昨季、鳥取のＪ２昇格とともに「陰陽（いんよう）ダービー」と名付けられた岡山とのライバル対決は、今回が４回目。前節終了時点で10位につける岡山が、20位の鳥取のホームに乗り込む一戦となる。

ホームの鳥取は前々節、岐阜との下位対決を制して連敗を４で止めたが、前節はアウェイで京都に１―３で敗戦。19位の岐阜、21位の富山、最下位の町田とともに、依然として下位グループに取り残されている。京都戦は序盤に敵陣でのボール奪取から決定機を作るなど、まずまずの立ち上がりを見せたが、次第に失速し、後半に守備のミスで先制されると、以降は主導権を奪い返せなかった。千葉から期限付き移籍でＦＷ久保裕一、ＤＦ藤本修司を獲得して以降、久保のポストワークや藤本の攻め上がりなど、それまでとは違う攻撃の形も出来始めているが、それが得点、さらに勝利に結びつかない、もどかしい状況が続いている。

岡山は前節、ホームで熊本を２―０で下し、８試合ぶりとなる勝利を収めた。未勝利の期間は鳥取同様、良い形を作りながらも得点できず、勝点を伸ばすことができなかったが、苦しい時期を乗り越え、再加速を期している。今季開幕当初の目標はJ1昇格プレーオフ圏内となる６位以内。７試合未勝利の間に６位との勝点差は10まで離れたが、まだまだ可能性は十分にあるだろう。

カギを握るのは、両チームの前線の出来だろう。鳥取は前述の通り、久保が前線の核となっているが、厳しいマークを受けて孤立する場面も目立つようになってきた。今回も岡山が徹底的に見張ってくることが予想されるだけに、周囲のフォローとサポートで、武器を最大限に生かす戦いが求められる。岡山は前節、１トップ２シャドーは金民均、石原崇兆、上條宏晃の３人で組んだが、控えには今季チーム最多の８得点を挙げ、今季９節の陰陽ダービーでは先制点を決めている川又堅碁がいた。影山雅永監督は相手にも応じて組み合わせを考えるとしており、誰が先発で送り込まれるか、控えに入った選手が流れを変えることができるかは、勝敗を分けるポイントとなりそうだ。

今回が初めての陰陽ダービーとなる鳥取の久保は、「岐阜戦に勝った意味を無駄にしないためには、しっかり勝点を取って上に食らいついていかなければいけない。絶対に負けられない」と意欲を見せる。岐阜戦に続いて「降格危機脱出プロジェクト」と銘打った観客動員作戦が展開されているほか、岡山からも多くのファン・サポーターが詰めかけることが予想されており、とりぎんバードスタジアムは熱気に包まれるはずだ。過去３試合は岡山の２勝１分け。鳥取の初勝利か、岡山の返り討ちか――。

以上

2012.08.11 Reported by 石倉利英