スコアは5−0と大差がついての千葉の勝利だった。だが、試合の終盤は福島の運動量がやや落ちて千葉が押し込んだものの、前半のシュート数は千葉が4本で福島が6本、後半のシュート数は千葉が7本で福島が4本という数字が示すように、両チームは最後まで得点を狙って攻め合った。
観客のスタジアムへの入場が始まる頃から雨が降り出し、気温はグングンと下がって寒い中(公式記録は8.8度だが、6度くらいまで下がったとか)、スタンドから見るとモヤがかかっていたピッチで繰り広げられた戦いは非常に熱かった。
立ち上がりは福島が積極的にサイドから仕掛けた。キックオフ直後は左から攻め込み、3分にはFW益子義浩のFKのこぼれ球をつないでFW小林康剛が反転シュート。7分過ぎには右サイドハーフのMF伊藤卓也も絡み、小林やFW久野純弥に当ててボランチのMF鴨志田誉が前に飛び出す場面も見られた。だが、千葉は「そこを耐えれば大丈夫だという話もあった」(DF大岩一貴)と立ち上がりの福島の勢いある攻守は織り込み済みだったようで、結果的にこの時間帯を失点せずに耐えられたのが大きかった。
一方、千葉も左のMF谷澤達也、右のMF米倉恒貴が積極的な攻めを見せた。4分にはDF高橋峻希のパスを受けた米倉が前方のスペースへパス。走り込んだFW荒田智之がシュートを狙うも福島のDFがブロックした。13分、左寄りの位置から谷澤がサイドチェンジのパスを送り、それを受けた米倉のクロスは福島のDFに当たって千葉がCKを得る。右からのMF伊藤大介が蹴ったCKをMFニアサイドで佐藤健太郎がヘッドで流したのは、福島のDF金基洙がクリア。続く左からの谷澤が蹴ったCKにはファーサイド寄りでDF山口智が合わせに行ったが、ボールは山口智をマークした福島の小林に当たってゴールイン。天皇杯は3試合無失点だった福島が思いがけない形で失点し、千葉に先制点が入った。
「福島のサッカーはいい守備からのいい攻撃で、それが生命線。ウチは失点をゼロに抑えれば、試合にだいたい勝てている」と話した益子は、「1失点目はセットプレーで、2失点目はミドルシュートと不運といえば不運な形だったので、まだ自分たちはいけると思った。前半が終わった時点ではあきらめることなく後半も行くぞという気持ちだった」と振り返った。時崎悠監督や選手たちが異口同音に語ったように、序盤は前からのプレスがハマってボールを奪い、パスをつないでの連動性ある攻撃につなげられた。だが、プレスをかわす攻撃の組み立てをしてきた千葉に後半は主導権を握られることになった。福島もカウンター攻撃に加え、51分のMF金功青の直接FK、57分の金功青のFKに合わせたFW時崎塁のシュートなどの得点機もあったが、シュートの精度を欠いた。JFLで戦う来季は自分たちのサッカーを貫ける芯の強さという武器に加え、攻守のレベルアップが必要だ。
後半は途中からMF兵働昭弘を入れて攻撃に厚みと質を増し、左サイドのパスから3点を追加した千葉。だが、攻守に細かいミスがあり、福島のシュート決定力の不足、千葉の選手の個の能力の高さに救われた。それでも初めての左サイドバックで出場したMF井出遥也、公式戦初ゴールで千葉側スタンドを大きく沸かせたFW戸島章という収穫もあった。準々決勝(12/23@味スタ)ではJ1の鹿島に今のサッカーがどこまで通用するか挑みながら勝利を狙う。
試合後は両チームのサポーターがエール交換を行い、福島の選手が常にやっているという相手チーム側スタンドへの挨拶には千葉サポーターが拍手を送った。そして、ほとんどの福島サポーターは帰ることなく、今季限りで引退する千葉のDF坂本將貴の引退セレモニーを見届けた。ピッチの熱さとはまた違った温かさが感じられたスタンド風景だった。
以上
2012.12.16 Reported by 赤沼圭子
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