗れた横浜FCは、そのリベンジを昇格という形で昇華させるべく臨むシーズン。それぞれ立場は違うが、スタートでつまずきたくないのは同じ。果たして、どちらが初陣を飾り、勢いを作ることが出来るのか。非常に楽しみだ。
以上
2013.03.02 Reported by 安藤隆人
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