浦和の2013年シーズンはJリーグの開幕に先駆け、中国は広州の地でスタートを切る。
浦和にとっては2008年以来5シーズンぶりとなるACLの舞台。その前年の2007年にはアジアの頂点にも立っているが、当時の優勝メンバーの1人である阿部勇樹は「それはもう終わった話だし、新しい浦和として向かっていく」と過去は過去と後ろを振り返ることはしない。実際、5年前の厳しい戦いを乗り切った者はもう限られており、多くの選手たちの実感としては“初出場の大会”になる。阿部も「初めて出ると言ってもいいくらい時間が空いているし、僕にとっても新たなチャレンジ」と挑戦者の気持ちでぶつかりにいくと意気込む。
昨年の今ごろは新任の監督のもとで新たなサッカーをなんとか消化しようと努力するのが精一杯で具体的な目標を掲げられるような状態ではなかったが、今年は違う。1年間という時間のなかで指揮官の求めるサッカーを体と頭に叩き込み、新たな浦和のスタイルを築き上げて自信をつかんだ。梅崎司は「去年のベースがしっかりしているから、シーズンの入り方は気持ち的にも違う」と語し、タイトルを目標にして戦っていくと力を込める。
シーズン前のキャンプでは、去年1年かけてやってきたことをもう一回確認してきた。ミハイロ ペトロヴィッチ監督はボールの運び方がスムーズでないのを見て取ると、何度でもフリーズをかけて選手の動きを徹底指導。動いてボールをもらうことや味方のために動いてスペースを作り出すこと、そういった今の浦和のサッカーに不可欠な要素を厳しく要求した。年末年始のオフで錆びついた部分を磨き直す意味でも、新加入の選手に浦和の戦い方を植え付ける意味でも、指揮官はこれまで口を酸っぱくして言ってきたことをシーズン前の準備期間に繰り返し叩きこんできた。
その成果を最初に試す相手は、グループの中で最大のライバルと目される広州恒大。今年一発目の試合でいきなり強敵とぶつかることになったが、柏木陽介は「どうせ当たるなら最初がいい。勝つことで勢いに乗れる。それより試合ができることが楽しみだし、シーズンが始まるのが楽しみ」と久しぶりの実戦を待ち切れない様子だった。アウェイ独特の雰囲気、実際にやってみないとわからないピッチコンディションなど敵地特有の怖さはあるが、柏木は「そこら辺は様子を見てやっていけたらいい。状況判断ができる選手は去年よりも増えたと思っている。試合中に修正できるチームになればもっと強くなれる」と自信を見せる。
広州恒大は中国で飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長を遂げているチームだ。2010年には八百長発覚で2部降格という負の歴史を作ってしまったものの、豊富な資金をバックにすぐさま2部優勝でスーパーリーグ(1部)に返り咲くと、翌2011年にはスーパーリーグを初制覇。そして昨シーズンはリーグ連覇、FAカップ優勝を成し遂げるなど中国最強チームへの道を突き進んでいる。
急成長の要因はやはりビッグマネーによるスターの積極補強にある。特にブラジル全国選手権で2年連続MVPに輝いたアルゼンチン人のMFダリオ・コンカ、ドルトムント時代には香川真司とともにブンデスリーガ制覇の中心を担ったパラグアイ代表FWルーカス・バリオス、そして2011年のリーグMVPと得点王に輝いたブラジル人のムリキといった外国籍選手は非常に強力。昨年、ACLで柏を苦しめたクレオはその柏に期限付き移籍したものの、抱えるタレントのクオリティは図抜けている。
さらに広州恒大を率いるのは、あのマルチェロ・リッピ監督だ。イタリア・セリエAのユベントスで何度もスクデット(優勝)を獲得し、世界最高峰のチャンピオンズリーグでも頂点に立ち、ワールドカップでもイタリア代表を優勝に導いた世界的な名将である。世界でも戦えるタレントを擁し、トップクラスの指揮官がいれば、大きな飛躍を遂げるのも道理だ。
指揮官やタレントの質、実績、ネームバリューはアジアでは規格外のレベルと言っていいだろう。だが、それだけでサッカーの勝負というのは決まらない。阿部は「名前でサッカーをするわけじゃない。相手をリスペクトするのは大切だけど、自分たちがやってきたことを信じてやれるかどうかが一番重要」と語気を強める。強敵と言えども、選手たちに臆するところはない。「まずはACLで叩いて広島に乗り込みたい」と森脇良太が意気込むように、シーズン初戦で弾みをつけてJリーグの開幕を迎えたい。
以上
2013.02.25 Reported by 神谷正明
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