6連戦最後の試合で最も重要だったのは、先に点を奪われないことだった。しかし、気をつけていたはずの得点を許してしまう苦しいスタート。鳥栖戦に引き続き厳しい結末が予想されたが、選手たちは残っていた最後の力を振り絞り逆転。6連戦を4勝1分1敗で締めくくった。
「22日間で6〜7試合、『東日本大震災復興支援2012Jリーグスペシャルマッチ』を含めるとそれくらいのペースでの試合になりました」
ジョルジーニョ監督がそうふり返ったとおり、スペシャルマッチに多くの選手が出場した鹿島にとって、6連戦はそれ以上の厳しさがあったかもしれない。「そのなかで先制点を与えないということがまず重要だった」と指揮官が言うように、先に得点を許さないことが勝利への近道だった。
しかし、磐田も鹿島に疲労が重なっていることは織り込み済み。試合開始からプレッシャーをかけ、3分に駒野友一のクロスに前田遼一が頭で合わせ、あっさり先制点を奪ってしまう。
「大阪のほうが涼しかった」(遠藤康)という声が聞かれたとおり、昼過ぎまで降り続いた雨の影響で、この日の試合環境は湿度87%。息をするのも苦しいムッとした空気が流れていた。そのため、見るからに鹿島の選手の出足が重く、先手を取られてしまったことは、試合をより難しいものにしていた。
しかし、その状況を一変させるゴールが生まれる。19分、ゴール正面からわずかに右よりの位置でFKを得ると、ボールの側には小笠原満男とレナトが立つ。どちらが蹴るのか注目されたが、ボールをキーパーから見えないように隠していた興梠慎三がサッと離れた瞬間にシュートを放ったのはレナト。鋭く曲がって落ちたボールは、ゴール右角をかすめながら入る圧巻の得点となった。
後半になるとより戦い方を鮮明にした鹿島。両サイドバックも高い位置を取ろうとする磐田を自陣までおびき寄せ、中盤で奪ってからすばやいカウンターを狙いに行く。しかし、頼みの2トップの疲労が明らか。最後のクロスやシュートの場面で精度を欠き、狙った形がはまらない。しかし、76分、右サイドの深い位置で興梠が起点を つくると、遠藤と西大伍の連携で突破。西のシュートは阻まれるもこぼれ球を遠藤が詰め、逆転に成功した。
磐田にとっては悔しい試合に終わった。理想的な形から先制したものの、その後の攻撃は迫力を欠いた。ボールは保持するもののシュート数は鹿島の12本より少ない10本。森下仁志監督は、「僕たちは攻撃的なチームを目指してますし、そういうスタイルをまた日々精進したいと思います」と、カウンターを狙って待ち受ける鹿島に対しても、サイドバックを高い位置に上げて果敢に挑んだが結果は付いてこなかった。
ただ、37分、曽ヶ端準がファンブルしたボールがゴールに吸い込まれたように見えたが、井上知大主審はロドリゴ・ソウトのファウルとしてゴールを認めなかった。あれがゴールと認められていたら展開も違ったかもしれない。
鹿島としてはうれしい勝利だ。「チームメイトと一緒に必死に闘争心を持って戦っていることが、ここ最近の結果に繋がっていると思います」と、先制点を決めたレナトが喜ぶ。ジョルジーニョ監督も「選手たちはそこで下を向かずに、体力的な部分、心理的な部分で気持ちを奮い立たせて、戦い続けた成果が試合の最終的な結果に繋がったのではないかと思います」と選手のパフォーマンスを讃えた。100%の状態からは程遠かったが、それでも一致団結して勝利を手にした事実は大きい。チームとしても戦い方が鮮明になり、粘り強さも出てきた。後半戦に期待が持てる戦いだった。
以上
2012.08.12 Reported by 田中滋
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