J1をかけた京都と、前回の雪辱と無敗記録をかけた甲府との大一番は、共にスコアレスドロー。前回雪辱とはならなかったが、甲府は無敗記録を24戦にまで伸ばした。
ダヴィが出場停止の甲府は、フェルナンジーニョを前線に据えて、永里源気や井澤惇らがそこに絡む様な形を取る。
試合開始から、甲府が京都のパスを寸断し、そのまま攻撃に転じる勢いを、また、フェルナンジーニョのキープ力を生かした展開力をみせる。6分には、FKから福田健介がシュートを放ち、15分には柏好文のシュートを京都DFがなんとかブロックし得点を許さなかった。
20分ごろから京都も反撃に出る。23分にはチョン ウヨンがミドルシュートを放ち、あわやのシーンを作ると、30分にはFKから駒井善成が頭で合わせるもバーを叩く。31分には中村充孝と工藤浩平の大きなワンツーからのクロスに内藤洋平が頭で落として最後は中村が詰めるも甲府DFがブロック。この接触で中村は頭部を切る。
後半に入ると京都が縦へのボールを増やし甲府を押し込む。安藤淳が前へ積極的に出て何度も好機を演出。後半13分には右サイドの駒井から甲府DFの背中を取るアーリークロスが入りこれを中村がシュートするも、甲府GKの攻守に阻まれる。後半19分には甲府の右からのクロスに盛田剛平に合わされてヒヤリとする場面もあったが、それ以外はほぼ甲府の攻撃を抑えていた。だが京都も、原一樹が意表を突くロングシュートを放ったりもし、常に狙ってはいたが、得点機をなかなか作れない。後半38分に中村が、DFの背後へ送られたパスに反応するも甲府GK荻晃太の抜群の飛び出しに阻まれる。
結局このままスコアが動くことなくタイムアップ。湘南が勝点3を積み上げたため京都と湘南の順位は入れ替わり、湘南が自動昇格に滑り込み、京都がプレーオフにまわった。
この場を借り、J1昇格を果たした湘南におめでとうを送りたい。
試合後、京都の選手たちは既にプレーオフに切り替えていたという印象だ。悔しさ、残念さも滲ませてはいたが、次を見据えていた様に観えた。
甲府の戦い方で、城福監督は試合後「いかにして相手の近くで守備ができるか」との言及があったが、京都のパスが相手の足に当たってしまうシーンを何度か観ていたので、なるほど、と思わされた。実は、徳島の小林伸二監督が山形を率いていたころ、サッカー誌のインタビュー記事で小林監督が守備について、「もう一歩寄せる」ということを答えていた。もう一歩寄せることで初めてパスコースが限定できる様になる、と。あまりフォーカスを当てられることは無いが、こういう細かく、かつ基本的なことを徹底していた城福監督とそれを遂行しようとした選手たち。甲府の強さを垣間見た様な気がした。
ただ、京都がそれについて、ずっと手こずっていたとも思わない。後半、しっかりと押し込む時間帯を作ったのは見事と言っていいだろう。
個人的には、今節を決勝戦と位置付けたのは、昨季の天皇杯決勝と比べて、京都がどれほど「大一番で自分たちの力を出し切れるか」という部分を確認したかったというのが本音だ。
自分たちらしさ、極上の部分では、この戦いを心底楽しんで、キレと力強さのある動きでスタンドからどよめきが起こるくらいの積極的なプレーが出る、そんなことを京都が出来るかどうか。前半はそれには遠かった。福村貴幸がフェルナンジーニョをストップしたりと、らしさを出したのは頼もしかったが、チームとして京都らしさは出なかった。
だが、後半、安藤や染谷、そして攻撃的部分でどんどんとらしさを出し始めたのは好感が持てた。技術・体力の進捗ではなく、それらを支える「心」の部分で、前回の決勝戦から、少しずつではあるが「強く」なっているのだと十分に感じさせてくれたからだ。蛇足ではあるが、大木監督が京都に植え付けてくれたものは戦術・技術だけではないのである。
城福監督は甲府の成長度について「牛歩」と語ったが、京都も「心」の部分について「牛歩」ではあるが、強さを増しているのである。その意味で最後まで崩れなかった今節の無失点は大いに評価したい。
もちろん、今節で自動昇格を決められなかったのは残念で、これからまたギリギリの戦いが始まる訳だが、こういう戦いを乗り越えることでしか得られないものもある。これからのプレーオフ、そういう視点もあって良いと思う。
以上
2012.11.12 Reported by 武田賢宗
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