富山が勝って残留を決めた。来場したサポーターに多くの説明は不要だろう。この一戦にかける気持ちが相手を凌駕した。
苦しいシーズンだった。だが最後は富山らしいアグレッシブなプレーを展開し、今季ベストに近いパフォーマンスをみせた。みんなが笑顔で記念撮影に収まる時、降り続いていた雨がやんだ。
富山は前線からの激しいディフェンスで主導権を握った。引き分けでも自力で残留が決まる状況。「なにがなんでも残留する。格好が悪くても大敗をしないようにする」というのが安間貴義監督の本音だった。だが、引いて守りを固めるのではない。自分たちのスタイルを貫き攻撃的な守りを遂行した。
ボールを奪うとシンプルにDF裏のスペースを狙う。FW苔口卓也、MF西川優大、MF木本敬介の前線3人が代わる代わる飛び出し、相手を揺さぶる。水戸の最終ラインは攻撃の時も守備の時にも絶えず圧力をかけられ、序盤でリズムを失った。
前半27分、MF朝日大輔が中央から鮮やかなミドルシュートを決めて先制に成功。西川のポストプレーから受けると、相手3人に囲まれながらも鋭く右足を振り抜いた。
水戸もチャンスは作るが得点まで至らない。35分にはMF橋本晃司がFW鈴木隆行との連係からゴールネットを揺らすがオフサイド。流れを変えられないまま折り返した。柱谷哲二監督から「ひとつひとつに魂がこもっていない」との檄があり、後半9分にMF小澤司のミドルシュートで同点に追い付いた。
今季の富山は先制した試合の勝率が5割に満たない。逆転勝ちがなく、一旦追い付かれてから勝ったのも第37節・鳥取戦のみだった。だが今回は違った。14試合ぶりの先発だった木本が果敢に仕掛け、倒れてもすぐに起き上ってプレスに走る。誰もがひるまなかった。
後半13分、自陣深くの間接FKからクイックでカウンターを繰り出し、西川が右サイドを突破。苔口、木本が呼応してゴール前に走っており、並走していた相手DFにラストパスが当たってオウンゴールで勝ち越した。
これまでなかなか奪えなかった追加点も生まれた(これまで試合途中も含め2点以上リードしたのは第6節・松本戦と第33節・千葉戦だけだった)。2点目と同じく、富山らしい素早い攻守の切り替えからだった。同33分、相手CKから切り返し、MFソ ヨンドクがMF國吉貴博につなぐ。冷静にGKの頭上を越すシュートで決めた。チームとして今季2度目の1試合3得点にスタジアムが沸いた。
水戸の柱谷監督は「立ち上がりから富山の気迫がすごく出ていて、我々が受けに回ってしまった。今日のゲームに懸けるもの。そういうものの差が終始出たゲームだった」と振り返った。6戦未勝利でシーズンを終えた。
富山は今季を象徴するデータのいくつかを払拭するゲームを最終戦でみせた。残留を争い19位に沈んだが、山も谷もあり、多くの人と苦楽をともにしたオンリーワンのシーズンだった。試合後、ゴール裏には「検証なくして漸進なし」との横断幕が掲げられた。しばしの休息をとり、また歩みを始めよう。カターレ富山のJリーグ4年目が終わった。
以上
2012.11.12 Reported by 赤壁逸朗
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