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【J2:第1節 熊本 vs 鳥取】プレビュー:吉田新体制に生まれ変わった熊本が迎える6年目のシーズン。近似する要素のある鳥取との主導権争いは、攻守の切り替えで優位に立てるかが鍵。(13.03.03)

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今週に入って気温が上昇し、春らしい陽気に包まれる日の増えた熊本市では、Jリーグの開幕を祝うように各地で梅の花が開き始めた。6年目の熊本は、KKウイング改め「うまかな・よかなスタジアム」に鳥取を迎える。昨年のホーム開幕戦と同じカードである。
昨シーズンの成績を振り返れば、熊本は14位、対する鳥取は20位と、ともに不本意な順位に終わった。初めて導入されたプレーオフでは、リーグ戦で6位の大分がJ1昇格を勝ち取り、また一方で最下位の町田はJFLへ降格。改めて思い知らされるのは、全てのチームがどちらにも転ぶ可能性(あるいはリスク)を秘めているということ。とくに新指揮官を迎えた両チームにとって、今節は最初の1歩を大きく踏み出して自信を深めたい一戦。この1試合で全てが決まるわけではないものの、シーズンを占う上で重要な意味を持つこともまた確かだ。

「鳥取は去年から選手も監督も変わっているし、簡単にいく相手ではないことは分かってます。でも勝たなきゃいけない試合ですから、勝ちにいきます」。
自らのキャリアでJクラブを率いての初陣に臨む熊本の吉田靖監督は、1日の練習後に力強く口にした。その言葉の根拠となるのは、約1ヶ月半のプレシーズンで取り組んできたことがチーム内に浸透してきた手応えだ。FWとDFで昨シーズンの柱を担った選手が移籍したが、前任の高木琢也監督(現長崎)時代の3年間で築き上げた組織的なサッカーをベースに、よりアグレッシブなスタイルを追求することでチームは一段ステップアップした。具体的な変化としては、守備ではボールへのアプローチの仕方とそれに連動したメリハリの利いたプレッシングで実際に取りきる位置が高くなったこと、また攻撃では、ボールを奪ってからの切り替えがいっそうクイックになり、共通の意図を持って中と外を使い分けながら、相手を動かしてフィニッシュまで持ち込む場面が増えていることが挙げられる。

「チームとしてやろうとすることがハッキリしているし、監督が方向付けてくれたことを選手間で話し合いながら、家を建てるみたいに作り上げている感覚がある。細かい追い込み方やラインの作り方もそうだし、マイボールの時のポジショニングやボールの動かし方もそう。時間をかけてもっと高めていかないといけない部分はあるけど、受け手のことを考えたパスがスタンダードになってきている」と北嶋秀朗。藤本主税も同様に捉えて、「理解度が高まったことで大崩れしないサッカーになっていると思う」と表現し、練習中にも選手たちが声をかけ合い、ブレイクの際にはディスカッションしながら細部を詰めている様子が頻繁に見られる。
実際、これまでに行った約10試合の練習試合では、狙いとした守備とボールの動かし方が表れていて、主導権を握れる時間も少なくなかった。ならば「ここまでやってきたことをどれだけ自信を持ってやれるか」(福王忠世)が、熊本にとってはひとつのポイントとなる。

一方の鳥取に対しては、昨シーズンの順位は度外視すべきだろう。過去の対戦でも存在感を示していた小井手翔太や美尾敦が抜けたが、水戸でブレイクした岡本達也、福岡在籍時にも嫌な相手だった永里源気、さらに武田英二郎や廣田隆治など特にサイドでキャラクターの際立つ選手が加わり、主に攻撃陣の戦力がアップ。小村徳男新監督のもと、「ボールを保持する時間を増やして主導権を握る展開」を標榜している通り、後方からしっかりとボールをつないで攻撃を組み立てていくスタイルを志向しているようだ。中盤にも実信憲明、新加入の横竹翔ら技術とセンスを備えた選手がおり、得点力を高めて下位からの脱却を目論む。

「攻撃も守備もコンセプトがしっかりしていて、去年より手強い相手になっていることは間違いない」と吉田監督は分析しているが、積極的にプレスをかける守備と、ボールを保持して細かくつなぎながら攻撃を組み立てる方向性は、ある意味で共通する部分がある。そうした点を踏まえると、試合の主導権争いで鍵となるのは、ボールを奪ってからの切り替えも含めて争点でいかに相手に先んじることができるかという点。最後の部分での精度はもちろん必要だが、そこに持ち込む回数で鳥取を凌駕するために、1人1人が労を惜しまず細かいポジション調整やボールへのアプローチ、そしてサポートや動き直しを繰り返すことが求められる。

この試合、クラブは「熊本県民DAY」と銘打ってホーム側全席種の前売チケットを500円で販売しており、多数の観客動員が見込まれる。これまで掲げてきた「5年でJ1」という中期プランを見直し、「県民に元気を、子どもたちに夢を、熊本に活力を」というクラブ理念の実現のため、「日本一地域に根ざす」ことを目標として改めて打ち出した再出発元年。新たな歴史のページを開く一戦は、3日15時キックオフだ。

以上

2013.03.02 Reported by 井芹貴志
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